エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

初夏の六義園

2016年05月30日 | ポエム
初夏の六義園は、躑躅と泰山木の花が良い。
とりわけ、回遊式の大名庭園として水の面の揺らぎも良いのである。



ぼくは六義園には、1人で出かける事が多い。
散策途中の茶屋で、和菓子とお抹茶を頂くのが大好きである。



この日も又、1人で出掛けた。
泰山木の樹の下を通り過ぎる時、甘やかな匂いが落ちかかって来た。

思わず深呼吸する。







「回遊の大名の庭船遊」







こうした気分のリフレッシュは、句作にとって不可避な行為である。
ぼくは、屋外に出なければ俳句が詠めない。

さりげない風景に、ぼくは詩を読み取りたいと思っている。
自然の営みは、自ずから詩を詠っている。



青紅葉のさりげない風情に、季節の移ろいを感じ取る。
おそらく・・・死ぬる時までそうしているだろうと思う。



     荒 野人

泰山木の花

2016年05月29日 | ポエム
朴の花が散華して、いま泰山木の花が、目実美しい。
まるで、同じ花のように見える。

肉厚の花弁と、全き白。
香しき香りである。

この花を見て、ぼくは「同床異夢」などと不埒な考えが生まれるのを留める事が出来なかった。
別名、ハクレンボク。

泰山木の花を見たくて、通いつめたものである。



出会えた喜びは、例えようもなく嬉しかった。

明治以降にアメリカからはいって来た花卉、である。
水波に次の句がある。

「壷に咲いて奉書の白さ泰山木」  渡辺水巴






「泰山木の花闇夜の中にある灯り」







花言葉は・・・。
「前途洋々」「希望に満ちあふれている」「壮麗」「大きく立派で美しい」「威厳をつける」
である。

納得である。



     荒 野人

ゾウのはな子

2016年05月28日 | ポエム
東京都武蔵野市の井の頭自然文化園で飼育されていたメスのアジアゾウ、はな子が亡くなった。
悲しい!



2006年の4月の映像である。
ぼくは、はな子に会って来たばかりである。

会っておいて良かった!
と思っている。



はな子について、少し詳しく触れておきたい。

1947年にタイ王国で生まれた。
タイでの名前は「カチャー」。
「カチャー」は2歳半の時、タイから日本に贈られて、1949年8月22日にデンマーク船オラフ・マークス号でタイを発ち、9月2日に神戸港に着いた。
そして、貨物列車とトラックを使って、9月4日に恩賜上野動物園に到着した。当初、上野動物園では「カチャー子」と呼ばれていたが、公募により、戦争中に餓死した「花子」(ワンリー)の名を継いで「はな子」と名付けられた。








「蚊遣火や像のはな子の訃報聴く」




上野動物園には、「はな子」到着のすぐ後の1949年9月25日にインドから贈られた「インディラ」も到着した。
その後、はな子とインディラは、全国を回った。
若いはな子は、東京を中心に巡回したのであった。
「はな子」を見た武蔵野市や三鷹市から、井の頭自然文化園での「はな子」の展示を求める声が上がった。
1954年3月5日、「はな子」は上野動物園から井の頭自然文化園に移された。

2016年5月26日に死去。
69歳没。
翌27日の解剖で死因が呼吸不全と判明。
遺体は国立科学博物館に寄贈されたのである。

悲しさの中に、ぼくはいる。
会っておいて良かった・・・改めてそう思うのである。



    荒 野人

夏椿

2016年05月24日 | ポエム
夏椿の花が真白である。
改めて、その事実に愕然とした。
全き白であるからでだ。

沙羅双樹の花・・・。



この白さは、祈りに転嫁である。
しかも、静かに捧げる祈りである。
加えて、蕊の先までが白いのである。

ただし、花粉は黄色なのだ。







「蕊の先白さ極むる夏椿」







この夏椿の花は、我が家の近所のお宅の玄関脇に咲いている。
敬虔な雰囲気があって、心が洗われる感じがする。

否、心が洗われるのである。



     荒 野人

赤い薔薇

2016年05月23日 | ポエム
薔薇全般の花言葉は・・・。
「愛」「美」である。



赤い薔薇(Red Rose)の花言葉は・・・。
「I love you(あなたを愛してます)」「love(愛情)」「beauty(美)」「passion(情熱)」「romance(ロマンス)」
ここのロマンスは「熱烈な恋」と云うことである。



因に、赤いバラのつぼみ(Red Rose Bud)の花言葉は・・・
「純粋と愛らしさ」「純粋な愛に染まる」だそうだ。
赤い薔薇のオマージュと合っているではないか。

思わず唸ってしまう、そんな花言葉である。







「くちびるの未だ奪えず赤い薔薇」







雨上がりの薔薇は、一際美しい。
雨滴の一粒一粒に、精神が宿るかのようである。



      荒 野人