「実に、すべての人に救いをもたらす神の恵みが現れたのです。その恵みは、私たちが不敬虔とこの世の欲を捨て、今の世にあって、慎み深く、正しく、敬虔に生活し、祝福に満ちた望み、すなわち、大いなる神であり私たちの救い主であるイエス・キリストの、栄光ある現れを待ち望むように教えています。」(テトス2:11～13新改訳)
パウロはここですぐれた表現を用い、キリストの福音を簡潔かつ力強く語っている。すなわち主がお示しになった救いとは、永遠の滅びをもたらすこの世の罪から救われ、言葉だけでなく実際に聖なる生き方を続け、やがて現れるキリストの再臨のとき、神の国に入れられるという「祝福に満ちた望み」のこと。▼多くのクレタ人は信仰といっても、この世の生き方から離れず、空しい昔話やムダごとにふけっていた。「律法を信じているといっても、偽善的な罪の生活をしていては何にもならない。テトスよ、あなたは彼らをきびしく指導し、正しく健全なキリストの福音に立ち返らせなさい、そのためにあなたをクレタに残したのだから」とパウロは命じたが、これが本書簡の目的であった。