Guapa

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職業としての小説家 村上春樹様

2015-12-06 23:53:49 | よむよむ

「知識より大切なものは想像力だ」とアインシュタインは語ったのだけれど、

村上春樹氏は「職業としての小説家」の中で想像力について述べている

「どんな時代にあっても、どんな世の中にあっても、想像力というものは大事な意味をもちます。

想像力の対極にあるもののひとつが「効率」です。数万人に及ぶ福島の人々を故郷の地から追い立てたのも、元を正せばその「効率」です……それはまさに我々の想像力の敗北であった、と言っていいかもしれません」

村上春樹氏の小説はとても読みやすくてすいすい読めるのだけれど、

深く感動するとか、考えさせられるとか

あまり経験がないので

彼はどういったことを書きたいのだろうと思ってしまう

そして、ノーベル文学賞を切望されるほど

熱狂的なファンが存在するということは

なにがそんなに魅力なのだろうと考えさせられる

ただ、スタイルがおしゃれですよね

そんな話になって友人が貸してくれた「職業としての小説家」を読んでいる

そして小説とおなじように軽いタッチでたんたんと日常を書いている

それでも小説を書くことの反復作業や編集者とのやりとりなど

いわゆる小説家としての生みの苦しみ、七転八倒が、今風の日本語で言えば「さくさく」と書かれている

そうした感性が村上春樹氏の魅力なのでしょうか

 


「海賊と呼ばれた男」はネーミングの勝利

2014-03-15 23:05:41 | よむよむ

「海賊とよばれた男」百田尚樹(ひゃくた・なおき) 講談社 上(380頁)・下(362頁)

 タイトルがよかったですね。『ONEPIECE』人気もあり、海賊に時代のロマンを感じる方も多く、多いことでしょう。

 アウトローがヒーローとして切望されている―のでしょうか。でもアウトローは必ずしもならず者ではありません。

 なぜこの本が本屋大賞になったのか??本屋大賞が新しい読者の獲得のためのものとはいえ、時代や人について「きちんと」考えるという習慣、考えさせられるという生活がほしいよね。

                   *★*☆*★*☆**★*☆*★*☆*

 2012年7月に発行され、2013年本屋大賞に選ばれました。

 出光興産の創業者、出光佐三を主人公にした小説。「民族資本」の石油会社を創設し、アメリカのメジャーとそれに屈服した日本政府に対して、徹底的に国益と国民の生活尊重を貫いた独立心の高い創業者を時代の風雲児として描いています。

 石油が20世紀の資源獲得競争の焦点となり、中東諸国の戦争によって翻弄されてきた歴史は、かならずしも信念や理念だけで切り開くことができなかったことは自明ではないでしょうか。もっとも琴線にふれる矛盾には触れず、店主の決断による展開が、個人商店が石油業界を泳いで生き抜き、大企業に成長してきたかのような展開になっています。

 いわば小説の命を書かずして筋立てだけが展開されているのです。それが、全国書店員が選んだ「一番売りたい本」となり「本屋大賞」となったのはー第1に「海賊とよばれた男」というネーミングの成功であり、第2にミリオン作家を生み出したい業界の後ろ盾ではなかったかと推察されます。

 しかし、作者は脚本家・エンタメ番組のプロデューサーという肩書が示すように、場面展開や個々の人物の描き方は魅力的であり、それが、読者の物足りなさを補って「読みやすい」本になっているようにも思えます。

 途中で、思考が中断するというか、欲求不満になるというか・・・読み終わるためには「根性」が必要でした。

 300万部となった「永遠のゼロ」は文庫本第1位、映画も人気らしいです。

 戦争を美しく、純粋な精神ものに描いていないか、本書を読んでも危惧されるところです。

 言葉を紡ぐということは、人となりを表すということーだと思います。