ハイドリヒを撃て! 「ナチの野獣」暗殺作戦(邦題)
チェコ・イギリス・フランスの共同制作
原題「Anthropoid」(類人猿)はナチスの高官、プラハ総督(代理)であったハイドリヒ暗殺計画の作戦名
☆映画のストーリーにふれています(ご容赦ください)
チェコスロヴァキア(当時)は1938 年「ミュンヘン会談」でイギリス・フランスが
ナチスドイツの領土要求に譲歩したことによって事実上、解体された。
チェコは「ボヘミア・モラヴィア保護領」としてドイツの支配下におかれ
(スロヴァキアには傀儡政権が樹立された)
政府はイギリス・ロンドンに亡命した。
※チェコ空軍の闘いを描いた「ダーク・ブルー」ではヨーロッパ有数の空軍はたたかわずして翼をもがれた…とあります。
ナチスの高官、ラインハルト・ハイドリヒは、「ユダヤ人問題の最終的解決」=絶滅政策の主要な計画遂行者だった。
保護領監督代理としてプラハに赴任して以降、徹底的な弾圧による支配で「金髪の野獣」と呼ばれていた。
亡命政府からの指示でラインハルト・ハイドリヒの暗殺の使命をおび、
パラシュート部隊のメンバー(キリアン・マーフィー演じるヨゼフ・ガプチ―クとジェイミー・ドーナン演じるヤン・クビシュ)は国内にのこるレジスタンスのメンバーと連絡をとるべく、プラハ郊外に降り立った。
その壮絶なたたかいをショーン・エリス監督(脚本・撮影)がスクリーンに再生した。
15年間の歳月をかけて資料を読みこみ、当時の空気や息遣いまでも伝わってくる。
暗殺計画は失敗したが、ハイドリヒは重傷を負い1942年6月4日に死亡する。
そしてプラハ市民・レジスタンスへの徹底的な弾圧と拷問により、
隠れ家としていた聖キリルとメソジスト教会で最後を迎える。
ハインドリヒの死に怒り狂ったヒトラーはパラシュート部隊員の出身者を生んだ
プラハ郊外のリディッツエ村を絶滅させる。
16歳以上の男性は全員射殺され、女性と子どもたちは全員アウシュビッツに送り込まれた。
そして・・・・・・
ミュンヘン会談の協定は破棄され、イギリスは連合国として参戦する。
第二次世界大戦後、チェコスロヴァキアはヨーロッパに国を取り戻すが、
東西冷戦によりソ連の介入、プラハの春事件へと
チェコの人々の苦難は続いた。
暗殺事件、そしてリディッツエ村の悲劇から75年
この悲劇を生み出した背景について
深く考えざるをえなかった。
聖キリルとメソジスト教会、リディッツエ村に行った者として
改めて哀悼と敬意を表したい。
主人公を演じたキリアン・マーフィーがすばらしい。
「麦の穂をゆらす風」でアイルランド独立のたたかいに身を投じる青年を演じた。
ストイックな役柄に、透き通った瞳が意思の強さを表わしていて
今後も大いに活躍してほしい
ここまで読んでくださった方へ「ダーク・ブル―」も是非ご覧ください。
こちらは宮崎駿さんも推薦しており、ジブリからDVDが出ています。