原題の「Lions for Lambs」からの邦題としては、久々に秀逸だったのではないでしょうか。
私にとっては、遥か昔の「スティング」や「追憶」(With Barbra Straisand)「遥かなる大地」で二枚目の甘さを余すところ無く披露されたRobert Redfordの監督作品であり、敬愛するMeryl Streepが新聞記者として、病と闘いながらハリウッドスターの地位を守っているTomCruiseと共演するというだけでも十分魅力だったのです。
映画としても秀逸だったと思います。短い上演時間に凝縮されていた、映画でこそ実感させられるスリル、距離と時間、人と人との距離などなど。
大勢の人に見てもらいたいです☆
テロとの果てしなき戦争と現在のアメリカをリアルに捉えているという点で、大統領選挙の前に公開されたといことは意識しつつも、今のアメリカでこうした映画が作られるということに、敬意を表したい。アメリカの民主主義の底力がんばれ☆
おそらく見た人の人生の積み重ね方で接近の仕方が異なるでしょうか。大切なことは「生きるとは」「人間とは」どういうことか、なんて今時は青臭いと思われるようなことを真摯に考えたいです。
原題の「Lions for Lambs」は第1次大戦中、勇敢な若きイギリス兵が訓練強化された独軍に立ち向かい、多くの犠牲者を出したことから「最も愚かな指揮官のための勇敢な兵士」を揶揄してドイツで語られていたエピソードです。今となっては、最も愚かな指揮官はヒットラーではなかったか。
続く、ベトナム戦争、アフガン、そしてイラク戦争。犠牲になるのはいつも貧しく、未来のみを持つ若者ではないでしょうか。
貧しさの中から知性を磨く生き方を模索しながら、未来を奪われていったアメリカの若者の姿はけっしてひとごとではないと思いました。