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明らかになった「米大統領選へのロシアの介入」の実態

2017年11月23日 | 迫り来る危機
明らかになった「米大統領選へのロシアの介入」の実態:「ロシア疑惑」公聴会レポートからの引用

●ロシアは、ネットで偽情報の拡散および過激で不適切なコンテンツを流している。
●フェイスブックは昨年の大統領選の期間中、ロシア政府との関連が疑われるアカウントが3,000件の選挙広告に金を払い、8万件の投稿が1億2,600万人のアメリカ国民の目に触れたと認めた。
●ロシアはアメリカ国民を分断しようと試みている。ロシアが偽情報を拡散することでアメリカに不和の種をまくことが可能。ロシアの戦略はアメリカ社会にひびを入れ分断すること。
●ロシアは数十年にもわたって情報戦争を仕掛け続けてきた。ソーシャルメディアというツールの出現によって、ベルリンの壁があった時代には想像もできなかったようなスケールでプロパガンダやフェイクニュースを拡散できる。これらのツールはロシアが流す偽情報専用につくられたかのようだ。
●偽情報に振り回されて、ありもしない集会に参加するためにやってきた人がいる。
●大統領選がもたらしたのはアメリカの選挙システムに対する怒りと不信だった。この怒りを生み出したのはロシアだ。

明らかになった「米大統領選へのロシアの介入」の実態:「ロシア疑惑」公聴会レポート

「ロシア疑惑」公聴会レポート

フェイスブック、ツイッター、グーグルのIT大手3社の法務担当幹部は、ロシアの“荒らし屋”に選挙広告を販売していたことが明らかになった問題を巡って上下両院の公聴会で証言したが、ここで明白になった事実がひとつある。彼らのプラットフォームはあまりに強力で、適切に監視するのはほとんど不可能だということだ。

2017年10月31日に開かれた上院司法小委員会では、フェイスブックのコリン・ストレッチ、ツイッターのショーン・エジェット、グーグルのリチャード・サルガドが議員らの質問に答えた。公聴会は31日に1回、11月1日に2回開かれ、初回の目的はロシアがネットで流す偽情報の拡散および過激で不適切なコンテンツを巡って、「解決策を模索するためにテック業界と協力する」ことだった。委員会は2時間を超えたが、議員側も企業側も懸案事項にこだわるだけで、状況を改善するための話し合いはほとんどなされなかった。

例えば、ルイジアナ州選出の共和党上院議員ジョン・ケネディが、北朝鮮や中国はフェイスブックから広告を購入していないのかと質問したときだ。フェイスブックは昨年の大統領選の期間中、ロシア政府との関連が疑われるアカウントが3,000件の選挙広告に金を払い、8万件の投稿が1億2,600万人のアメリカ国民の目に触れたと認めている。議員がこれに関連して上記の質問を投げたところ、ストレッチは自分はそのような広告に気づいたことはないと答えた。

するとケネディは信じ難いといった表情で、「しかし気づくことなど可能なのでしょうか」と反問した。広告費の資金の出所を隠すためにペーパーカンパニーをつくることは誰にでもできる。ケネディは「フェイスブックの広告顧客は500万件にのぼり、しかも毎月、毎分、おそらくは毎秒顔ぶれが変化するわけですね」と畳みかける。「いまこの瞬間に、これら広告主がそれぞれ誰なのかを知るすべなどないでしょう」

ストレッチはこれに対し、「ダミー会社があるかを調べるためにシステムの裏側を見ることが可能なのかという質問に対しては、答えはもちろんノーです」と言った。
強大なプラットフォームならではの恐ろしさ

公聴会は名目上は、2016年の大統領選挙におけるロシアの介入を巡るものだった。しかし同時に、インターネット企業が巨大化し、金も権力ももち過ぎているという状況に対して、全米各地で沸き起こっている懸念を白日の下にさらす場でもあったのだ。

大きな成功を収め、世界有数の技術者を雇う企業がなぜこうした脅威が差し迫っていることを予見できなかったのか──。そんな空気が議場に広まるにつれ、ケネディは詰問口調になっていった。「あなた方が多くのよいことをしているとは思っていますが、ときどきその力が恐ろしくなるときがあります」

テック企業はロシア疑惑以外にも、例えば表現の自由が順守されている国に世界中から入ってくるコンテンツの洪水という問題にも取り組む必要がある。政治色の強い投稿に対するモニタリングでまずいことをすれば、共和党のテッド・クルーズが公聴会で言ったように、「政治的な議論で有利に立とうとしている」と非難されるだろう。しかし、政治絡みの投稿を野放しにすれば、民主的選挙を妨害しようとする悪質なネットワークを放置するリスクを冒すことになる。

フェイスブックが議員たちの舌鋒に耐えている横で、ツイッターはロシアのオーガニックリーチ数をめぐる恐るべき数字を明らかにした。昨年9月1日から11月15日までの2ヶ月半で、ロシアのボットアカウントが140万件のツイートをし、インプレッション数は2億8,800万回に上ったというのだ。これほどの規模の組織的なキャンペーンが、何のチェックも受けずに放置されていたという事実は、ツイッターが言論の自由をいかに重視しているかを物語っているのだろう。

ペーパーカンパニーを使った広告枠の購入をめぐる公聴会でのやりとりは、アメリカ政治への“ダークマネー”の流入を可能にしている抜け穴が、どのように拡大したのかを明らかにした。政治献金の管理を行うスーパーPACが出した広告について、本当の金の出所がどこかを突き止めるのは難しいが、できなくはない。しかしフェイスブックのようなプラットフォームでとてつもない規模で購入された広告では、実質的には不可能だ。


テック企業と議員たちの間の厚い壁

フェイスブックやほかのオンラインプラットフォームは選挙期間中、米国外の団体とつながりをもつ可能性のある悪意をもった広告主を特定するのに優れた手腕を発揮したが、彼らの技術をもってしてもミスはある。フェイスブックは実際、選挙広告をロシアの機関に販売したのだ。しかも広告費はロシアルーブルで支払われていた。この事実は明白な危険信号としてとらえられるべきだったのではないか。

民主党上院議員アル・フランケンはこれを特に問題視しており、ストレッチから「フェイスブックは今後、選挙広告の支払いに外貨は受け付けない」との言質を取ろうと試みた。アメリカの選挙法はどのみち、国外からの資金調達を禁じている。ストレッチは拒否し、支払い通貨は広告主の合法性を調べる上でフェイスブックが用いる判断基準のひとつでしかないと反論した。

ストレッチは「外国人による選挙広告を許可するつもりはありません」と言う。「わたしたちの目指すところは、いかなる不正行為にも確実に対処していくことなのです」。これに対してフランケンは、「わたしの目指すところは、こうしたことについてあなたにもう少し考えてもらうことです」と返している。

状況をさらに複雑なものにしているのは、こうした問題をめぐる調査に携わる議員の大半は、恐らくテック企業が実際にどのような方法で何をしているのかをきちんと理解していないという点だ。これは民主党のリチャード・ブルーメンソールとシェルドン・ホワイトハウスが、選挙権行使の阻止に関する質問をした際に明らかになった。

ブルーメンソールはまず、コメディアンのアジズ・アンサリがボードを抱えている写真を見せた。ボードの文面はフォトショップで加工され、「アメリカ人はテキストメッセージを使えば家から投票できる」と書き換えられている。Twitterを介して広く拡散した写真だが、ブルーメンソールとホワイトハウスはエジェットに対し、このボードに書かれているようにテキストで投票しようとした投票者の数を正確に教えるよう求めた。

エジェットは、ツイッターがその数を知ることは不可能だと答えた。このツイートを信じた有権者の数を算出するには、電話会社が顧客のテキストメッセージの内容を解析することが必要になる。しかしブルーメンソールは、「議会がその情報を得られるよう最大限の努力をしていただきたい」と食い下がった。

つまりわれわれの目の前にいるのは、この問題への対処で出遅れ、(場合によっては)彼らの能力を根本的に誤解している調査委員会に対して、躍起になって自分たちのことを分からせようとしているテック企業だ。議会が探し求める解決策が見つからないのも当然だろう。


2016年の米大統領選にロシアが介入していたとされる「ロシア疑惑」について、フェイスブック、ツイッター、グーグルの幹部が証言した公聴会に関する全3回のリポートの最終回。公聴会の2日目に出た証言からは、ロシアの積極的な介入の実態と、後手に回っていたテック大手の動きが明らかになった。


「ロシア疑惑」公聴会レポート

ロシア疑惑をめぐる議会公聴会の2日目。フェイスブック、ツイッター、グーグルの法務担当者たちは、アメリカ国民を分断しようとするロシアの試みにおいて自社プラットフォームが果たした役割について、与野党議員から厳しい追求を受けた。

2016年の大統領選挙におけるロシアの介入について上院の情報委員会は、議会がある種のサイバー戦争とみなすこの問題を、テック企業たちは軽視していると糾弾した。さらに彼らのビジネスモデルについて、ロシアが偽情報を拡散することでアメリカに不和の種をまくことが可能になるよう構築されたものである、とまで発言した委員もいた。

民主党の上院議員マーク・ワーナーは冒頭、「ロシアは数十年にもわたって情報戦争を仕掛け続けてきました」と言った。「しかしこれまでと違うのは、ソーシャルメディアというツールの出現によって、ベルリンの壁があった時代には想像もできなかったようなスケールでプロパガンダやフェイクニュースを拡散できるという点です。これらのツールはロシアが流す偽情報専用につくられたかのような感すらあります」


SNSの選挙広告は、国外からの脅威の一部にすぎない

公聴会では、ロシアがアメリカ人同士を敵対させるために用いた方法について、新たに驚くべき情報が明らかにされた。これにより、ソーシャルメディアの選挙広告は、国外からの脅威のほんの一部に過ぎないという見方もさらに強まった。議員らはまた、世界各地で自社プラットフォームのコンテンツの取り締まりにどう取り組んでいるのか説明するよう、テック3社の幹部に強く求めた。

以下、恐るべき事実を明らかにしたやりとりを見ていこう。

「サンクトペテルブルグでネット荒らしをしている人間が、テキサス州ヒューストンで行われるイヴェントに参加することはできませんね」(共和党上院議員リチャード・バー)

情報委員会委員長のバーは、インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)と名乗るロシアのプロパガンダ集団が行ったフェイスブックへの投稿を取り上げた。2つの団体が同じ場所で同時間帯に決起集会を計画しているという偽の情報を流すもので、結果としてヒューストンの路上で本物の衝突が起きた。

2本ある投稿の片方は「Heart of Texas」という偽ページがシェアしたもので、「テキサス州のイスラム化」に反対する抗議運動に関するものだった。もう片方は「United Muslims of America」と称する者たちの偽ページにアップロードされており、「イスラムの知識」を守ることを目的としたイヴェントを宣伝していた。どちらのグループも、イヴェントの広告費として200ドルを支払った。

バーはそれから、ヒューストンのイスラミック・センター前で実際に起きた衝突の様子を撮影した動画を見せた。偽アカウントが本物の対立を生み出したのだ。ロシアによる介入の効果に懐疑的で、同国がアメリカの有権者に影響を及ぼそうとしたのは事実にしても、それが実際に機能したかは別問題だと主張する者もいる。しかし、こうした偽情報に振り回されて、ありもしない集会に参加するためにやってきた人がいるという事実は、影響力は確かにあったことを示している。

「あなた方の企業で誰か1人でも、ロシアの策略の全体像をつかんでいると思いますか?」(ワーナー上院議員)
「ノーと言わざるを得ません」(フェイスブック法務顧問コリン・ストレッチ)

フェイスブックは9月、470個のアカウントから出された広告3,000本が、IRAと関連があることが明らかになったと認めた。これらの偽アカウントは8万本のコンテンツを作成しており、シェアや広告によって合計1億2,600万人が虚偽の情報に触れた可能性があることもわかっている。

偽情報はグーグルのサーヴィスやTwitterでも拡散した。ツイッターは自社プラットフォームでIRA絡みのアカウント2,752個を特定したと発表している。一方、グーグルは18のYouTubeチャンネルがIRAにつながっていると述べた。


後手に回っていたテック大手たち

上院議員のワーナーはこれに関して、オンラインプラットフォームでのロシアの活動に関して明らかになっていることは、フェイスブックで最初に発見された事態の「派生物」にすぎないとの懸念を示した。上院議員の質問には、ツイッターとグーグルの代表も「ロシアの活動の全容についてはまだ解明できていないと思う」と答えている。

このやり取りは、テック大手3社は少なくとも2015年(2年以上も前だ)には始まっていたロシアの介入について、調査や対策において後手に回ったという重要な事実を示している。ワーナーは「委員会は年初にはこの問題を提起しました」と言う。「率直に言って、あなた方の会社の経営陣は、われわれの主張を無視したのです」

「国外からのこうしたキャンペーンは、ここにいる3社の利用規約違反に当たるのでしょうか?」(共和党上院議員マルコ・ルビオ)

フェイスブックはIRA絡みのアカウントはフェイクであり、利用規約違反に相当するため削除したと述べた。ツイッターは3万6,746個のボットアカウントを削除している。サーヴィス規約で、Twitter上でスパムを拡散させる自動アカウントの使用を禁じているからだ。一方、グーグルはロシアの政府系メディアRTのYouTubeチャンネルをそのままにしている。ヘイトスピーチや暴力を扇動することを禁じた利用規約への明確な違反は確認されていないためという。

ツイッターの法務顧問ショーン・エジェットはルビオの質問に対し、諸外国による影響力の行使だけでは利用規約に直接は違反しないと述べた。「国家が主導する選挙操作を想定した条項がありません。扇動的な広告コンテンツに関する規定などほかの条項によって、これらの投稿の大半は削除できるでしょうが、直接に禁止はしていません」

連邦法は外国人がアメリカの選挙に介入することを禁じている。しかし、偽アカウントをめぐる議論は、リアルな名前と顔を使ってメッセージを拡散し、ネット荒らしを組織する外国の機関にネット企業が対処する気があるのか、という疑問を提起した。

フェイスブックのストレッチはルビオからの質問に答えるかたちで、他国では言論を制限する法律(例えば、ドイツではホロコーストを否定する言説は犯罪として扱われる)を順守していると認めている。ルビオが言いたかったのは、「なぜテック企業はアメリカの選挙への外国からの干渉を禁じる法律を守らないのか」ということだ。

「あなた方のうち1社でも。有権者登録のデータがアップロードされ、広告やメッセージのオーディエンスを指定するのに使われたという情報をもっていますか?」(ルビオ上院議員)
「そうした証拠は目にしたことがありません」(ツイッターのエジェット)
「フェイスブックも同様です」(フェイスブックのストレッチ)

偽アカウントによる選挙広告の購入が行われていたことが明るみに出て以来、トランプ陣営やその支持者が広告のターゲットを設定するのに、ロシアが一役買っていたのではないかという憶測が広がっている。3社は公聴会で、選挙登録をした有権者のリストが利用されたという証拠はないと明言した。しかし、IRAはFacebookとTwitterでターゲット広告を打つための機能はすべて使うことができたはずだ。

上院議員のバーは、ロシアは勝利政党がはっきりしている州と激戦州のどちらでも広告を出していたと指摘する。クリントンが圧勝したメリーランド州では、事前予想を覆してトランプが勝利したウィスコンシン州の5倍近いターゲット広告が出されていた。つまり、ロシアの介入は特定の候補に肩入れしたものではないというのだ。バーは「特定の情報だけに注目して、それがすべてを説明できると考えるのは短絡的かつ危険です」と警告する。

「ロシアの戦略はアメリカ社会にひびを入れ分断することです」(ルビオ上院議員)

ロシアの選挙介入活動が明らかになるにつれ、IRAの真の目的はいったい何だったのだろうという疑念が拡大した。彼らのコンテンツは、保守派とリベラルどちらの論点も支持していた。移民を攻撃すると同時に歓迎し、白人至上主義を唱える一方で、その存在を否定してもいた。共和党はこの事実を指摘し、ロシアの介入は選挙結果には影響を与えなかったとして、トランプを擁護している。


ロシアが引き起こした「アメリカの分断」

公聴会では、ロシアが選挙結果とは別の成果を出していたことが明らかになった。アメリカの分断を拡大し、社会にさまざまな怒りを沸き起こさせたのだ。誰が勝利したかは別として、大統領選がもたらしたのはアメリカの選挙システムに対する怒りと不信だった。はっきりしているのは、この怒りを生み出したのはロシアだということだ。

公聴会に呼び出されたテック企業を含め、言論の自由という観点からこの論争に終止符を打とうとする者もいる。しかし、共和党の上院議員ジェームス・ランクフォードはこの議論に反対だ。「これは言論の自由を巡る闘いに対する異議申し立てではありません。むしろ、言論の自由を守ろうとする闘いそのものなのです。2人のアメリカ人が言い争っているとしましょう。自由にやらせればいいのです。でも外部の人間がそこに首を突っ込みたがるようなら、それこそ問題でしょう」

「これらのプラットフォームをつくり出したのはあなた方です。そしていま、誤った使い方がされています。どうにかしなければならないのもあなた方でしょう。さもなければ、わたしたちがやるまでです」(民主党上院議員ダイアン・ファインスタイン)

一般的にはテック業界に対して友好的と見られてきた、カリフォルニア州選出のファインスタイン。この発言は、選挙戦中に明らかになったこの問題について、与野党のどちらも法整備を考えているということを印象づけた。

連邦法は選挙広告の広告主に対して、その資金源を公開するよう義務づけている。だが、バーはテック3社もこの法律の適用対象に含まれると述べている。「一連の出来事に教訓があるとすれば、すべての者が選挙関連の法律を守るようになるということであってほしいと願っています」

民主党のジョー・マンチンは3社に対し、超党派で議会提出されたネット広告規制法案「Honest Ads Act」を支持するよう求めた。法案はテレビ局やラジオ局と同様に、メディアプラットフォームに対しても、選挙広告や意見広告についてはそれが広告であることを明記した上で、広告主などの情報を含むデータベースの構築を義務づけるものだ。

ツイッターとフェイスブックは先に、こうしたデータベースを公開する方針を明らかにした。だが、広告であることの明記については、テレビ局やラジオ局のそれと同様なのか示されていない。

フェイスブックもツイッターも、法的解決策の模索で当局と協力していくと話している。ファインスタインは「わたしたちがいなくなるなんてことはありませんよ」とし、テック企業が迅速に行動を起こすよう求めた。

「これらのアカウントがやりとりしたダイレクトメッセージについて、本委員会に情報を提供するつもりはありますか?」(民主党下院議員ホアキン・カストロ)

この質問は下院の情報委員会で出たものだ。TwitterのダイレクトメッセージおよびFacebookのチャットについて、ロシアの偽アカウントから送られたものに関して内容を開示する意図はあるか尋ねている。これまでのところツイッターもフェイスブックも、この種の情報を議会に提出していない。そしてカストロの質問への反応を見る限り、近い将来そうする予定もないようだ。

ツイッターのエジェットは、「ダイレクトメッセージはユーザーのプライヴェートなやり取りです。ツイッターはプライヴァシーに関する権利とそれを保護する責任を非常に重く受け止めています」と答えた。ストレッチは「難しい問題」だとした上で、「調査したうえで可能なことは実行するつもりです」と述べるにとどめた。

このやりとりにより、透明性の確保を重視するそぶりとは裏腹に、一般的には情報は要請がない限り公開しないという企業側の姿勢が明らかにされた。そしてロシアのオンラインキャンペーンを巡っては、まだ解明すべき点が多いということも示されている。

「トランプ陣営がロシアが作成したコンテンツを拡散させていたかどうか、また逆にロシア側がトランプ陣営のコンテンツをシェアしたことがあるのか調査しましたか?」(民主党下院議員ジャッキー・スペアー)

この日もっともわかりづらいやりとりは、下院公聴会の終盤に起こった。スペアーは選挙戦のほぼ同時期に行われた2つのツイートを取り上げた。1つはトランプ陣営、もう1つはRTのツイートで、どちらもヒラリー・クリントンの健康状態に関するものだった。スペアーはツイッターとフェイスブックに、ツイートの内容が似ていることに気づいたかと尋ねた。

両社はいずれもこの質問より前に、ロシア側とトランプ陣営が同じユーザー層をターゲットにしていた証拠はないと明言している。しかしスペアーの質問はこれとは異なり、コンテンツの類似性についてだ。

にもかかわらず、どちらも的外れな答えをした。ストレッチは「フェイスブックは関連するすべての情報を委員会に提出しています。この委員会の重要な役割はここにあるのではないでしょうか。委員の皆さんは、どんな企業よりもはるかに大量のデータにアクセスできるわけです」

この答えは要領を得ないだけでなく、特定の投稿なりツイートなりが別のアカウントによってシェアされたかを一番よく知っているのはプラットフォームを運営する会社自身である、という点において意味不明だ。あるアカウントが発信したコンテンツがどこかで再投稿されたからといって、必ずしもそこに共謀があったという証拠にはならない。

リツイートや再投稿は至るところで行われている。広く拡散していくようなコンテンツは、もともとシェアされやすいという性質を持っているものなのだ。

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