2021.05.25撮影
この立派な、表面がダンボール紙の中身みたいな葉っぱは、ユキノシタ科(Saxifragaceae)ヤグルマソウ属(Rodgersia)の、Rodgersia aesculifolia の葉です。若い時にこういう銅色っぽい色をしています。中国北部原産です。白、または、ピンクの花をつけます。
学名 Rodgersia aesculifolia「栗の葉のヤグルマソウ」
英名 Chestnut-leaved rodgersia「栗の葉のヤグルマソウ」
和名 ないもよう
以下で、画像をどうぞ。
日本でヤグルマソウと呼ばれるのは、Rodgersia podophylla で、和名の場合、属名(ヤグルマソウ)と種名(ヤグルマソウ)が同じです。北海道西南部、本州、朝鮮半島に分布します。白い花をつけます。
学名 Rodgersia podophylla
和名 ヤグルマソウ
よく似た、もうひとつの中国原産のは、Rodgersia pinnata で、中国語で「羽叶鬼灯檠」と呼ばれます。これも白い花をつけますが、園芸種には、白に加え、クリーム色、ピンク色、赤、もあります。
学名 Rodgersia pinnata
中国語名 羽叶鬼灯檠
以下で、画像をお確かめください。
ここで、以下の便利なサイトをご紹介しておきます。クリックで開かないと思いますので、リンクをコピペしてお出かけください。
中国植物物种信息数据库(中文)
検索は、中国語、あるいは、学名を使ってすることができます。記事は中国語で書かれていますが、中国語を知らなくても、日本語で使う漢字の知識と学名をたどっていくことで、内容は結構わかるものです。わたしは、薬草なんかについて何度も利用したことがあります。
例えば、Rodgersia aesculifolia「栗の葉のヤグルマソウ」について調べてみると、次のページが出てきます。
Rodgersia aesculifolia「七叶鬼灯檠」(中文)
ここを見てみると、「鬼灯檠」の部分が Rodgersia にあたるようです。
・中国北部原産の Rodgersia aesculifolia「七叶鬼灯檠」
・中国(四川、雲南)原産の Rodgersia pinnata「羽叶鬼灯檠」
・日本原産の Rodgersia podophylla「鬼灯檠」
でも、不思議なのは、中国語での属名「鬼灯檠」を、「七叶鬼灯檠」「羽叶鬼灯檠」などの中国原産の種に与えずに、日本原産であって、中国原産でない種である Rodgersia podophylla に与えていること。
地元産の植物の名前の方をそこの言語で、名称としては優先するのが多いのだと思っていたのですが(例えば、日本では、日本のフジが「フジ」、中国のフジが「シナフジ」)、そうでもないのでしょうか。
ヤグルマソウ属(Rodgersia)の属するユキノシタ科(Saxifragaceae)の主だった属を挙げておきます。
ユキノシタ科(Saxifragaceae)
ユキノシタ属(Saxifraga)
アスチルベ属(Astilbe)
ヤグルマソウ属(Rodgersia)
ヤグルマソウとアスチルベは、特に姿が似ていますね。
さて、ここの Rodgersia aesculifolia が「栗の葉の」と呼ばれる理由ですが、それは、葉の軸からの出方・広がり方と、ダンボール紙の中身みたいな葉の表面とが、セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)の葉に似ているためです。そして、セイヨウトチノキは、英語で Horse chestnut「馬の栗」、あるいは、単に Chestnut「クリ」と呼ばれます。
セイヨウトチノキの葉と幹(画像のみ)