
2021.05.14撮影
指貫(ゆびぬき)ベリー、という見慣れない言い方を使いました。理由は、和名は、多分、ないからです。それで、英名 thimbleberry を訳しました。
英名の thimble というのは、お裁縫をするときの「指貫」です。もちろん、英名を単にカタカナにして「シンブルベリー」とすることはできたのですが、「シンブル」では日本人には意味がわからないし、「th」の音を「sh」の音に変えるのは、英語を常用するわたしには忍びなかったのです。
この「指貫」、ベリーの形を言い得て妙なのです。それで、thimble の部分は、日本語に訳すのが適切だ、と判断しました。
ただ、これは、西洋の「指貫」です。その「指貫」の、表面がぶつぶつとなっているのと、全体の盛り上がりにご注目ください。西洋の指貫と日本の指貫は、形が異なり、よって、装備の仕方も異なりますが、ぶつぶつの部分は、同じようにぶつぶつです。
西洋の thimble(指貫)の例の画像は、以下でどうぞ。
次に、指貫ベリーの真っ赤なベリーをご覧ください。まだ赤くないのは、熟れていません。
thimbleberry(指貫ベリー)の実の画像は、以下で。
ベリーの大きさは、径が1.5センチぐらいです。これをどう食べるか、というと、指を使うなら、そうっとつまんで、花托からはがすようようにして掌に取り、そのまま口を掌に近づけて(掌を口に近づけて、というよりも)食べます。
もっといい食べ方は、指を使わない方法です。なぜなら、指を使うとベリーをバラバラにする恐れがありますから。原始的ではありますが、口をそのものをベリーのなっているところへ近づけ、ベリーを唇ではがすように食べるのです。
指貫ベリーこのように可食部分がもろいので、商業ベースには乗っていません。よって、知る人ぞ知る、でしかないベリーなんです。
花托を図示したものを載せます。
指貫ベリーは、甘さと酸っぱさが最高なバランスで混じった味で、一度食べれば忘れられないぐらい。わたしは毎年このベリーが庭でなってくれるのを楽しみにしていて、熟したのから順番に唇を使って食べます。そうたくさんはできないのです、ブラックベリーなんかと比べると。
学名は、変なんですよ。Rubus parviflorus の Rubus は属名ですが、parviflorus はどう考えても、変じゃ? これ、「小さい花」という意味だと思うんですよ。でも、指貫ベリーの花は、2〜6センチもあり、ブラックベリーなどの花より大きいです。大きく、花びらが、風に揺られて、ひらひらするぐらいです。それとも、ベリーの粒々が小さい、という意味?? 何かわたしが誤解をしているのかもしれません。
葉っぱは、5つに分かれたカエデのような形で、大きいのは20センチほどにもなります。柔らかく、色は黄緑色に近いです。姿の美しい植物で、庭のおおっておきたい部分に植えておくには最適。他の植物と葉の触感と色が異なるので、庭の景観に変化をつけるのにもいいです。冬には落葉しますが、春にはきれいな葉っぱのついた茎を伸ばしてくれます。その後、美しい花が続き、おいしいベリーもできる、という最高の植物です。
thimbleberry(指貫ベリー)の葉の画像は、以下でどうぞ。