あの日、一瞬の光の中で街が焼き尽くされ、7万人が命を落とし、辛うじて生き残ったけれどもその年のうちに亡くなった人を含めて10万人が犠牲になった。
煙のように消えた人、真っ黒に焦げた人、亡くなって、川の中洲に引っかかっていた人にも、大火傷をおって、救護所で亡くなった名もわからない人も
その朝まで家族があり、同僚があり、生活があった。
その人たちの誰かの人生。
ひと時の幸せや、たわいない会話、我々と同じく生活の中のちょっとした問題があったりしたのだ。
どの話にも原爆が落ちる瞬間と、その後の様子がある。
読むのにも気力がいる。
3つの話を3回に分けて読んだ。
作者は童話作家であり、字が大きくスペースが適度にあるので、視覚的には読みやすい。
悲惨な話とわかっていても、
知らずにはいられない心理がある。
今生きている我々の祖父母、曾祖父母は
どの人もその時代の中にあった。
私も今生きている人たちも無関係ではないのだ。
当時、広島市にいた祖母に直接話を聞いたのは、
彼女が90歳近くになってからだ。
それまではなかなか聞けなかった。
聞いたには聞いたが、ごく一部分だけ。
ウチの子たちにもちゃんと知って欲しい。
スマホの動画やネットのアニメだけじゃなくて、たまには戦争について見たり聞いたりする機会を持つべきだ。
新しい世代が手に取るのに、
適したボリュームと読みやすさ。
読み終わった後にその話の光景がくっきりと心に残る一冊。