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◎『けものフレンズ2』9話感想……カラカルの心情の変化や3人の絆の為に犠牲になったイエイヌ。もう少し何とかならなかったのか

2019-03-12 12:46:30 | ほぼ週刊サンマイ新聞

 

<↑次回(10話)はいよいよゴクラク回!?(フウチョウコンビ)>

 

 TVアニメ『けものフレンズ2』の9話を観た。ネットはまたしても炎上したが、当方としては9話の内容は良いほうだと思っている。“カラカルの心情の変化”が1~9話を通して物語の主軸になっていると解釈したからである。1話の時点ではキュルルの「おうち」探しにそんなに乗り気ではなく、好奇心旺盛のサーバルに付き添う形でしかなかったカラカルが、9話ではキュルルを守る為にビーストと戦った。あてのない過酷な旅を続けていくうちに、キュルルとカラカル(、サーバル)の絆が深まっていたという、本来なら感動に値する話になる……はずだった。


 このように話の内容としては良かったが、問題点が2つある。

(1)カラカルの心情が変化する過程の描写が不足している
(2)この感動の為にイエイヌが大きな犠牲になった


 まず(1)について。一つ一つの過程の積み重ねを経て後半や終盤で感動に繋げるのがクール放送アニメの醍醐味でもあるが、9話で「キュルルを守る為に戦うカラカル」を感動として大成させるには、それまでの1~8話でカラカルの心情が少しずつ変化していく過程を丁寧に描写しなければならなかった。唯一4話でオオアルマジロとオオセンザンコウに対し「何者か知らないけど流石に勝手すぎるんじゃないの?」と文句を言ってキュルルを守ろうとする場面はあったが、本当にそこくらいで、他でのカラカルは特段目立つことも無くただのツッコミ役に徹しているだけだった。
 例えば3話で海に溺れるのがサーバルではなくカラカルで、それを助けるのをキュルルにするだけで、カラカルがキュルルを守りたいと思う理由が一つ増える。6~8話で毎回登場するセルリアンも、毎回サーバルのワンパンで済ませずに、1回くらいはキュルルとカラカルが協力して倒す場面があっても良かったかもしれない。このように8話までに一つ一つの過程を積み重ね、9話でそれらを回想シーンとして入れることで、より視聴者を感動させることが出来たはずなのだ。


 次に(2)であるが、イエイヌは自分の家から居なくなった“ヒト”を探しており、キュルルが来たことで当初は大喜びしていたが、ビーストが近くに潜んでいることを急いでサーカラの元に知らせに行くキュルル、そしてキュルルを守ろうと戦うサーカラ、その3人の絆を見て、「自分の探しているヒトはキュルルではない」ことを察し、自ら身を引いたわけだが、主題が3人の絆(特にキュルルとカラカルの絆)に終始してしまったせいで、キュルルを守る為に傷だらけになったイエイヌを手当もせず放置してしまう結果になってしまったのだ。尺の都合など色々事情はあったとは思うが、イヌを飼っている視聴者を敵に回してしまい炎上に繋がることは容易に想像できたはずだ。

 一つの主題を成立させる為に誰かを犠牲にしてきたのは9話だけではない。もう手遅れだが、2期は全体的に脚本に問題があることをスタッフは自覚すべきである。

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