※読む順番
◎仕事上のコミュニケーションを今更頑張った話(第1話→第2話→最終話)
↓
◎東京シャープストーリー(序章→第1話→第2話→第3話)
===
【第四部:飲み会断られちゃった】
新たな登場人物は、還暦を超える女性スタッフ。名前は……アラシックスとでもしておこう。前回の70歳とは違い、この女性はシャープの味方である。
(アラシックス)「あんた何? 女性恐怖症なの?」
(僕)「うーん……そんな時期もありました」
(シャープ)「なんか、裏切られたことでもあるの?」
(僕)「そうですね……もう6年も前のことですけど」
職場の休憩室に3人だけ。僕は忘れもしない、黒髪セミロング眼鏡っ娘、通称KSMの話をした。
(関連記事:◎薔薇色への架け橋(第3話))
(僕)「連絡先も教えてくれないなら、あの笑顔は何だったのかっていう」
(シャープ)「いやそれ、裏切られたんじゃ無いでしょw」
(アラシックス)「勝手に思い込んでいただけじゃん」
僕の失敗談で、その場は異様なまでの盛り上がりを見せていた。
そして数日後。
(アラシックス)「アンタの悩み、もっと聞いてあげるわよ。今度さ、飲みに行かない?」
(僕)「えっ?」
(アラシックス)「シャープさんも呼んで、三人で」
三人――この三人なら、飲んでみたいと思った。あの日盛り上がった三人。敵が存在しない、人間関係に悩むことも無い、秘密を共有し合える“特別な三人”なら。
しかし、
(アラシックス)「じゃあシャープさんも誘ってみるね」
その2週間後。
(僕)「飲み会の件、シャープさんは何て言っていました?」
(アラシックス)「なんか返事を曖昧にされて、それ以後何も言ってこないの」
まさかのシャープが乗り気でない状態。友人に相談したら、その場でメッセージを送って聞いてみることを薦められた。
(LINE)『お疲れ様です。夜分に失礼します。以前話に出たアラシックスさん含めての3人での飲みの件ですが、もし本当にやるなら、これから年末で忙しくなるので日程を早めに決めたいと思うのですが、シャープさん的にはOKですか?』
程なくして既読にはなったが、返信が来たのは21時間後のことだった。
『その話まだ生きてたの!?
おばちゃん二人なんかと飲んでどうすんの?』
たった二行、それだけの返信。
(友人A)「お前……たぶん嫌われているよ」
嘘だ。僕のことを何度も面白いと言ってくれた。何度も笑顔を見せてくれた。
LINEにおけるシャープが別人格のようにそっけない態度を取るのは今回だけではなかったが、それを差し引いてもこの文章はとても信じ難い、信じられない、信じたくない表現だった。
そもそも、シャープとの飲み会が実現不可能になっただけでもショックは大きい。僕は来年の春に職場を異動になるかもしれない。シャープとの残された時間は僅か。それなのに、飲み会をたった一度開くことすら許されないのか。
翌日の職場。僕はシャープに何も話さないつもりでいた。しかし、
(シャープ)「あれ誤解しないでね。別に僕さんが嫌とかじゃないからね。色々あってね……」
シャープのほうから話しかけてきた。その言葉が救いだった。
(友人A)「いやそれも嘘かもしれないじゃん」
確かにそうだ。その可能性もゼロではない。
それでも僕はシャープの言葉を信じ、コミュニケーションを辞めなかった。やはり何度も笑ってくれた。あの二行のメッセージさえ無ければ、僕とシャープの関係には何の変化も無かった。
幸いにも僕はモデル、メガネ、チョコ棒の三人の女性とも定期的にコミュニケーションを取ることで、悲しみを少しは和らげることが出来た。それでもシャープが僕のことをどう思っているのか、ずっと気がかりでいるのだ。
例えば『シャープが嫌っているのはアラシックスのほう』だとか『もし70歳にバレたら話がややこしくなるから』とか、仮説はいくらでも立てられる。しかし、立証する術が無い。嘘発見器でも使わない限り、シャープに聞いたところで真実を教えてくれる確証は無いからである。
この問題の真相を解き明かせる日は、果たして来るのだろうか。
(一旦Fin.)
※2019.9.18追記:ようやく続きを書きました→第5話
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます