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オクトパス・ドクトリン。。。相手を恐怖させた方が交渉はまとまるのか?

2023-10-08 15:35:08 | 政治
日本人の気質から言うと、交渉というのは「和」を結ぶもの、という感覚があるように思います
ところが、世界には「別の交渉方法」を得意とする国があります。。。それがイスラエルです
今日あたり見ると、日本でもパレスチナのガザ地区の武装勢力ハマスによって、イスラエルに数百人規模の犠牲が出ていることが報道されています
これがエスカレートすると、本当の中東戦争、そして世界大戦に移行していく可能性を秘めているという点においては
世界にとっての脅威であることは間違いありません
すでにイスラエルのネタニヤフ首相は、「ガザ地区のハマスのアジトを瓦礫にしてやる」と公式に宣言しています

最近では中東地域の情報に詳しい日本人も増えつつはありますが、知らない方のためにご説明申し上げますと
ガザ地区はイスラエル南部の小さな地域で、過去、パレスチナとイスラエルの間で、何度も自治権を巡って争いの絶えなかった地域で
現在はパレスチナ自治区(世界ではパレスチナを正式な国として認める国も多くある)に所属する地域です
そのガザ地区の武装勢力を「ハマス」といい、レバノン(イスラエルの北に隣接する共和国)の武装勢力「ヒズボラ」とともに
イスラエルに対するテロ攻撃を中心にした武装集団です

この二つの代表的な武装集団の他に、イラク、シリア、イエメンなど、反イスラエルの武装集団が各地に存在しており
その反イスラエルの旗頭になっているのが、イランという国だと言われています
イスラム教には主に二つの派があり、一つはサウジアラビアを中心盟主とするスンニ派
そしてもう一つがイランを中心盟主とするシーア派です

イスラム教は今から1200年以上前、ムハンマドという預言者が開いた宗教であり
そのムハンマドから宗教的教主を引き継ぐのが「カリフ(ムハンマドの法を継ぐ正当な後継者)」と呼ばれ
シーア派はムハンマドから4代目の(3代目カリフ)「アリー(ムハンマドの養子)」を正式な後継者とする宗教です
スンニ派はウマルが初代カリフ、ウスマーンが2代目、アリーが3代目とするイスラム教です(シーア派ではアリーが初代カリフとされている)
分かりやすく言えば、キリスト教がカトリックとプロテスタントに分かれたように、イスラム教にも各宗派があるわけです
当然、スンニ派とシーア派ではカリフが別に分かれているわけで、同じくムハンマドを初代預言者とし
同じ経典(コーラン)を持つ別の宗教になっているわけです
そのスンニ派の代表が、盟主国サウジアラビアで、UAE(アラブ首長国連邦)の他、イスラム教徒の約8~9割がスンニ派で主流派です
一方のシーア派を代表するのが盟主国イランで、他にイラク、アゼルバイジャン、バーレーンなどの国が、シーア派を過半数に持つ国です

余談ですが、最近のペトロダラー(石油ドル体制)の崩壊も、この宗教問題を理解するとよくわかります
アメリカの中東戦略がなぜサウジアラビアを中心にしているのかというと、それはやはり主流派スンニ派の中心国であったからでしょう
アメリカの中東支配(オイル支配)戦略は、基本的に「対立」を軸としているわけで
サウジアラビアとイランの対立を軸にした宗教対立を上手く利用して、サウジアラビアを味方につける戦略が、これまでの主流戦略でした
サウジアラビアにはシーア派のイランの他にも、イスラエル(ユダヤ教)という敵対国があり
その両国との敵対関係を利用し、サウジアラビアの安全を保障する代わりに、中東でのオイルマネーをドル建てにする、という
キッシンジャー元国務長官の中東戦略をそのまま引き継いで、アメリカは、これまで石油利権を、サウジを中心にして握ってきたわけです
そのアメリカのペトロダラーが崩れた原因は、バイデンがサウジの国情を深く理解しないで、人権問題でサウジ皇太子を批判したことが一つ
もう一つは、アメリカドルを使う事の危険性を各国が認識したこと。。。アメリカに逆らった場合はドル資産が凍結されるリスクがあること
もう一つ、アメリカは信頼の置けない国であることが露呈したこと(ウクライナがアメリカの駒のように使い捨てされようとしている姿)
最後に、アメリカの軍事力が案外弱いことが露呈してしまったこと(兵站が弱く、武器供給能力に問題があることが露呈したこと)

余談が長くなりました
ここで表題のオクトパス・ドクトリンを分かりやすくご説明しますとね
要するに、ハマスとかヒズボラとか、これらの武装勢力は、いわばタコ(オクトパス)の足のようなものだ、という考え方なのです
これはイスラエルのモサドの長官が最近言っていたことでもありますが
要するに、これ以上イスラエルへのテロ攻撃や戦争行為が続くようなら、次はタコの頭を狙う。。。ということ
そのイスラエルの基本的な防衛思想をオクトパス・ドクトリンというわけです
このタコの頭。。。というのは、基本的にイランの指導部のことです。。。つまり、イランの指導者を「ぶっ殺す」と言っているわけです

アメリカのCIAは、実はモサドやイスラエルについての情報をほとんど持っていない、ということが最近露呈しています
ということは、アメリカもまた、イスラエルの今後の動きについて、正確なところを把握できていないという事です
いま、アメリカのバイデン政権は、アラブの盟主サウジアラビアとイスラエルの和平を実現させようと躍起になっています
それは最近のアメリカの凋落を何とか食い止めようという動きでもありますが、もう一つは明らかに来年の大統領選をにらんだ動きでもあります
しかしながら、イスラエルの方はというと、まあ、バイデンの動きをあてにして外交交渉を進めるような弱腰ではないでしょうね
間違いなく言えることは、バイデンの交渉が駄目なら、自力交渉を行う腹はあると思います
それは、「戦争も辞さない」という覚悟がある。。。ということです
イスラエルにとって交渉とは「和を結ぶこと」だけではありません。。。目には目を。。。これが、ユダヤ教徒の交渉術でもあります

最近のウクライナのクリミア攻撃もまた、非常に危険な動きだということを、多くの日本人はほぼ認識していません
なぜクリミアに対する攻撃が危険なのか?それはね。。。「ロシアの安全保障にかかわる最重要拠点の一つがクリミアである」からです
ウクライナ単独では、クリミアに攻撃を仕掛けることはほぼ不可能と言われています
そこを攻撃するという事は、西側。。。つまりNATOが深く関わっていることを意味するわけです
これもまた、核戦争を誘発する最大の引き金の一つです

来年は、この二つの火種の他に、おそらくは東アジアでの戦争の危機がくるでしょうね。。。
もはや日本は対岸の火事として眺めていることは不可能でしょう

それではまた
コメント
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