上映日:2020年01月25日
第一次世界大戦の終戦から 100 年を迎え、イギリスで行われた芸術プログラム「14-18NOW」と、帝国戦争博物館の共同制作で、帝国戦争博物館に保存されている記録映像を再構築することで誕生したドキュメンタリー映画。
監督ピーター・ジャクソン
第一次世界大戦のモノクロの記録映像を修正、着彩、3D化。
兵士一人一人の表情まで伝わる精細な映像と退役軍人たちの膨大なインタビューで戦争の静かな始まりと地獄の西部戦線、そして、帰還兵への市民の冷遇が描かれる。
「兵士たちはカラーで戦争を目撃していた。白黒ではなかった。」
命令されるのはイヤじゃなかった考える必要がないからだ。
入隊せずに町で暮らしていると、「なぜ入隊しないの?」と聞かれる。そして、臆病者を表す白い羽を振られる。
訓練開始。ただの一般市民を軍人に変える訓練。
最初の数日は楽しかったが、その後は地獄だった。これは戦争だ。
六週間の訓練を終えると「明日から海外派兵だ」と突然言われた行き先は知らない。
帰ってこられないだろうと思っていた。
西部戦線の塹壕戦鉄条網に引っかかっている死体の数々。
ある時、話していた仲間の頭が吹き飛んだ。
あの匂いは忘れられない。ネズミの腐ったのよりも何百倍も臭い。食べ物まで匂いが染み込んだ。散らばっている死体にも慣れ、どうせ次は自分だと思っていた。ネズミは丸々と太っていた。理由は明らかだ。
倒れた仲間に目もくれず進んだ。手に痛みを感じて手を見たら、穴があいていた。
ドイツ兵を撃った。18歳くらいの少年でかわいそうだったので水筒の酒を飲ませた。彼はありがとう、うまいと言って死んだ
戦場に抱いていた憧れは消え去った。
「塹壕を出て突撃」との命令が下る。戻ったら撃つと軍曹に言われた逆らえるものはいない。
左腕と左足を吹き飛ばされた仲間が左目が飛び出た状態で祖母の名を叫んでいた。楽にしてやろうと彼を撃った撃。つしかなかった。辛かった。
投降してきた者も殺した。虐殺は何時間も続いた。
勝ち負けはどうでもよかった。
医者に大丈夫かと聞かれたから、はいと答えると後頭部を撃たれていると言われた。
ほとんどのドイツ兵には復讐心はなかった。大抵は好人物のドイツ人だった。彼らは礼儀正しい家庭人で子供思いだった。ドイツ人と意気投合した。「この戦争は無意味だ」と。ドイツ人は戦争にうんざりしていた。誰もがやめたがっていた。
終戦が発表された。発表時、喝采などなかった。
家に帰って、入隊後初めてベッドで眠った。翌朝、私を起こしにきた母が見たのは床で眠る私だった。
友人が戦死した。彼の母を訪ねると、敵意むき出しだった。私だけ生き残ったからだ。
帰還兵への風あたりは強い。「帰還兵は応募不可」という求人もあった。
皆、戦争に無関心だった。両親は何も言わなかった。感謝の言葉もなかった。たまに父と戦争の話をすると反論してきた。現実を知らないのに。
戦争を避ける努力をすべき。正当化できる理由はない。
理解の範疇を超えていたのだろう。昔のサッカー仲間が横で殺される気持ちを理解できるわけがない。
誰も英雄じゃない。殺されるのは嫌だ。
戦争は恐ろしい。意味のないものだと歴史が裁定するだろう。
仕事に復帰して唯一頭にきたことがあるこう聞かれた。
「ずっと、どこに行ってたんだ?」