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映画『ピータールー マンチェスターの悲劇/ピータールーの虐殺』(2018) 「世界は良くなってる?」

2020-12-29 | 映画感想
ピータールー マンチェスターの悲劇/ピータールーの虐殺(2018)
Peterloo
上映日:2019年08月09日/製作国:イギリス/上映時間:155分
監督マイク・リー脚本マイク・リー
出演者ロリー・キニア
ノミネート
金獅子賞 ·/ヴェネツィア国際映画祭 女優賞/ヴェネツィア国際映画祭 男優賞/マルチェロ・マストロヤンニ賞/ヴェネツィア国際映画祭 審査員特別賞




ピータールーの虐殺(1819年8月16日)のシーンが凄すぎる
面白い。
ラストの虐殺のシーンは規模もものすごいし
音楽もなく
大喧騒の中
殴られる女性、刺される老人、馬に踏まれる赤ん坊などを
手抜きのないカメラアングルでガンガン撮りまくっていく。
どんなに大変な撮影だったことか。。


〝1819年にイギリス・マンチェスターで起きた、イギリス史上最も残忍かつ悪名高い事件として語り継がれるピータールーの虐殺”
へ向かうまでの道のりを
さまざまな人物や集団を通してすべて描いていく。

『シカゴ7裁判』っぽい。

そりゃ2時間35分かかるわ。
国の酷さ、指導者の胡散臭さ、民衆の無知さ
集団ごとに演説する人が数人いて
それぞれが結構長々と演説するんですけど、
喋ってるうちに自分の演説に酔ってきちゃって
悦に入った大演説になってくる。
ほとんどキリスト化しちゃう人もいるし
ミュージカル風になっちゃう人もいる。
それを聞いて飲み込まれる人がおおいけど
訝しげに見たり
そもそも喋ってる内容に疑問を持っている人もいる。

誰かを主人公にすることなく
とにかく全ての人を描く。
ひたすらに手抜きなく描いていく。
**
人物像がほんとに多彩。多面的。
なんでこの映画、評価低いんだろ。。
**

民衆の愚かさも描いてます。

人身保護法が停止される。
人身保護法は不当な逮捕や拘束から国民を守る法律。
この法律が停止されることの重大さを国民は知らない。
人身保護法自体を知らないし、その価値も知らないから。
知らないからむしろ
人身保護法の停止を支持してしまう。

存在の薄かった女性たちを色濃く描く

市民に投票権をっ!
っつっても当然のように「男性のみ」だし
女性団体もそんな男性を全力で支える。

紙を抑えるだけの女性とかほんとに残酷な描写。。
それをさせてることに何の疑問も持ってないあの指導者の酷さよ。
集会に参加する女性たちに
「夫のそばに戻れ!」
「子供の世話は!?」と罵声を浴びせるのもまた女性たち。。


「権利とは要求するものではない。
生まれたときからすでにあるもの。
ないのなら奪われてる。」

**

そして、ついに集会の日。
女性や子供も参加する集会は、
武器もナシで、
正装して
旗と月桂樹だけを持って
ほのぼのとした空気で始まる。

ものすごい規模の撮影だな。
エキストラ何人いんのさ。

そこに刀を持った騎馬隊が大量に侵入してくる。
女性も子供も関係なく容赦なく刀で攻撃される。

200年前の出来事だが、命を落とした名もなき市民が私たちに問いかける。
「世界は良くなってる?」


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