映画感想(ネタバレもあったり)

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ドキュメンタリー映画『ヌードの映画史~黎明期から現代へ~』

2025-02-02 | 映画感想

ヌードの映画史~黎明期から現代へ~(2020年製作の映画)Skin: A History of Nudity in the Movies
製作国:アメリカ
上映時間:131分
監督 ダニー・ウルフ


そもそもこのドキュメンタリーは、2017年に活発化した#MeToo運動の流れで作られている。

MeToo運動自体は2006年からあるとのこと。
日本での#MeToo運動は爆発しなかったけれど
それぞれの動きがエンパワーし合って断続的に連鎖して広がりを見せている状況。

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〝映画と性〟についての3本のドキュメンタリー
『セルロイドクローゼット』(1995)、
『トランスジェンダーとハリウッド: 過去、現在、そして』(2020)、
とこの作品『ヌードの映画史~黎明期から現代へ~』(2020)
の3本のドキュメンタリーを見ると〝映画と性〟についての理解が深まりますね。

映画と性は切っても切れないものだけど、
社会にある差別意識を強調するものでもある。
性描写は必要不可欠であると同時に暴力的で俳優の人生を破滅に追い込むものでもある。

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メモ

⚫︎ヌーディ映画=ヌーディストたちをドキュメンタリーとして撮影した映画。
⚫︎芸術とか健康とか言ってヌードを映してた。
⚫︎『質屋』(1964)。ナチの強制収容所で妻子を殺されて以来、人間不信となって心を閉ざしていた男が絶望から立ち直っていく。
ガス室では全裸にされるので、女性の全裸を見るとトラウマが発生する男性の話。
⚫︎ジェーン・マンスフィールド『プロミセズ・プロミセズ』

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ヌードがただ単に美しいものだったら人はこんなに興奮しないでしょうね。

ヌードになることにはストレスがあり
ヌードを見ることにも少しのストレスがあるからこそ
いざ見た時に「あらまぁ🧡」と興奮する。

人がストレスを与えられてそれを乗り越える様子を見て興奮するのは、スポーツと同じ。
アイドル活動やサバイバルオーディションも同じかと。

ヌードになる前とヌードになった後でストレス度合いが全く変わらないならおそらくそれほど興奮はしないんだと思う。
それだけにヌードというのは怖いもの。

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映画黎明期から数十年はヌードになるのはほぼ女性。

このドキュメンタリーでも前半はずっと女性のヌード。
その権力勾配の不均衡さに辟易して見るのも辛いし
実際、ヌードの威力でスター女優になってもそこから自分の人生を生きることが難しくなった例もいくつか描かれて、
やはりヌードが持つ暴力性にどんよりする。

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そして1934年、キリスト教によるヘイズコードでヌードは規制され、裸のシルエットすら禁止に。

60年代に新しい価値観が広まると、ヘイズコードは1968年に終わる。

特にヨーロッパでは女優は脱いで当たり前の感覚に。

日本でも若手女優が脱ぐことで演技派は脱皮!みたいな時代も長くあった。

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長年寄り添ったパートナーとかなら裸(ヌード)はストレスがかなり少ないでしょう。
その親密性を表すためにヌードが映画に必要なこともある。

裸を隠す必要のないシチュエーションなのに〝映画だから隠す〟のではなく
〝必要だから出す〟というその必要性を演者側も納得したときに
ヌードシーンが生まれることは何の問題もないでしょう。

逆に何っっの意味もないのにヌードになることは
ギャグシーンもしても成立するとは思う。

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ただ、やはりオーディションの段階でヌードになる必要があったり
ヌードになれないなら役から降りろと言われたり
ヌードの撮影のときに現場に知らない人がわらわらと集まってきたりするのは超問題。

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日本のインティマシー・コーディネーターは現在4人で、
そのうちの1人は男性。 また、2人はリスペクト・トレーニングを受けたこともあるとのこと
(ハフポスト https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_67281c5ae4b07ebc5a29b9fe



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