夫が在宅勤務にいそしんでいる間、
やることのない私は、PCに向かう夫を
遠くからぼんやり眺めていました。
夫を眺めているうちに、私は自分の愛犬が、
同じように私を見つめていたことを思い出し、
愛犬の目を借りて自分自身を眺めているような錯覚に陥りました。
私は犬を飼い始めたとき、
犬が無心に、しかもずいぶんと長い間、自分を見つめてくることに驚き、
犬は何を考えて私を見つめているんだろうと不思議に思ったものでした。
でも、心を空っぽにして夫を眺めてみて、
愛犬と同じ立場で人を見つめてみて分かったのは、
犬が私を愛していたということでした。
愛していたから、見つめていたのでした。
もうすぐ愛犬が亡くなって1年になります。
犬のまなざしは、今でも私の中で生き続けています。