自由な時間が一挙に増えた2年前から今まで過去にあまり関心を
寄せなかった本などにも興味を持つようになり、コロナ騒動が起きる
前には書店を覗いたり、価格のことなども考えてふらっと古書店へ
入ってみたりしていた。
その頃から『歳時記』なるものに興味がわき、月に何度も今日は
何の日?と二十四節気とその七十二候の中身を覗くようになった。
一年の行事や折々の自然や風物を月ごとに列挙し、解説を加えた
書物というイメージがあるが、最近は俳句の季語を集めて分類整理し、
解説や例句を載せた書物、俳句の手引き書という事でよく知られて
いるのではないだろうか。
一昨日あたりから間もなく梅雨に入るという予報が出て爽やかな五月があっという間に過ぎてしまっている事に気づいたが歳時記を見ると今は
一年を24等分し、それぞれの季節に名前をつけた二十四節気の『芒種』。
『芒種』とは稲や麦など穂の出る植物の種をまく頃のことという解説の
中に『芒(のぎ)』とは稲の穂先にある針のような突起のことを言う・・・と
ある。
この頃が田植えの目安とされ、農家が忙しくなる頃であり、梅雨入りも
間近ということから蒸し暑くもなるという説明がある。
二十四節気をそれぞれ3等分して表したのが七十二候・・・。
いずれも普段の慌ただしい生活の中ではなかなか巡り会えるような
言葉ではないことを思うとあらためて日本語の素晴らしさを感じる。
今(6月10日~15日頃)は二十四節気の一つ芒種でそれが三つに
分けられそのひとつである『次候』の『腐草為蛍=(くされたるくさほたる
となる)』という期間であるという。
草の中から蛍が舞い、明りを灯しながら飛び交う頃で古くは、暑さに
蒸れて腐った草や竹の根が、蛍になると信じられていたそうだ。
水辺や野の暗がりに浮かんでは消える蛍の光は、まさに夏の風物詩。
夏の夜を幻想的に照らし出してくれる・・・という素晴らしい解説もある。
水辺や野の暗がりに浮かんでは消える蛍の光は、まさに夏の風物詩。
夏の夜を幻想的に照らし出してくれる・・・という素晴らしい解説もある。
そして来週になると16日からは芒種の『末候』の『梅子黄=(うめのみきなり)』で梅の実が黄ばんで熟す頃・・・となる。
実に趣がありそのかおりが漂ってくるような気がする。
この国に生まれ育ち、裕福ではなくても多くの人たちがお互いに助け合い心豊かに真面目に正しく生活できることは嬉しい限りである。
私たちの身近にある美しい自然や風物詩とそれを感じ、感謝しながら
生きていく姿こそが『美しい日本』なのであろう。
私利私欲と利権、嘘と保身にまみれた首相が『美しい日本』と謳っても
国民の胸には全く響かない。
彼によって本来の意味がねじ曲げられ汚された言葉がなんと多いことか、彼がしたり顔で何度使おうと美辞麗句にさえならない。
言葉はそれを使う人によっていきいきと輝きもすれば朽ち果てる
結果にもなるということを見せつけられ、思い知らされるものである。