君は誰?25

2024-11-18 10:53:46 | 日記
松田は、楽しげに宝箱に入っていた謎の鍵をポケットに入れた。

さらに用務員室の探索は続いた。

奥にも部屋がある。

正人は、落書きだらけの引き戸に手をかけた。

「ん…ん…、開かない」

「錆び付いてるるわじゃない?」

松田も一緒に扉に手をかけた。

「本当だ…。せーので開けるよ」

「うん」

「せーの!」

正人と松田は、力ずくで扉を引いた。

ずずず…。

やっと、人ひとり通れるくらいの隙間が開いた。

「え?」

「何?」

「人が居たような気がした」

「まさか、こんか暗闇で…」

「でもさ、人が居たような匂いじゃない?」

「うん…言われてみれば…」

「汗くさい…というか…。」

君は誰?24

2024-11-15 09:45:41 | 日記
ギギギ…。

鈍い音をたてて宝箱が開いた。

正人が懐中電灯で照らすと、入っていたのは、鍵。

「なんの鍵だ?」

「さらに、どこか、宝のありかの鍵だったりして」

正人は笑った。

「そうかも知れないな…、こんな箱に入れて置くんだもんな…この校舎のどこかに、本物の宝箱があるのかも!」

松田は、小さな鍵をポケットに入れた。

「やめろよ。物を盗ったらヤバいよ」

「こんなの、本物の宝箱の鍵のワケないよ。もし、さらに宝箱があっても、盗んだりしないし。」

「そうそう、箱を開けるまでが、宝探し!もしも、貴重品とか出てきたら警察届けるから」

松田は、心霊スポット巡りからいつの間にか宝探しに変化してしまったように、興奮気味だった。

君は誰?23

2024-11-11 10:51:50 | 日記
ビーズなどで装飾された小さな宝石箱のようなモノを見つけた。

「宝物が入ってたりして!」

松田は、迷わず箱を手にした。

「開けるよ!いい?」

松田は、カウントダウンごとく、宝箱を手にして二人を見た。

「やめろよ」

直樹は思わず止めた。

「大丈夫だよ!宝が入ってるかもよ!」

松田は、ニヤリとして、箱の蓋に手を掛けた。

「ん…?開かない」

「そりゃそうだろう…宝箱だからな」

正人が笑った。

「いやいや、そしたらますます宝が入ってるって事じゃん?」

「鍵穴らしきモノは無いな。じゃ、錆び付いてるだけだ」

松田は、力ずくでこじ開けた。

ギギギ…。

小さい箱にしては、かなり渋い音をたてて、少しずつ開いていった。



君は誰?22

2024-11-07 09:35:30 | 日記
ズルズル…と、鈍い音を立てて扉が開いた。

「…ん?」

何年も人が使わない部屋なら、埃臭かったり、カビ臭かったりするものだが…、汗のような臭いがする。

「誰か住んでるのかな?」

松田がつぶやいた。

「まさか、人が住めるような感じゃないよ。」

懐中電灯で照らされ見えた部分は、整然としたよえに見えたが、その奥は、かなり荒らされている。

「これ、何?」

松田は、ビーズなどで装飾された宝石箱を手にしていた。




君は誰?21

2024-11-04 09:00:24 | 日記
用務員室は、入口の引戸がキチンと閉まっている。

そっと手をかけると、びくともしない。

「開かないよ…」

「鍵掛かってるんじゃない?」

「鍵?」

鍵がある部分のガラスが割られていて、手を差し込めるようになっている。

「開けてみるよ」

正人が割れたガラスの隙間に手を差し込んだ。

「あ、ホントだ。鍵が掛かってる。」

しばらくカチャカチャ…と、何やら確認している。

「鍵…。スライドして開けるタイプのやつだ」

再びカチャカチャと試行錯誤していると、カチャン…と、軽い音がした。

「…開いた…」

「よし!」

松田が扉に手を掛けて重い扉をズルズル…と、鈍い音を立てて引いた。