その後しばらくは、坂元も忙しそうだった。
なので、七美も不安になる事もなく過ごしていた。
「特に変わりない?」
時々原田からも心配するLINEが来ていたが、
「大丈夫です。縁が切れて2カ月くらいになりますが、とりあえず坂元さんからは音沙汰もなく過ごしているので、もう大丈夫かも知れません。過去にはいろいろあったのかも知れませんが、もう彼は変わったのかも知れません。」
「そうだね。まぁ、そのうちお酒でも飲もう」
「はい。ありがとうございます。」
坂元と別れて2カ月…。
平和を取り戻した日常が戻ってきて、たけるを実家に預ける心配もなく、穏やかに過ごしはじめていた。
ある日の夜…。
深夜、トイレに起きた七美。
布団に戻ろうとした時…、
コトン…。
聞いたことの無い音に足を止めた。
コトン…。
なんだろう…。
玄関前の通路から聞こえる。
ドアスコープを見ても何もない。