翌日も、草刈りをした。
旅館の裏手は身長と同じくらいの雑草が生えていて、一筋縄ではいかない。夏はやぶ蚊も多く、暑くても長袖を来て作業をする。
「昨日の話し…、事件ってなに?」
梨花は早速聞いてきた。
「『いさみや』の前は民宿らしいんだけど、その前は普通の民家だったんだって」
それは、昨日、父親が言っていた。
「その家は3人家族でさ、ひとり事件に巻き込まれたとか…」
「事件…?!どんな?」
「詳しくはわからない」
「なんだ…わからないのか…」
梨花は期待外れの答えに、ガッカリしてみせた。
「夕美んちのじいさん、何か知ってんじゃない?」
徹弥が興味津々に夕美に話しをふってきた。