灯りひとつない山道を自転車のライトだけを頼りに進んできた3人。
「あ、あれだ!」
冗談を言う余裕も無くなった頃、正人が自転車を止めて指をさした。
うっそうと木々が生い茂る小道の奥に、ひっそりと、暗がりに白く大きな建物が見えてきた。
自転車を止め、懐中電灯を照らすと、さらに白く大きな建物の全貌が見えてくる。
当たり前だが、灯りひとつない。そもそもは、灯りがあったんだろう…と思われる電柱の街灯も、今はもう切れている。
本当に懐中電灯だけが頼りた。
この懐中電灯が切れたら真っ暗闇。
予備の灯りを持ってくれば良かった。
まぁ、でも、最悪はスマホの灯りで凌げるだろう…。