君は誰?8

2024-09-17 09:10:45 | 日記
昔は、楽器の音色や生徒たちの歌声を放ち、賑やかだったろう…と思うが、今はもう、数年間も人が訪れない音楽室は、し…ん…として、かなり不気味だ。

パキパキッ…、3人の足音が室内に響く。

「とりあえず、廊下に出よう」

正人が呟く。

教室と廊下の境目の窓ガラスも割られていて、かろうじて引き戸だけは残っている。

ガリガリ…。

渋いがゆっくりと引き戸を引いた。

「え?足音?」

松田の声に二人が立ち止まった。

「何?

「上の階から足音が聞こえた…」

「え?まさか…。」

「俺たちの足音だよ。静か過ぎるから反響したんだ。」

「…そうか…。だけど、ちょっと音が違う気がして…」

「気のせいだよ」

「…そうだな。」

松田は、自分に言い聞かせるように呟いた。