子供の頃の不思議体験 3

2019-11-28 07:17:33 | 日記
玄関を開けると、映画にあるような、エントランスがあり、目の前には広い階段があるような…なんて、お屋敷みたいなものを想像しますよね。

実際はそんな豪華なイメージではなく、外観だけが洋館で、中は和洋折衷のこぢんまりした雰囲気でした。

内装はそれほど荒らされてはいませんでしたが、埃がたくさん積もり、もう何年も人が住んでない感じではありました。

「やっぱり、誰もいないね」

佳代ちゃんの声が響きます。

高い吹き抜けのある狭い玄関の先には、奥行きのある狭い廊下があり、その横にしっかりとした手すりの付いた階段がありました。

暗くかび臭く、しんと静まり返って、自分たちの少し怯えた吐息が玄関吹き抜けに響きます。

「奥、行ってみる?」

勇敢な佳代ちゃんは、既に一歩廊下の奥へ踏み出そうとしていました。

「やめとこう!」

私は、不安と違和感を感じて、これ以上先に進むことは出来ません。

「ここに階段がある…」

さらに一歩踏み出した佳代ちゃんは、2階を見上げていた。

「ね、もう、やめとこう!」

怖じ気づいた…というのか、私はもう、一歩も先に進めませんでした。

…というのも、二階の踊り場から見下ろされるような視線を感じたのと、急ににおいが変わったからなんです。
今までの埃くさいにおいから、古い衣類のにおい…というか、樟脳(しょうのう)のようなにおいに変わったのです。

樟脳(しょうのう)って知ってますか?
昔の人が良く使った衣類の防虫剤です。
私のおじいちゃんが着ていた着物から、時々そんなにおいがしたものです。

…なので、そのにおいから、人の気配を感じたのです。

つづく。。。


コメントを投稿