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老舗旅館「河音屋(かわねや)」の長男、中学校2年生の吉川逸夫は、自分が“普通”で退屈な事を嘆いていた。同級生の木内敦子は両親が離婚、級友から酷い虐めを受け、誰よりも“普通”を欲していた。文化祭を切っ掛けに、2人は言葉を交わす様になる。
「タイム・カプセルの手紙、一緒に取り替えない?」。敦子の頼みが、逸夫の世界を急に色付け始める。だが、少女には秘めた決意が在った。逸夫の家族が抱える、湖に沈んだ秘密とは?大切な人達の中で、少年には何が出来るのか?
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2011年、小説「月と蟹」で第144回(2010年下半期)直木賞を受賞した道尾秀介氏。「ラットマン」等、大どんでん返しが仕掛けられた作品を生み出す一方で、「月の恋人~Moon Lovers~」等の“駄作”も在ったりと、自分の中では「作品の優劣が結構在る作家」という印象が在る。
今回読了した「水の柩」は、「家族や知人の隠された過去を知る事で、戸惑い&悩み乍らも、成長して行く少年。」を描いている。作者としては「逸夫の家族で在る、或る人物の“過去”」、そして「或る人物の“現在”」を大どんでん返しとして仕掛けたのだろうが、「驚きは全く無かった。」というのが正直な所。結構早い段階で此の仕掛けが読めてしまったし、ストーリー展開も「略100%、予想の範囲内で進んで行った。」ので。