一定年齢以上の人ならば、「日本紙幣に描かれた肖像画で、最も印象深いのは誰?」と問われたら、恐らくは殆どの人が「聖徳太子!」と答える事だろう。自分もそんな1人で、昔は銀行強盗事件を扱ったTVドラマに「"聖徳太子"強奪!」みたいなタイトルが付けられる程、「日本紙幣(特に高額紙幣)=聖徳太子」というイメージが広く浸透していた。
先日、或るラジオ案組で、「日本紙幣に描かれた肖像画」に付いて取り上げられおり、意外な事実を知る事に成った。自分の記憶を遡ると、「自分が"リアル・タイム"で、日常生活で普通に使われている日本紙幣として"初めて"認識したのは、『五百円札、千円札、五千円札、そして一万円札の4種類。』なのだが、其れ等の"表面"に描かれていた肖像画は『五百円札:岩倉具視、千円札:伊藤博文元首相、五千円札:聖徳太子、一万円札:聖徳太子』。」だった。詰まり、「肖像画として聖徳太子が描かれていたのは、五千円札と一万円札だけしか知らない。」のだけれど、何と「千円札の肖像画にも、聖徳太子が描かれていた時代が在った。」のだと言う。自分よりも"先輩"の方々ならば、「そんなの知ってるよ。」という"常識"なのかも知れないが、自分にとっては全く知らない事実だった。
そして、更に意外だったのは「肖像画として聖徳太子が描かれた千円札、五千円札、そして一万円札の3種類"全て"が、"同時期"に発行されていた期間が約7年1ヶ月在った。」という事実。「発行され"ている"3種類の紙幣の肖像画が、全て同じ人物。」というのは、今では考えられない事だろう。
で、気に成った事が在る。「日本紙幣に描かれた、其れ其れの肖像画の"寿命"って、何年位なんだろう?」と。"肖像画として描かれた人物の寿命"では無く、要は「各紙幣に描かれた肖像画の"切り替わり"は、何年位なんだろう?」という事が知りたくなったのだ。
其処で「"昭和に入ってから発行開始と成った日本紙幣"で、尚且つ"表面"に肖像画が描かれている物に限定("裏面"の肖像画として紫式部が描かれている二千円札は除く。)し、又、"様式符号"は一切無視し、飽く迄も各紙幣に描かれた肖像画が切り替わる迄の"切り上げ年数"。」を調べてみた。"主に"参考にしたのは此方で、基本的には「寿命=支払い停止年ー発行開始年」としたが、一部に「支払い停止年が記されていない物が在った。」事から、其れに付いては「其の額面の肖像画が切り替わった年=支払い停止年」と見做して計算した。
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① い五銭札:肖像画は楠木正成。肖像画寿命は9年。
② い一円札:肖像画は武内宿禰。肖像画寿命は15年。
③ 一円札:肖像画は二宮尊徳。肖像画寿命は12年。
④ 五円札:肖像画は菅原道真。肖像画寿命は16年。
⑤ 十円札:肖像画は和気清麻呂。肖像画寿命は16年。
⑥ 二十円札:肖像画は藤原鎌足。肖像画寿命は15年。
⑦ 五十円札:肖像画は高橋是清元首相。肖像画寿命は7年。
⑧ 百円札:肖像画は聖徳太子。肖像画寿命は26年。(参考にした資料以外では「乙号券」という物が記されており、其れによると「発行開始:1930年1月11日」で、表面の肖像画として聖徳太子が描かれている。参考資料よりも16年も前という事に成り、途中で2回支払い停止を挟んではいるが、主に参考とした資料とは異なり、今回は"別の形"で計算した。以下、同じ扱いとする。)
⑨ 百円札:肖像画は板垣退助。肖像画寿命は21年。
⑩ 二百円札:肖像画は武内宿禰。肖像画寿命は1年。
⑦ 二百円札:肖像画は藤原鎌足。肖像画寿命は1年。
⑧ 五百円札:肖像画は岩倉具視。肖像画寿命は43年。
⑨ 千円札:肖像画は日本武尊。肖像画寿命は1年。
⑩ 千円札:肖像画は聖徳太子。肖像画寿命は15年。
⑪ 千円札:肖像画は伊藤博文元首相。肖像画寿命は23年。
⑫ 千円札:肖像画は夏目漱石氏。肖像画寿命は23年。
⑬ 千円札:肖像画は野口英世氏。肖像画寿命は20年。
⑭ 千円札:肖像画は北里柴三郎氏。現在発行中。
⑮ 五千円札:肖像画は聖徳太子。肖像画寿命は29年。
⑯ 五千円札:肖像画は新渡戸稲造氏。肖像画寿命は23年。
⑰ 五千円札:肖像画は樋口一葉さん。肖像画寿命は20年。
⑱ 五千円札:肖像画は津田梅子さん。現在発行中。
⑲ 一万円札:肖像画は聖徳太子。肖像画寿命は28年。
⑳ 一万円札:肖像画は福澤諭吉氏。肖像画寿命は23年。
㉑ 一万円札:肖像画は渋沢栄一氏。現在発行中。
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日本紙幣で肖像画寿命が一番長いのは「五百円札の岩倉具視の43年」、逆に一番短いのは「二百円札の武内宿禰と藤原鎌足、そして千円札の日本武尊の其れ其れ1年(厳密に言えば、肖像画寿命「6ヶ月14日」の日本武尊が最も短いのだが。)」という事に成る。
お札大好き人間なのですぐに飛びつきました(笑)。
私の中では100円札の板垣退助が、実際に使った肖像画のお札では最も少額でした。
肖像画の無い紙幣では国会議事堂の10円札を使った記憶も微かにあります。
1000円札の聖徳太子はどうだったか・・・子供が持つには高額な紙幣でしたから、記憶があやふやなのかもしれません。
もう10年以上も前の話ですが、大手スーパーのレジで10代後半=20代前半ぐらいの店員さんに、面白半分で岩倉具視の500円札を出したところ、一瞬戸惑った表情をして、近くの年配店員に確認していたのを、横目でニヤニヤと・・・性格悪いですね(苦笑)。
使用歴のある札だったのでそのまま支払いにあてましたが、若い子には「これって本当のお金?」と思われたのでしょうね。
亡き父が取集マニア(?)で、切手やマッチ箱等の他に古銭も収集しておりましたので、肖像画が板垣退助の百円札や国会議事堂の十円札は保管しているのですが(実際に使われた経験が在るというのは、凄いですね!
若い人達にとっては、非常に古い紙幣は"玩具"に見える事でしょう。又、「"円表示"で在れば、"非常に古い紙幣でも、"原則として"使用出来る。」事を知らない人も結構居られる事と思います。
北里柴三郎氏等の新札が登場して未だ日が浅いのですが、驚いてしまった事が在ります。或る大手スーパーの話ですが、其処は支払いが全て機械任せで、何と「使えるのは新札オンリー(野口英世氏等の前の紙幣は使用不可。)。」と成っている事。「"旧札"しか無い客は、サーヴィス・カウンターで新札に交換して貰ってからじゃないと使えない。」という事なのでしょうが、一寸問題を感じました。