23日付け東京新聞(朝刊)の「こちら特報部」に、「おかしくないですか?受験機会 平等ですか? 大学入学金『二重払い』27%」というタイトルで、「志望する大学の合否が判明する前に、"滑り止め"の大学に入学金を納めなければ成らない、所謂"二重払い"。」に付いて取り上げていた。
自分が大学受験したウン十年前にも、此の二重払いは存在していた。当時から大学受験料は馬鹿高く、併願した場合の受験料総額は、非常に負担だった。加えて、自分の場合は幸いにもしないで済んだのだけれど、高額な入学金を二重払いせざるを得ない知人が何人も居り、他人事乍ら「大変だなあ。」と思った物。
有志の若者グループ「入学金調査プロジェクト」が、「昨年10月~11月、3年以内に大学受験した学生を対象に行ったアンケート。」の結果を、1月22日に記者会見して発表。其れにょると、「回答を得た1,093人の内、入学金の二重払いを経験したのは約27.0%に当たる『281人』で、又、『入学するか判らない段階で、入学金を支払う可能性が在る入試を選択肢から外した。』と答えた人は約13.5%に当たる『141人』にも上った。」と言う。二重払いを問題視する学生は9割近くに上り、「実際に二重払いしたり、志望先を変更したりする等、合わせて大学生の約4割が当事者と成っている現実。」も明らかに。
同プロジェクトのメンバーで、学習塾に勤務し、学生が経済的な理由で志望校を悩む姿を目の当たりにして来た森田友華さん(27歳)は、「此の数字は可成り大きい。保護者世代から続いている問題だ。」とした上で、「国立大学を目指す場合は、多くの私立大学の入学金納付の締め切りが間に合わない。学生が納得しなくても、保護者が負担している。大学受験自体が不安を煽る事で、ビジネスと成っている。」と指摘している。
文部科学省によると、2023年度の大学の入学金は、私立大学の平均が約24万円、国立大学が約28万円、公立大学が約37万円と成っている。そして、全国大学生活協同組合連合会が、2024年度に全国約140の国公私立大新入生の保護者約2万6千人を対象に実施した調査では、「大学受験から入学迄に掛かった費用で、予定と違って困った事。」として、約22%が「入学しない大学に、入学金や授業料を払った事。」と回答したとか。
元記事には「滑り止めの私立大学を立て続けに不合格と成り、受験生だけでは無く其の家族迄もが大パニック状態に陥ってしまった事から、第1志望の国立大学の合否判定前に、唯一合格した私立大学1校に、約30万円の入学金を払わざるを得なかった。」という、20代女性の話が載っている。当然、既に支払った入学金約30万円は、返還される事が無かったろう。
入学金を巡っては、2006年に最高裁が「入学出来る地位を得る為の対価だ。」として、「大学側が返還する必要は無い。」との判断を示している。少子化が止まらない我が国に在って、「何とか収入を確保したい。」と悩む大学に、「入学金の二重払いは当然。」という気持ちが在るで在ろう事は理解出来る。
でも、「裕福な家庭は二重払いして色んな大学を受験出来るが、其の選択肢が無い(貧困)家庭も在る。経済力によって、受験機会に不平等が生じている。」、「志望順の高い大学に、追加や補欠で合格し、短期間で二重払いの判断を迫られるケースも在り、規制が必要だ。」という森田さんの指摘は、尤もな事だと自分は思う。
超党派の国会議員で作る「子どもの貧困対策推進議員連盟」の教育格差に関するワーキング・チームに参加する事と成った入学金調査プロジェクトは、「入学しない大学に入学金を支払わなくて済む様、入学金の納付期限の延長等を求めた他、現行制度の合理性の検証を求める要望書を提出した。」という事だが、「優秀なのに、貧困家庭で育ったというだけで、受験機会の不平等に悩む子供達が、1人でも減って欲しい。」と切に願う。
大学受験の裏にそういう事情が隠れているとは知りませんでした。
私自身は大学受験に縁が無かったし、子供は行きたい私大にOA入試で入ったので。
少子化時代に乱立している私大を淘汰するどころか、延命の手助けをするような制度に最高裁がお墨付きを与えていたとは、恐れ入りました。
しかし、受験合格者をみすみす逃がしたくないという私大側の事情も分かりますし、受験者側の滑り止め受験も理解します。
むしろ「入学金の二重取り」といえる制度に違和感が。
例えば食事会でA店を押さえていたけれど、本命のB店のキャンセル待ちもしていて、前日になってB店からOKの連絡が入った場合、A店をキャンセルすれば「キャンセル料」が発生する場合がありますね。
キャンセルされたA店からすれば、食材を仕入れ従業員の手配もしたのに、ドタキャンで収入無しは死活問題だし。
私大も同じように「キャンセル料」として「入学金」よりも安い設定をすればいいんじゃないのかな。
しかしそれよりも私大自身が滑り止めではなく、本命として選ばれるよう魅力づくりに励むのが本道だとは思いますけどね。
経営実態が怪しい私大がたくさんあるとも聞きますし。
自分が受験生だった際には、併願での受験料総額の高さに頭を悩まされました。そして、自分自身は当該しなかったものの、入学金の二重払いに苦しむ知人達の話を聞き、憤りを感じたものです。
でも、受験生だった時代からウン十年が過ぎ去り、其の頃の憤りが忘却の彼方に在った今、今回の記事を読んだ次第。矢張り、自身が当事者では無いと、色々忘れ去ってしまう物なんですね。
フジテレビ内部の異常さが、今に成って騒がれていますけれど、「知名度が高い組織が、全て真面という訳では無い。」し、其れは大学にも言える事。偏差値的には低い大学で在っても、学校関係者の志が高い所だって在る筈。そういう所は更に磨きを掛け、又、悠々遊様が指摘されている様に、経営実態の怪しさ等、問題が少なく無い大学は猛省して改善を図るか、其の儘で淘汰されるかしか無いと、自分も思います。
必死で頑張っているのに、"当て馬"として使われ、経営が厳しい大学にとっては、入学金の二重払いを当てにしてしまう気持ちは理解出来無くも無い。なので、入学金よりも安い"キャンセル料的支払い"の創設というのは、一考に値するかも知れませんね。