「自分のチームの選手達に、何とかタイトルを取らせてやりたい。」という指揮官の気持ちは理解出来るし、“そういう遣り方”がルール違反な訳でも無いので、「絶対に許せない!」と声高に批判する気は無いけれど、でも球界のレギュラー・シーズン終盤に毎年の如く見られる「タイトルを取らせる為の作為的なバックアップ」が自分は好きで無い。
「タイトルが掛かった選手達は作為的なバックアップを受ける事無く、正々堂々と真っ向勝負して欲しい。」という思いが在るのだが、「プロで在る以上、タイトルを取れるか取れないかで、翌年の年俸が大きく変わる。」という現実も在るのだから、「正々堂々と真っ向勝負」というのも現実問題として難しいのは確かなのだけれど・・・。
昨夜行われたジャイアンツの最終戦では、「『最多勝利が掛かった内海哲也投手』と『首位打者が掛かった長野久義選手』を、原辰徳監督がどう起用するのか?」を注目していた。最多勝利に関しては、全144試合を既に終えたドラゴンズの吉見一起投手が18勝でタイトルを確定させており、此の日の試合で内海投手が勝利を上げれば同じく18勝となり、ダブル受賞に。「原監督は『先発として内海投手を投げさせ、勝ち星を掴ませるのか?』、『其れとも先発は別の投手にして、ジャイアンツが勝っている状態で5回表から内海投手に継投させ、勝利投手の権利を与えるのか?』。」を注目。
又、タイガースのマット・マートン選手の打率を、僅か3厘差上回る形で打率1位の座に在る長野選手。「原監督は『スタメン起用するのか?』、『其れとも長野選手の逃げ切りを図るべく、最終戦は休ませるのか?』。」が気になった。
内海投手には先発登板を、そして長野選手にはスタメン出場を自分は期待していたのだが、残念乍ら其れは叶わなかった。内海投手は5回表からの登板で、長野選手はスタメンから外れる事に。原監督の“親心”は理解出来るけれど、真っ向勝負で挑んで欲しかった。
とは言え、内海投手が登板したのはジャイアンツが2点負けている状況で在り、長野選手は最後の最後に代打という形で登場。内海投手は9回表迄5イニングを投げ切るも、チームは1点ビハインドで敗色濃厚。「内海投手の最多勝利達成は無理だな。」と九分九厘諦めていたのだが、9回裏のジャイアンツの攻撃でまさかまさかの無死満塁のチャンスが到来。此処で代打として登場した長野選手が、奇跡の代打逆転サヨナラ満塁本塁打を放ち、内海投手も最多勝利が確定。
内海投手が最多勝利のタイトルを獲得したのは、素直に嬉しい。「此処一番に弱い投手」と過去に何度も批判して来た内海投手だけに、今季の力投は心から敬意を表しているから。長野選手の代打逆転満塁サヨナラホームランを目にして、嬉し泣きをしていた内海投手の姿には、自分も貰い泣きをしてしまった。
長野選手の場合は、マートン選手が2試合を残しているので何とも言えないが、出来る事ならば首位打者を獲得して欲しいもの。打撃不振の儘レギュラー・シーズンを終えた今季のジャイアンツの中で、長野選手は“打撃面で評価出来る数少ない打者”の1人だから。
両選手の起用法に不満は在ったけれど、結果として嬉しさが在り、複雑な思いは在る。良い試合を見せてくれた事には、感謝の思いのみだが。