ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

現場警察官の職場環境

2007年02月16日 | 時事ネタ関連
数年前の話だが、明らかに”卑怯な遣り口”で交通違反の切符を切られた経験が在る。その警察官自身も卑怯な遣り口を疚しく思ったのか媚を売る様な目で、こちらが何も言っていないにも拘わらずクドクドと言い訳がましく違反理由を口にしていた。それ迄は警察に対してそう悪い感情を持っていなかった自分だが、この一件で少なからずの反感を持つ様に。唯、そうは言っても、現場の警察官に対しては感謝の意を捨てた訳では無い。治安が悪化したとはいえ、それでも我が国が諸外国に比べて格段と安全なのは、現場で頑張っている警察官達が居ればこそと思っているからだ。

先日、東武東上線ときわ台駅付近の踏み切りに自殺を試みた女性が立ち入り、それを阻止しようとした宮本邦彦巡査部長が駅に入って来た急行電車に撥ねられ、数日後に亡くなるという痛ましい事故が在った。又、1992年2月14日未明、東村山署旭が丘交番で大越晴美巡査長が何者かに刺殺された「清瀬市警察官殺害事件」は、一昨日の14日午前0時を以って残念ながら時効が成立してしまった。

昨日の東京新聞には、「現場警察官に聞く職場事情」という特集記事が組まれていた。この中でジャーナリストの大谷昭宏氏がテロ対策だといって警備公安警察が充実されているのに、地域警察は蔑ろにされている。宮本さんも、もう一人警察官が居れば、轢かれないで済んだ筈だ。(中略)昔も今も、刑事への贈り物は『汗をかくからシャツが欲しい。』と言われる。マイカーで聞き込みし、靴を擦り減らす現場が警察の信頼を保っているのに、予算は現場に回っていない。宮本さんの事を契機に、きちんと考え直す可きだ。と語っているが、「本当にその通り。」と感じさせる程、現場の警察官の職場環境は劣悪の様だ。

警察庁によると、主に交番や駐在所を拠点にしている「地域警察官」だけでも、昨年の殉職者は4人(交通事故処理中等の交通事故で3人、犯人追跡中に川に流された事故で1人。)で、今年は14日現在で既に3人が殉職しているそうだ。一昨年以前の殉職者数は「2005年-3人、2004年-4人、2003年-1人、2002年-5人、2001年-3人」という事で、過去6年間で20人の地域警察官が殉職している事になる。多くは交通事故だが、2001年で言えば3件中2件が刃物による刺殺。

銃弾から身を守る防弾チョッキに付いて触れられているのだが、警察が着用するのは厚さ5~8mmの鉄板入りの重い物で、非常に身動きが取り辛い為に現場では着用したがらないというのが実状とか。そんな彼等と対峙するヤクザが、軽量で且つ硬質なグラスファイバー製の防弾チョッキを着用していたなんて話が在るのだから妙なもの。「高品質な防弾チョッキに変更して欲しい。」という声が現場の警察官から上がらない理由に付いて、変えてくれなんて言ったら昇進に差し支えるから、誰も文句を言えない。犯人に刺されても『御前がへまなんだ。』、『鈍くさい。』と叱られてしまう組織だから。」という声が紹介されていたが、命を張る職業に対してこういう精神論的な思考で事を済ませてしまおうとする上層部に憤りを、そして現場の警察官には同情を覚えてしまう。

今回のときわ台駅の事故では自殺しようと抵抗し続ける女性を宮本巡査部長が、何とかホーム下の退避ゾーンに押し込もうと懸命に試みていたと報じられていたが、「腹にパンチするなりして相手を失神させ、退避ゾーンに押し込んでいたら・・・。」という思いが自分の中には在った。しかし元北海道警釧路方面本部長の原田宏二氏によると、警察官は逮捕術等の訓練を受けているが、恐らく過剰防衛となってしまうから、相手にまともに使う事は無い。今回の様なケースでも、何とか相手を怪我させずに保護しようとするから、相手の力をなかなか制圧出来ない。警察官は相手の攻撃より弱い力で取り押さえ様とする。今回も相手が女性で、そんな気持ちが在ったのではないかと思います。との事で、もしそうで在れば宮本巡査部長の無念な思いが一層心に響いて来る。

「警察は夫婦喧嘩でも呼ばれるが、喧嘩は凶悪事件より対処が難しい。高揚している人は信じられない力を出すから。」(首都圏の警察幹部)、「相手が子供や自殺願望者の場合、どんな装備も意味無くなる場合が在る。」(麻薬捜査歴が長い刑事)、「内偵中のグループから自宅を張り込まれた事だって在るよ。女房を殺したら、ただじゃおかないけどな。」(組織犯罪の捜査が長い刑事)、「息子の携帯電話は、自分名義で登録している。息子が死んだ(殺された)時、直ぐ判る様にしてあるんだ。本人名義じゃ、判る迄時間が掛かるだろ。」(刑事)等、現場の大変さを感じさせる証言が掲載されている。

殉職した警察官の遺族に対しては、それなりの額の補償金等が支払われる。警察組織に属している事を錦の御旗にし、傍若無人に振舞っている一部の糞警察官は論外だが、地域の安寧を維持する為に頑張っている警察官に対しては多額の補償金等が支払われるのは当然と思う。又、或る刑事が「殉職者の子供は、無条件で公務員に採用する位の事はやって貰いたい。」と語っているのを無下には否定出来ない自分だが、それ以前に、現場の警察官達の命をもっと守る方策を、警察組織の上層部は真剣に考えて貰いたい。
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10 コメント

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地域の安全 (ハムぞー)
2007-02-16 06:32:41
人がいなくて空の交番を見るたびに、おっしゃるように
昔に比べて警察上部は地域活動を軽視しているようでなりません。

アメリカに行ったとき聞いたのですが、
学校の校門に「スクールポリス」なる人が立っていて学校の安全を守る制度があるのだとか。

例えば中高年の元気な人を「交番のお巡りさん」の補助員や助手として、地域安全の向上を図る。
給料はそんなに高くなくとも
「地域への気持ち」のある、元気なおじちゃん(おばちゃんもあるかも)はいると思います。
それに雇用対策にもなりますしね。

制度的に難しい点もあるのでしょうが、
世界的にも評判の高い「交番制度」の維持のため
なんか一工夫欲しいところです。
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Unknown (アラメイン伯)
2007-02-16 23:16:25
いまどきにない素晴らしい警察官だと思います。
このような勇気のある人が中堅以下にとどまってるところに警察組織の不合理さがありますね。
彼の行動は警察官としてだけではなく公務員として人間として皆の手本となるべきものです。

地域警察が充実すればテロ対策にも有効なはずです。
「24」でもCTUは市警に応援を頼むでしょう。
テロ対策だといって公安を充実させていくのは官僚組織そのものですね。

警察の問題は政治家によるシビリアンコントロールができてない。広い視野で警察組織を統制する人が必要だと思います。
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Unknown (kihara)
2007-02-16 23:35:05
>恐らく過剰防衛となってしまうから、相手にまともに使う事は無い。

時代劇でよくあるシーンですが、自殺しようとするヒロインの横っ面をピシャリと張って「ばかな真似はよせ!」と相手の目を覚ますことはできなかったのですかね。

横っ面をピシャリと張っただけでも、適切な対応でなかった等と論評する困った世の中です。


>学校の校門に「スクールポリス」なる人が立っていて

アメリカの大学キャンパスは麻薬の売買やレイプ事件等の問題があるので、
警察が要るのです。ごつい身体をした警官がピストルを腰に差して大学の構内を巡回する様子を見ると「やっぱりアメリカは怖いな~」と思いました。
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警官もいろいろ (ほーほー)
2007-02-17 11:54:56
どこの組織でもそうですが、すばらしい人、そうでない人がいますね。
大学の時の先輩が、警察官というのは、検挙件数で評価されるといってました。だから、姑息な手段を使うこともあるんでしょう。
昔、人通りもないひろーい住宅街の道路で、犯罪人みたいに、電柱の影にピタッと隠れてる警官を見ましたよ。笑。
おばちゃんバイクを捕まえてましたけど。。
違反は違反だけど、でも、なんとなくなあ~~・・という感じ。
先ほどの先輩は、俺の近くで誰か襲われてくれたら、点数あがるとも。
それから、警察官の給料というのは、高いのか低いのか??婦人警官の友人は、だんな(警官)の給料が安いのでわたしがやめるわけにはいかないとも、言ってました。子育てが大変な時期にも遅い勤務がありますからね。
警察に対しては評価もいろいろだけど、それでも、がんっばってる友人を尊敬しています。
少年犯罪を担当してる。愛情持ってる。
末端の警察官を上の組織の人がどういうふうに評価するか?これが、日本の治安に関係してくると思ってます。
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補足 (ハムぞー)
2007-02-17 12:17:27
>スクールポリス
その話が出たのは、池田小学校の事件があった折です。
その人はアメリカ在住の日本人でしたが
「日本のほうが怖い」と思ったと話していました。

校内の治安というより、対不審者の侵入という点からです。
もっとも「校内の治安」もあるでしょうが・・・
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>ほーほー様 (giants-55)
2007-02-17 13:28:17
書き込み有難うございました。

常日頃、政治家や官僚に毒を吐き続けている自分ですが、仰る様に「何処の組織にも”腐った人間”が居る一方で、そういった人達の分以上も”頑張っている人間”が居る。」もので、政治家や官僚が全て駄目な訳では無いのは言う迄も在りません。

警察組織に関しては、現場で身体を張って頑張っている警察官達をもっと優遇して貰いたいと思っています。「キャリア組」と「ノンキャリア組」という区別が在りますが、キャリア組の場合には大学を卒業後、実質的には現場を踏まずに20代半ばで署長クラスに昇進するという話を昔聞いた事が在ります。これに対してノンキャリア組の場合は、現場で一生懸命頑張っても同じ立場になる迄に20年近く掛かるとも。現状は改善されて来ているのかもしれませんが、地域住民の為に日夜頑張っている警察官をもっと上に引き上げて貰いたいものです。
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補導されたことがあります (マヌケ)
2007-02-18 16:32:11
日本の治安の良さは交番制度もさることながら温和な国民性もあるのではないでしょうか。 それに何よりも拳銃などの火器が広く出回ってないのでアメリカなどとはそもそも社会の根本が異なるという事もあり比較するというのもどうなのでしょう。 スーパーや通販でも簡単に自動小銃が購入できる州があったり言葉の通じない人がたくさんいて誤解やトラブルが生じたり人種の壁が不幸を招いたり日本ではおよそ考えられませんし起こりえません。 よく日本人は諸外国の人に比べて他人への警戒心が少ないとか平和ボケしているなどと言われ続けてきました。 でもそれって良くないことなの? 昔は授業中に外から犬が入ってきて廊下をウロウロしてることとか知らないおじさんが入ってきて鉄棒の授業で逆上がりができない子のお尻を持ち上げたり(今思えばちょっとアブナイ人だったのかな?)とかよくありました。 そろばん塾でも月謝を払っていない子が混じってたり、外で遊んでいると「まぜて」と言いながら知らない子がやってきて遊びに加わったりしたものです。 誰だか分からない人への警戒がなくその分だれとでも仲良くなれた気がします。 今ではむしろそういうシチュエーションでは警戒心が強いですが、社会がこんなだから仕方ないですね。 おまわりさんの地道な努力は尊敬に値します。 余談ですが小学生のころ従兄弟の自転車を夜乗り回していて交番に連れて行かれたことがあります。それから高校3年の時には家業を手伝うため無免許でトラックを運転し配達中に補導されたこともあります。 祖父が政治団体などをやっておりましたものですから近所では有名なアブナイ家族でしたのでおまわりさんには目をつけられており、ワルのレッテルを貼られていたんです。    
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>マヌケ様 (giants-55)
2007-02-18 16:58:11
書き込み有難うございました。

四方を海という”堀”で守られた我が国は、他国に比べると格段と”外敵”からの攻撃に晒されなかったという歴史を持っていますよね。又、御指摘の様に温和な国民性というのも在るのかもしれませんが、銃器が国内に”それ程”出回っていない(最近ではその広まりが問題視され始めてはいますが。)というのも、安寧な国家足り得させていた要因として挙げられるとも思います。

以前、伊豆大島を旅した際、未だに鍵を掛けないで外出するという家が在る事に驚くと共に、感動めいたものを覚えました。昔はそうだったんですよね。幼少時に住んでいた名古屋でも、当時はそういった家が決して大多数では無かったものの、幾つか点在していたのを覚えていますし。

物質的な豊潤さと引き換えに、人間関係に於いて格段の”緊張感”を持たなくてはならなくなってしまったというのは在るのでしょうね。
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Unknown (マヌケ)
2007-02-18 17:27:13
家に鍵をかけない話は五大湖をはさんだ目と鼻の先のデトロイトとカナダでもその治安の違いから話題になりました。 カナダの人は家に鍵をかけないことが多くそれでも凶悪犯罪に巻き込まれたりすることが皆無で、対岸のデトロイトなら毎日誰かが犯罪に巻き込まれて亡くなっているという話でした。 アメリカとカナダの国民性の違いを象徴していました。 カナダでは銃は鹿や鴨を撃つためのものでアメリカでは銃が犯罪を生み出すものでしかなくいくら正当防衛であったとしても人の命を奪うことに使われていること、アメリカ人がそれを真剣に考えなさ過ぎるとコメントしていました。 銃があるから犯罪が起こるというだけではなくおおらかなカナダの人に対してアメリカ人は経済的に裕福になることを目指して誰もがせかせかと活動し、一度財を成すとそれを守ることに神経を使い、他人が競争相手やどろぼうとしか見えなくなってくる人が多いのではないかと結論付けていました。 最近の日本ではピッキング犯罪など多いですよね。 オートロックでも安心できませんし、ただ、考え出すとキリがありませんね。
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>マヌケ様 (giants-55)
2007-02-18 17:45:08
書き込み有難うございました。

御国柄、と言いますか国民性の違いって結構在りますよね。国民性がこれ程迄に違うのですから、御互いに上手くやって行く事は非常に困難なのは当然。でも、其処で如何に折り合いを付けて行くかが、21世紀の”地球人”により求められる事なのでしょう。
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