ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

不倫する奴なんて馬鹿だ。ところが僕は・・・

2007年08月12日 | 書籍関連
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建設会社で主任の肩書きを持つ渡部。大学を卒業してから10年以上経ち、世間的には「おやじ」と呼ばれる年代に入った彼には、2つ年下の妻・有美子と4年前に授かった娘・園美が居り、幸せな家庭を築いていた。

そんな彼の会社に或る日、派遣社員の仲西秋葉が入って来る。31歳の彼女を特に意識する事も無かった渡部だが、或る”事件”をきっかけにして彼女と親しい関係になって行く。家庭に不満が在る訳でも無く、「大丈夫、俺は本気になったりしないさ。若い女性と親しくなれて、一寸心が緩んだだけだ。」と自分を納得させる渡部。しかしそんな思いとは別に、2人の関係は急速に深まって行き、やがて超えてはならない境界線を超えてしまうのだった。

彼女と親しさを増して行く中で、渡部は秋葉の家庭の複雑な事情を知る事となる。両親は離婚し、母親は自殺。彼女の横浜の実家では15年前、父の愛人が殺されるという事件迄起こっていた。そして何よりも彼を苦しめたのは、秋葉がその事件の有力者な容疑者という事実。犯罪者かもしれない女性と不倫の恋に堕ちた渡部の心境は揺れ動く。

間も無く事件が事項を迎えようとする中で、遺族の妹や一人の刑事が真相を暴くべく動き回る。秋葉が渡部に言った「来年の3月31日が過ぎれば、色々と話が出来る。」という言葉。この日は、事件が時効を迎える日を意味する。果たして秋葉は殺人者なのだろうか?
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東野圭吾氏の近刊本「夜明けの街で」の惹句は、「不倫する奴なんて馬鹿だ。ところが僕は、その台詞を自分に対して発しなければならなくなった。但し、その言葉の後に、こう続ける。でも、どうしようも無い時も在る-。」。不倫をテーマにしたこの作品で、東野氏は新境地を開くとしている。それだけの意欲作なのだろうが、正直ピンと来ない内容だった。半分位読んだ時点でその後の展開が大体読めたし、東野作品の魅力で在る「最後に残る何とも言えない切なさ」が全く無く、何とも言えない嫌な感触だけが””の如く心に残っただけだったからだ。

不倫をテーマにしている以上、こういった結末はまあ見えていたとはいえ、それにしても”後味”が非常に悪い。人様の色恋沙汰はどうでも良い事だし、当事者同士が納得しているので在れば不倫だって構わないとは思う。でも自分自身の場合で言えば、不倫という物に対してどうしても好意的には捉えられない。両親が非常に仲が良かった事も在るが、それ以上に子供を大事に考えてくれる人達だったので、「不倫によって当事者達の子供が、どれだけ嫌な思いをするだろうか?」という面に頭が行ってしまうのだ。不倫がバレたカップルの修羅場状態を、以前勤めていた会社で間近に見て来た事も影響している。故に、この作品に余りのめり込めなかったというのも在るだろう。

最後の番外編も余計だったし、とても東野氏の意欲作とは思えない。総合評価は、「非常にガッカリ。」の星3つ

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