4月1日付けの東京新聞(夕刊)に、「ソ連崩壊で国民は恩恵減」という記事が載っていた。「ロシアは、離婚率が非常に高い。」というのは知っていたけれど、「1,000人当たりの離婚率」で言えば、ロシアは「4.7(2011年次)」と世界一の高さを誇っているのだとか。因みに2位はベラルーシの「4.1(2011年次)」、3位はラトビアの「4.0(2011年次)」で、アメリカの「3.4(2009年次)」は4位。離婚が急増している様に感じる我が国は、離婚率「1.9(2011年次)」で36位というのは意外。他には韓国とドイツが共に「2.3(共に2010年次)」で16位、中国とイギリスは共に「2.0(中国は2010年次、イギリスは2009年次。)」で31位。数字だけ見れば、先進国の中ではロシアの離婚率の高さが際立っている。
ロシア政府の統計によると、全土で2010年に離婚したカップルの離婚理由の1位は「アルコールと麻薬」で、全体の41%を占めている。“アル中”が原因というのは、アルコール度数が高いので有名な「ウォッカ」を生み出した国ならではという感じがしたりもする。
続く2位は「家が無い。」で26%。自宅を持てる経済力が無ければ、配偶者は離れて行くという事か?3位は「親族による私生活への干渉」で14%(日本でも、此の理由は多そう。)、4位は「子供が出来ない。」の8%、そして5位は「長らく別居状態だった。」の6%と続いているそうだ。
興味深いデータとして、「ロシアでは、男性は50歳以降、女性は50歳以下の離婚が多い。」というのが在る。離婚経験が在る女性の68%(モスクワでは80%)が50歳以下という統計も。此の点に付いてモスクワ大学人文学部のアンドレイ教官(48歳)は、「避妊具を着けないセックスや未婚の同居が横行し、若者のモラルは低下している。将来を良く考えないで結婚する例が多いのも、離婚増の原因だ。」と指摘。
又、ロシア科学アカデミー社会学研究所のフォードロブナ研究員(72歳)は、「旧ソ連崩壊で、国民の価値観が変わった為。」と分析している。「旧ソ連時代は、国家が国民に多くの保障を与えた。無料で幼稚園や学校に通え、大学にも行けた。結婚すると、無料の寮やアパートを提供して貰う事も出来た。しかし、ソ連崩壊により、こうした恩恵は減少。富裕層の生活水準はどんどん高くなり、所得格差が広がった。良い車を持ち、良いアパートを変える市民が増えた一方で、貧困層は将来に明るい見通しを持ち難くなった。女性側の要求水準が高くなり、此れに応えられない男性が酒類に溺れ、離婚する例が増えた。」と言うのだ。
モスクワ・ノボクズネツカヤ地区教会のソコロフ神父は、「伝統的なロシア正教の考え方の薄れも原因の1つ。」と指摘。「ソ連時代に離婚すると、仕事場や生活を共にする共同体の中で批判され、外国出張も制限されたものだ。『自分を犠牲にして、人を守る。』という正教の教えは、現代ロシア人から消え失せた。」とも。此の場合だと、「“周りの目”が、離婚の制止力となっていた。」とも言える。中国の離婚率が思ったより高く無いのも、同様の理由かもしれない。
最も印象に残ったのは、エリツィン政権時代のコズイレフ元外相の言葉。ソコロフ氏に対して発した嘆きの言葉という事だが、今の日本にも言える様な気がした。
「家族が社会の基盤という価値観がソ連崩壊と共に無くなり、御金が全ての価値基準になった。」。
ソコロフさんに文句言うと、とにかくこの国酒乱が多いんですわ。酒乱の夫/妻なんか持った日には離婚したほうがいいでしょ?実際あの寒さだとそうなるのは分かる。
若者のモラル低下と言うと、私が長年見てる競技でのロシア人選手&立派な中高年関係者の昼メロのようなくっついたりはなれたりぶりはすごいので、若者だけではありません!正教離れやソ連社会の影響もあるのだろうけど、帝政時代からそういう雰囲気はあったようで彼らの生態を「帝政時代的メロドラマ」と表現してたりするので、要は「熱い人たち」みたいです。実際生のロシアンってラテン系っぽい感じを受けるんですよね。
その競技で、結構惚れた腫れたのドラマ人生を好まないタイプ(9割女性)は大抵、北米人か西欧人と結婚し安定するというセオリーが^^;。逆に男性は殆ど外人とくっつかない(北米人に相手にされない?)
ソ連時代より、彼の国でのアル中患者の多さはしばしば報道されていましたね。大統領職迄務めた人物にこんな事を言うのも失礼なのでしょうが、ボリス・エリツィン元大統領が酒を飲んだ状態なんぞは、アル中患者以外の何者でも無かったし。
我が国でも戦時中や戦後暫くは真面な酒が手に入らないという事で、メチルアルコールやエチルアルコールを飲む庶民が結構居たと見聞しますが、其れで体調を崩したり、最悪の場合は死に到る人も少なく無かったとか。ソ連時代も、同様の事が多かったと言われていますね。