“血の涙”という表現が在る。「尋常では無い怒りや悲しみで、溢れ出る涙。」を意味する。4年前に放送されていた大河ドラマ「平清盛」【動画】の中で、保元の乱に敗れて讃岐に配流された崇徳上皇が、憤怒の表情を浮べ乍ら、血の涙を流す場面が在った。実に印象的な場面では在ったのだが、同時に「病気(「目を酷使する作業を継続的に続けていた結果、血が混じった涙が出る様になった。」という話を目にした事は在るが。)や事故でとかなら別だが、強い感情から血の涙を流すなんて事は、本当に在るのだろうか?」と思ったもの。
血の涙という訳では無いけれど、「涙を流し過ぎた結果、失明しそうになった人の話が、ネット上で報じられていた。所謂“泣き女”を職業としている、中国の女性に付いてだ。
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「葬儀のプロの演者、家族に代わって涙で故人見送る、目を酷使し失明の危機に見舞われる事も-中国」(4月4日、Record China)
2016年4月4日、中国は此の日が清明節で、多くの人が墓参りをし、故人を偲んだ。故人との間に忘れ難い思い出があるからこそ、涙を流す事が出来るが、中国では葬儀の際に家族に代わって、故人との別れを惜しむ“プロ”が居る。華西都市報が伝えた。
中国では古くから、故人を響き渡る泣き声で見送る風習が在り、泣き声が小さいと親不孝と捉えられ兼ねない為、プロを雇う人も居る。プロの演者等は、葬儀の際に使用される曲を歌い、故人の名を叫び乍ら、家族に代わって泣くのが主な仕事だ。
42歳の女性も其の1人で、歌唱力に自信が在った彼女と其の夫は、19年前に結婚や葬儀のプロの演者として活動を開始。特に葬儀では、歌唱や泣く能力が遺憾無く発揮されている。彼女は「感情移入し、本物の涙を流す。」をモットーとしており、長年の酷使から危うく失明する程だった。中国の葬儀では線香の他、紙の御金(故人が死後の世界で使う為に作られた物。)を燃やす為、辺りには煙が立ち込める。こうした環境の中で、長年涙を流して来た彼女は、2010年頃から急激に視力が低下し、病院で手術を受けざるを得なかった。術後に状況は好転したが、以前の視力を取り戻す事は出来なかった。其れでも彼女は、此の仕事を誇りに感じていると語っている。
同職業の現状に付いて彼女は、「近年、従事する人が増え、仕事が減っている。都市部では需要が無く、農村部からの依頼が大部分。今の若者は泣いて故人を見送るという風習を知らない人が多く、悲しみを胸の内に秘める事が多い。私達は彼等の感情を解き放ち、声に出し泣く様導く事で、彼等の悲しみを軽減させる事が出来る。」と説明した。
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涙を流すという行為は目に潤いを与えたり、異物を洗い流したりと、良いイメージしか無かったが、悪環境で流し過ぎると良くなかったりするというのを、今回の記事で知った。