現代版わらしべ長者

昔話「わらしべ長者」を御存知無い方は余り居ないだろう。気立ての良い若者が、転んだ時に掴んだ藁に虻を結んで持ち歩いている内に、これを次々と物々交換する事となって、最後は大金持ちになるというストーリーだが、現代版わらしべ長者とも言える挑戦を、カナダの一人の若者が現在試みているのだとか。５月１日付けの新聞に載っていた話だ。

モントリオール在住のカイル・マクドナルド氏（２６歳）がその人で、ネットを利用して物々交換を繰り返しているという。そもそも、彼が挑戦を始めたきっかけは、友人から届いた１通のメールの中で、子供の頃に遊んだ「ビッガー　アンド　ベター」というゲームに付いて触れられていたからだった。グループに分かれて隣近所を廻り、例えば鉛筆１本から始めて、「もっと大きく、もっと良い物」と交換し、最後にゲットした物で優劣を競うゲームが「ビッガー　アンド　ベター」。

大卒後にピザの配達員をしながら、将来に不安を感じていた彼の目にふと留まったのが何の変哲も無い赤いクリップ。これを「ビッガー　アンド　ベター」で、生活基盤の家をゲットしようと、ほんの気紛れで始めたのが最初だったという。

昨年７月１２日、ネット上の物々交換サイト（Ｃｒａｉｇｓｌｉｓｔ・ｏｒｇ）でクリップとの交換を呼び掛けた所、２日後にベジタリアンの女性が、拾った魚形のペンとの交換を申し出て来たそうだ。（「恐らく、ベジタリアンだから、魚には興味無かったのでは。」と彼は語っているが、そんな馬鹿な。）そしてその日の内に、開き戸棚用の手作りノブと魚形ペンとの交換が成立。

物々交換をして行く上で、彼なりの原則が在るのだとか。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
①　不釣合いな交換はしない。（そもそも不釣合いな交換を求めているのではないのだろうか？）

②　相手がその物を必要としている。（１個の赤いクリップが必要だったとは・・・。）

③　出逢いを大切にする為、交換する時は必ず相手に会いに行く。（新しい”出逢い系”スタイル？）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

その後ノブは、「バーベキューセット→ガソリンが漏れる中古の発電機→バドワイザーのネオンサイン→スノーモービル→三日間の旅行→中古の小型トラック→レコーディングの権利→アリゾナ州フェニックスに在る家を１年間借りる契約」と、次々に交換されていった。（因みに、レコーディングの権利と１年間の借家権を交換したのは、フェニックスに二世帯住宅を保有する歌手だとか。）

今は、フェニックスの家（の１年間の借家権）との交換品を求めている最中だというが、世界中から５０件程の提案が来ているという。その内容は、「頭のてっぺんから爪先迄、入れ墨を入れる権利」や「動物のラマ譲渡」、「二人分の全身脱毛の権利」等、奇妙な物も少なくないとか。東京からは、男性クラブ（？）で踊っているというヌードダンサーから、「２４時間踊る。」という提案も届いているそうだ。

たかが１個の赤いクリップが、住居の借家権に化けたというのは驚くべきか？はたまた、世の中には奇特な人が未だ居ると思うべきなのだろうか。