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「病院:2割で自殺発生、半数が癌患者」(9月5日、毎日新聞)
精神科病床の無い一般病院の2割で入院患者の自殺が発生し、約半数が癌患者だった事が、日本医療機能評価機構(東京)の認定病院患者安全推進協議会の調査で判った。協議会は「入院患者の自殺は、病院内の主要な医療事故の1つ。」とし、自殺が起こり易い場所の施錠や研修の実施等、予防や対応の提言を公表した。
調査は2015年、同協議会の会員約1,380病院を対象に行い、約40%から回答が在った。同年3月迄の過去3年間に自殺が発生したのは、精神科病床の無い一般病院では19%。計107人が自殺し、内52人が癌患者だった。又、精神科病床の在る一般病院の67%、精神科病院の79%で、其れ其れ74人、81人が自殺していた。
自殺の場所は、一般病院では病棟内が半数以上を占め、病室や高所の他、トイレ等の人目の付き難い所でも多く起こっていた。又、自殺の直前に、痛みや呼吸のし難さが増したり、抑鬱や興奮、不安等の精神症状が悪化したりしていた。
精神科病床の無い一般病院で、自殺予防対策を実施しているのは半数に留まり、自殺予防対策を学ぶ講習会を開いているのは約1割だった。
提言では、多くの患者が自殺の直前に「死にたい。」と口にする等、助けを求めるサインを発しており、患者の苦しみに傾聴し、具体的な支援を開始すべきだとした。又、癌患者は告知後の自殺率が高い為、自殺予防を念頭に置いた対応が必要としている。
調査や提言作成に関わった河西千秋・札幌医科大主任教授(精神医学)は、「一般病院でも相当数の自殺が起こっている。特に癌患者は様々な診療科で診ており、自殺予防対策は、全ての診療科に関わる問題だ。」と話している。
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「精神科病床の無い一般病院の2割で入院患者の自殺が発生し、約半数が癌患者。精神科病床の在る一般病院の67%、精神科病院の79%で、其れ其れ74人、81人が自殺。」というのは、「想像以上に多いなあ。」という感じだった。
祖母は、癌で亡くなった。最後は肺に転移し、のたうち回る様にして亡くなった。余りの苦しさに「死にたい。」とか「飛行機事故で死ねたなら・・・。」といった事迄口にしていた様だ。そんな状況を知っているので、今回の結果には理解出来る部分も在る。
「全診療科で、自殺予防対策を行う必要性が在る。」というのは其の通りだが、癌患者が悩み苦しむ最大の理由は「死」という事よりも、「絶え間無い激痛」の様に思う。だから、モルヒネを積極的に使用する等の緩和ケアを拡大する事が大事なのではないだろうか。
自分がそういう立場になった事が無いので、飽く迄も想像でしか物が言えないのですが、心の病を罹患した人は、自分の中では自分自身がおかしいとは思えず、逆に他者がおかしいのではないかと思う傾向が強いのではないかと。だからこそ、無理矢理他者に合わせる方向に持って行くのでは無く、人格等を完全否定せずに気長に寄り添い、そして社会と調和する方向に誘導するというのが、凄く大事なのでしょうね。
弱い立場にいる事は、悪い事ではなく、誰もがフォローを必要としている事を、病院側への甘えとして、患者の存在は無条件で許される事を分かれば、それほどの孤独は無いと思います。最も、癌は、心の病とは違って、患者が自主性を取り戻す事で、回復して行くものではないので、手術を施す医師の影響力が強い事は否めないでしょうね。ですが、記事にあるように患者が自主性を取り戻す事が、回復への第一歩だと思います。