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「北朝鮮、副首相を処刑・・・発端は『姿勢が悪い。』」(8月31日、読売新聞)
韓国統一省報道官は31日の記者会見で、北朝鮮の金勇進副首相(63歳)が処刑されたと明らかにした。
朝鮮労働党の金英哲・統一戦線部長(71歳)等は、失敗した幹部等を思想教育する「革命化措置」を受けた。報道官は、「韓国政府は、複数のルートで(処刑等の)情報を確認した。」と述べた。
金勇進氏は、2012年に教育担当の副首相に就任した。韓国政府関係者によると、北朝鮮の国会に当たる最高人民会議が6月に開かれた際、「座っている姿勢が悪い。」と指摘された事が発端となり、「反革命分子」として7月に銃殺刑が執行されたと言う。
対韓国の政策を統括する統一戦線部長の金英哲氏は「高圧的な態度で権限の拡張を図り、権力を乱用した。」等と指摘され、7月から8月に地方の農場で思想教育を受けた。崔輝・党宣伝扇動部第1副部長(61歳)も宣伝事業に付いて金正恩党委員長の指摘を受け、5月末から地方で思想教育を受けていると言う。
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先日、駐ロンドンの北朝鮮大使館公使で在るエリート外交官一家が韓国に亡命した。4月には中国内の北朝鮮レストラン従業員13人が韓国に集団亡命したし、今年に入って他にも北朝鮮の高級幹部の亡命が相次いでいると言う。
「3年前、金正恩党委員長の叔父で、北朝鮮のナンバー2とされた張成沢前国防委員会副委員長が公開処刑された。」時もそうだが、今回の「副首相が公開処刑された。」というニュースも非常に衝撃的。重要なポジションに在る人間が公開処刑されたというのも然る事乍ら、其の理由が「姿勢の悪さ」というのだから。要は「金正恩党委員が少しでも気に入らない人間を、色々理由を作って殺害している。」という事なのだろう。北朝鮮で公開処刑となったのは、今年に入って60人以上にもなるそうだ。“恐怖政治”が敷かれた国というのは、本当に恐ろしい。
嘗て日本でも、恐怖政治が敷かれた時代が在った。近い所で言えば戦時中がそうで、東條英機元首相によって基礎が築かれたと言って良いだろう。彼に関しては様々な捉え方が在るけれど、文献や証言の少なからずが指摘しているのは、「非常に猜疑心が強く、自分に少しでも反対する人間は謀略にて次々と“排除”していた。」という点。治安維持法を元に、憲兵や“特高”を利用して政敵等を排除し、隣組制度で一般庶民を相互監視させた。首相に就任した当初、彼の人気は結構高かったそうだが、気付いてみたら、そんな彼によって国民は雁字搦めにされていた訳だ。
「言いたい事が言えなくなり、雁字搦めの状態になる。」迄、当時の国民はそんな事になるなんて思ってもいなかったのだろう。あらゆる可能性に想像力を働かせる事無く、「そんな事になる筈が無い。」と無根拠に否定していた結果の“自縄自縛”状態。今の日本は、そんな方向に向かって行っている様な気がしてならない。