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「橋下知事、性犯罪前歴者の住所届け出義務化検討」(9月6日、読売新聞)
大阪府の橋下徹知事は6日、未成年者に対する性犯罪で服役した者に付いて、出所後に住所等の届け出を義務付ける条例の制定を検討している事を明らかにした。
府によると、同種の条例は全国でも例が無いと言うが、人権的な配慮やプライヴァシーの問題も在り、議論を呼びそうだ。
府内での強制猥褻事件の認知件数は昨年、全国最悪の1,078件に上った。橋下知事は報道陣の取材に「特に、子供に対する性犯罪は再犯率が高い。プライヴァシーとか人権というだけで思考停止して手を打たないのは行政の任務放棄だ。」と主張。警察庁が、13歳未満の子供を狙った強姦や強制猥褻等の前歴者の所在確認の為、今年4月から定期的に自宅を訪問、再犯の恐れが高い者には面談を始めた事に触れ、「行政として警察活動をより強固に後押し出来ないか考えた。」とした。
来年2月の府議会への提案を目指し、近く有識者会議を設け、内容の検討に入る。唯、橋下知事は11月の大阪市長選に合わせて辞職すると明言しており、「(提案するかどうかは)其の時の知事の判断になる。」と述べた。
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世論喚起という目論見も在るのだろうが、橋下府知事の打ち出す極論の数々には、疑問を感じる事が少なくない。しかし今回の主張に関しては、個人的に賛成だ。基本的に、「性悪説」の立場を採っている自分。性犯罪者の再犯率が高いので“在れば”*1、前歴者に対して其れなりの“縛り”が在って良いと思っている。
海外では「性犯罪前歴者の名前や顔、居住地等をネット上で公開。」したり、「常に居場所を確認出来るように、性犯罪前歴者にGPS付き足輪の着用を義務化。」したりしている国が在るそうだが、流石に其処迄行ってしまうとどうかと思うけれど、「“未成年者に対する”性犯罪で服役した者に付いて、出所後に住所等の届け出を義務付ける。」というので在れば、問題は無いと思う。人権だ何だと言われるかもしれないけれど、加害者の人権を尊重し過ぎる余り、無辜の者達が被害に遭い、結果的に人権蹂躙される方が問題と考えるので。
唯、懸念される面が無い訳では無い。「こいつは悪い奴だから、人権なんか存在し得ない。」と許りに次々と人権を抑圧する条例等が出来上がって行く過程で、為政者にとって不都合な人々(「政治犯」等。)の人権を恣意的に抑圧するケースが出て来ないとは言えないので。警察国家になってしまう事は、絶対に在ってはならない。
*1 此方の情報によると、2003年時点の「性犯罪者の再犯率」は約41%とか。2009年のデータを基に、同じ条件で計算してみると、約44.2%となった。
ただ、犯罪者のレッテルを貼ることで、逆に更生の道を断たれ自棄になって再犯に走るという事例も、数多あるわけで。
犯罪を犯した者も、彼らと向き合う社会も、どちらも未熟なら、いっそ服役後も一生世間から隔離して、「元犯罪者」だけの社会をつくることも必要なのかな。
臭い物に蓋。生涯島流し・・・。
「刑務所や少年院等の更生プログラムが、果たして実際的で在るのだろうか?」というのは、良く指摘されている所ですね。「真に構成させる為の環境作り」というのは更生施設のみならず、受け入れる社会の側でも考えられなければいけない事だし、「臭い物には蓋」的な発想が大前提で在ってはいけないとも思います。
唯、加害者の人権等を過度に考慮し、結果的に被害者(乃至は将来の被害者)に対する人権等が蹂躙されている様な現状もどうかと思われ、其の辺をどう改善して行くかも、社会全体で真剣に考えて行かなければいけないでしょうね。
性犯罪を何度も繰り返してしまう人は、或る意味「病気」と言える。以前、海外で「常に監視状態に置かれる事となった性犯罪前歴者」が、「此れで犯罪を犯さなくて済む。」と肯定的に話していたのが印象的でした。
いかなる犯罪者も、裁判を受け、判決が出て、その判決に従って、刑を受け、刑期を終えれば、その人は犯罪者ではありません。それを、このように被疑者あつかいして、行政の監視下に置くのは、違和感を禁じえません。
ただ、性犯罪者に再犯が多いのは事実で、子供に対する性犯罪の再犯は、なんとしても防がねばなりません。上記のようなことをいっておりますが、私も、なんらかの対応が必要なことは理解できます。
ようは、「性犯罪」というものの捉え方ではないでしょうか。おっしゃるように、性犯罪は、「病気」と、とらえ、「更生」ではなく「治療」と考えた方が正鵠を得ているのではないでしょうか。
「犯罪者には一切人権なんぞは無い!」的な考え方には違和感を覚えるし、「臭い物には蓋をすれば良いといった社会」は好ましいとも思えない。犯罪を犯した者への「実の在る更生プログラム」(性犯罪に関しては「実の在る治療」。)を構築&実践する努力は社会として必要。
唯、今回の報道で注目すべき点は、「未成年者に対する性犯罪で服役した者」を対象にしているという事。大人よりも性犯罪に抗い難いで在ろう未成年者を守る為には、或る程度の縛りを課すのは止むを得ないかなあという感じがするんです。
・出処後の所在が明確であるか
・引き受け人や周囲との人間関係
・就職等、出処後の生活状況
・更正プログラムの効果
・継続的なカウンセリング環境
その他にもあるでしょう。
大きな編み掛けは反って弊害を生みます。
犯歴者、未成年者や保護者、さらに社会との関係でバランスを取るのは難しいですが、被害者を生まない為にも加害者を作らない環境整備に力点を置くことは大切な事だと思います。
「再犯者の構成を良く調べる必要が在る。」という御意見、其の通りですね。十把一絡げ的に網を掛けてしまう事は、必死で更生しようとしている人すらも排除してしまい兼ねないし。
「自分が犯罪を犯したのは、親の育て方が悪かったからだ。」とか、「社会が悪いから、自分は犯罪に手を染めてしまった。」みたいな、自身の悪を他者のせいにする姿勢は好きじゃないけれど、「犯罪者の更生に、社会が手助けをする必要性。」というのは在ると思っています。其の観点からすると、(自分が見聞する範囲では)更生プログラムに不備が在る様に感じてなりません。更生施設を過ごし易い環境にする事には反対ですが(海外に見られる、恰も「高級リゾート施設」の様な刑務所等は、個人的にどうかと思っていますし。)、犯罪者が真に立ち直れる更生プラグラムの充実は必要でしょうね。