
今日から全国的に曇りや雨の日が多くなり、関東地方は梅雨入り間近という事だ。2年前の記事「『雨』がテーマの歌」の中で触れたけれど、「伯母が子供だった大昔、授業中に窓辺に立った教師が雨の降る校庭をじっと見詰めて、『雨は良いですねえ。』と陶然とした面持ちで言った。」そうだ。植物の生育等に必要不可欠な雨だけれど、自分は雨が降るとげんなりしてしまう。湿気が籠もって黴が生えたり、外出するのが億劫になったりと、煩わしい事が多いので。だから、梅雨の時期は憂鬱でならない。
“梅雨”と言うと、頭に思い浮かぶ漫画が在る。松本零士氏が1970年代に連載していた「男おいどん」で、「四畳半の下宿に住む“超貧乏な”大山昇太が主人公の青春群像劇。」だ。「松本氏が、若かりし頃の自身の姿を大山に投影している。」と言われる作品。超貧乏な大山は夏場、下宿内でランニングシャツと猿股だけという格好で暮らしているのだが、履いた猿股は洗わずに押し入れに次々と放り込んでおり、山となった猿股からは“サルマタケ”なる茸が大繁殖しているという場面が、良く登場していた。「じめじめとした梅雨→黴や茸の大繁殖→『男おいどん』」という連想だ。
「梅雨入りの時期に設定された雑節。」に、“入梅”が在る。良く知られた表現だけれど、梅雨明けは“出梅”と呼ぶのを、今回初めて知った。雨は苦手だけれど、雨を表現する用語には“美しさを感じる物”が少なく無い。
日本の場合、「北海道には梅雨が無い。」というのは有名だが、「小笠原諸島も梅雨が無い。」とされているそうだ。「北海道の場合、実際の気象として、道南を中心に梅雨前線が掛かる事は在るけれど、平均的な気象、詰まり気候学的には、『北海道に梅雨は無い。』とされており、小笠原諸島の場合は、春から夏への遷移期に当たる5月には、気団同士の中心が離れている事で前線が形成されず、雨が長続きしない、そして初夏を迎える6月頃より太平洋高気圧の圏内に入り、其の後ずっと覆われる事から、北海道同様に『小笠原諸島には梅雨が無い。』とされている。」のが理由なんだとか。