先日放送された科学番組「ヒューマニエンス~40億年のたくらみ~」は、非常に見応えが在った。今年5月10日に放送された「“家畜” 其れは遺伝子の共進化」の再放送で、家畜に付いて扱った内容。
家畜と言うと牛や馬、豚、鶏といった動物を思い浮かべる人が殆どだろうが、当該する動物は実に多く、犬や猫、雀や鳩等もそうなのだとか。
そんな感じで、「へー。」と思わされる内容が天こ盛り。内容を詳しく纏められた方が居られたので、其方を読んで戴けたらと思うが、幾つかを抜粋する。
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・最も古く家畜化された動物の1つが山羊で、「攻撃の為に在る角が小さくなって、家畜となったのが約1万年前。」だった。西アジアで狩猟&採集していた人々が家畜の飼育を始めた事で、人口が爆発的に増加。家畜の肉等が安定的な食糧となった事が大きな理由だが、中でも彼等から得られるミルクは、人の遺伝子進化に大きな影響を与えたと考えられている。
・「ミルクを飲むと、御腹がゴロゴロする。」という人が居るけれど、そういう人は“乳糖不耐性”の為だからで、現代の日本人では約7割が当該するとか。一方、欧米では約1割しか存在しないと。「元々、乳糖を分解出来る酵素は本来、乳幼児しか持たなかったのだが、人間の進化の過程でミルクを食品として吸収する大人が登場。古くよりミルクを日常的に飲んでいた欧米では、日本と比べて乳糖不耐性の人が劇的に少ない。」と考えられている。
・家畜化された動物には、共通の変化が発生する。其の最大の特徴は白色化。自然界では本来、白い個体は目立ち易く、生存に不利。だから、「元々は白く無かった動物達が、家畜化される事で、『常に天敵から狙われている。』というストレスから解放され、徐々に白く“進化”して行った。」と考えられている。此れは、家畜化症候群と呼ぶそうだ。
・家畜化の特徴として白色化の他に、「攻撃性が低くなる。」、「高い密度で飼われても、ストレスを感じなくなる。」等が在ると言う。
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で、面白いのは、「我々人類も、“家畜化”していると言える。」という事。ドイツの人類学者のヨハン・フリードリヒ・ブルーメンバッハが最初に唱えた説で「人間が集団で生活出来るのは、正に家畜化したからだ。」と。又、「家畜化が、文化や文明を発展させた要素に成り得た。」と推論。「20万年前の人の頭蓋骨は、男性ホルモンの1つで在るテストステロンが多い時に現れる眉の部分の出っ張りが、現代人よりも格段に大きく、攻撃性が非常に強かった。」と考えられている。「家畜化された事で、人間の攻撃性は弱まった。」と言うのだ。
人間が家畜化して行く過程を支えた物の1つが、別名“幸せホルモン”とも呼ばれるオキシトシンと考えられている。オキシトシンと言えば、「主に出産や授乳によって分泌されるホルモンで、分泌後は子供や夫への愛情が増し、より幸せな気持ちにしてくれる。」事で知られる。他の動物が家畜化されて行く中で、「攻撃性が低くなる。」、「高い密度で飼われても、ストレスを感じなくなる。」という特徴が現れた事を考えると、「オキシトシンも、其の過程で生まれて来たのかなあ?」と考えるのだが、興味深いのは「オキシトシンは“身内”に対して仲良く&優しくなれるのだが、一方で“身内で無い者”に対しては、攻撃性を上げるという作用が在る。」という事実。「家畜化によって攻撃性が低下した筈なのに、人間が戦争を止められないのは、オキシトシンが影響している可能性が在る。」と考えられている。
「御友達は徹底的に守るけれど、少しでも自分と異なる考えの者は徹底的に排除する。」というのは何処ぞの元首相の特徴だったが、彼もオキシトシンが異常に分泌していたのだろうか?