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「再生エネが2010年に原発を逆転 福島事故で差は拡大へ」(4月16日付け東京新聞【夕刊】)
2010年の世界の発電容量は、風力や太陽光等の再生可能エネルギーが原発を初めて逆転したとする世界の原子力産業に関する報告書を、米 シンク・タンク「ワールドウオッチ研究所」が15日迄に纏めた。
原発は、安全規制が厳しくなった事や建設費用の増加で1980年代後半から伸び悩み、2010年の発電容量は3億7,500万キロワット。一方、再生可能エネルギーは地球温暖化対策で注目されて急激に増加し、風力と太陽、バイオマス、小規模水力の合計は3億8,100万キロワットになり、初めて原発を上回った。
報告書は、福島第1原発事故の影響で廃炉になる原発が多くなり、新設も大幅には増えず、再生可能エネルギーとの差は更に開くと見ている。
報告書によると4月1日現在、世界で運転中の原発は30ヶ国で437基。運転開始から平均で26年が経過し、此の内145基は、2020年迄に運転開始から40年を迎える。福島第1原発事故の影響で、40年を超えて運転する原発は限定的になると見られると言う。
建設中は14ヶ国で64基。中国等で今後、新たに建設される分を見込んでも、世界の原発の総数は減少すると言う。
報告を纏めたマイクル・シュナイダー氏は「原子力ルネサンスで原発が増えると思っていたら、其れは間違い。40年を超える運転を認めても、何れ数は減る事になる。」と指摘している。
世界の総発電量は、石炭、天然ガス、石油等の火力発電が半分以上を占め、原発は13%程度。
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世界中で稼働している原発数の総数が若干異なってはいるが、此方の情報によると「国別の原発稼働数」で最も多いのはアメリカの104基。フランスの58基が2位で、我が日本は55基と3位に入っている。詰まり米・仏・日の3ヶ国だけで、世界中で稼働している原発総数の約半分を占めてしまう計算だ。
世界的には「原発による発電容量が頭打ちになっている。」という話は聞き及んでいたけれど、再生可能エネルギー(「比較的短期間・自発的・定常的に再生される自然現象に由来し、極めて長期間に亘り枯渇しないエネルギー源。」と定義。)による発電容量が原発の其れを追い抜いたというのは、福島事故が未だ収束しない中に在って「象徴的なニュース」という感じがする。ドイツのアンゲラ・メルケル首相も「早期の脱原発」を宣言したし、世界的な潮流としては「脱原発」の方向へと進んで行くのではなかろうか。
此方には「原子力発電」、「火力発電」、「水力発電」、そして「太陽光発電」のメリットとデメリットが記されている。ザックリ言えば「資源が乏しい日本では、少量の資源で莫大なエネルギーを長期間に亘って安定的に得られるのは非常に魅力的。でも、事故が発生した場合には非常に危険。」というのが原子力発電。そして「安全面には万全を期しているので、国民の皆さんは全然不安を持たなくて良いですよ。」というのが、(長期間政権の座に在った)自民党や電力会社の一貫した主張で、今回の事故により其の「万全を期していた筈の安全性」が如何に脆弱だったかを多くの国民が知る事になった訳だ。
「原発が無ければ、エネルギーは絶対的に不足してしまう。」というのが、日本人のコンセンサスと言っても良いだろう。自分もずっとそう思っていたし。だが最近知ったのだけれど、「原発が無くても、必ずしも日本のエネルギーが不足するとは言えない。」とする説が在る。「不足する可能性が零とは言えないけれど、滅多に起こらないで在ろうエネルギー不足に備えて、原発を稼働させ続けている。其れならば不足しそうな時には、工場の稼働時間を地域毎に変えるなりすれば対応出来るだろう。滅多に起こらないで在ろう事に備えて危険な原発を建設&稼働するというのは、果たして国民にとって幸福なのか?」という事らしい。専門家でも何でもない自分なので果たして此の説が正しいのかどうかは判らないけれど、検証する価値は在ると思うし、「今後の日本が、どういう形でエネルギー問題を解決して行くか?」を抜本的に、国民レベルで論じて行かなければいけないのは確かだ。
頂戴した情報、非常に勉強になります。「地熱発電」と「温泉脈枯渇」の絡みは、以前ニュース番組で見聞した記憶が在りますが、温泉で生計を立てている人達にとっては、正に死活問題と言えましょうし、中々難しいですね。又、「風力発電による健康被害」(http://blogs.dion.ne.jp/tabigarasu/archives/5738903.html)というのも、決して軽んじられる事柄では無い。
最近では「メタンハイドレート」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88)に注目が集まっていますが、此れも技術面やコスト面で、現状では難しそう。「毒を以って毒を制す」では無いけれど、従来は「毒(悪)」とされた物を利用して、「新たなエネルギー源」に転じられないものかと思ったりもしています。
地熱=日本に向いている
3月末、新聞に東芝がニュージーランドで地熱発電の発電所を作るというニュースが片隅に書いてあった。
実は富士電機、東芝、失念しましたがあとどっか(三菱と日立?)で世界シェアの殆どを握ってるという
難題と展望
ウィキペディアに書いてあったが
「候補地となりうる場所の多くが国立公園や国定公園に指定されていたり、温泉観光地となっていたりするため、景観を損なう発電所建設に理解を得にくいこと、温泉への影響に対する懸念があること、国立公園等の開発に関する規制があることが地熱発電所の設置を難しくしている。(中略)H21年度の環境省によるポテンシャル調査では、賦存量は設備量にして3400万kWと見積もっている。そのうち導入ポテンシャルは、シナリオによって設備量で150~1050万kW、年間発電量で92~650億kWhと見積もられている。」
草津は草津温泉の湯が枯れる可能性が高いため近隣の嬬恋での建設計画に断固反対している。一方で熱海は温泉の排水を使った小規模な発電を考えている。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20110405/265811/?rt=nocnt
もてはやされている風力、太陽光はまだ過渡期で安定していない印象。特に風力は近隣住民の健康被害が結構多いのが気になる(原子力の健康被害報告がデータの恣意的利用の可能性を否定できないのに対し、結構わかりやすい被害が出ている)
・・・というところです。