近年、一つの事象を「環境問題」とリンクさせ、実態以上に大袈裟に報道されるケースも在る様なので、その点は受け取る側個々が注意を払って判断する必要は在るだろう。唯、そうは言っても、何とも言えない不気味さを感じさせる環境の変化には敏感に為らざるを得ないのも事実。
10日付の東京新聞(朝刊)の特報面に、「世界でミツバチが消える?」という記事が載っていた。九州のほぼ中央に位置する宮崎県椎葉村で70年近く養蜂業を営んでいる那須久喜氏(73歳)は現在、頭の痛い問題を抱えている。昨秋から蜜蜂達が”行方不明”になっているからだ。
異変を最初に感じたのは昨春の事。例年ならば、卵から幼虫が孵り、新たな女王蜂が巣を離れて新たな群れを作るという「分蜂(ぶんぽう)」の兆候が出て来る時期なのだが、結局、分蜂は起きないままで終わってしまった。親蜂は幼虫をくわえ巣の外へ出、周辺に幼虫を捨ててしまい、更にその親蜂も巣から出掛けたまま戻って来なかったそうで、「親蜂の死骸は一匹も見た事が無い。だが、段々数が減って行き、昨秋には殆ど居なくなってしまった。」と那須氏は語っている。自宅周辺の山々に約120個の巣箱を置いて、例年は一升瓶にして60~70本の蜂蜜を採っていたが、昨年は売り物になる蜂蜜はゼロだったとの事。この様な蜜蜂の失踪は、椎葉村に在る50軒以上在る他の養蜂家でも起こっているばかりか、県内の他の地域や福岡県、佐賀県、熊本県、長崎県でも起こっている。
那須氏は今年初めに長崎市に蜂の巣を送って調べて貰ったが、「病気が原因では無い。」という結果だった。ハッキリした原因は判っていないが、「温暖化でこの冬は雪が全く降らなかった。ところが、四月には大雪が降った。異常気象が原因ではなかろうか。」と彼は推測している。
興味深いのは、この蜜蜂の異常行動が世界各国で報告されている事。アメリカでは今年の三月末、下院の農業委員会で、蜜蜂の群れが消滅してしまうという「蜂群崩壊症候群(CCD)」現象に付いての公聴会が開かれた。彼の国では蜂蜜の採取だけでは無く、果物やナッツ類の受粉も蜜蜂に依存しており、その経済効果は150億ドル(約1兆8千億円)近いと言われており、全米各地に広がっている蜜蜂の群れの消滅に強い危機感を募らせているという。アメリカ農務省の科学者ジェフェリー・ぺティス氏は「人間の食料の3分の1は昆虫の受粉で出来た植物に頼っており、その内の80%は蜜蜂による受粉。」と指摘。「未知の病原体により蜜蜂産業は存亡の危機に在り、科学的な原因究明が急務。」と警告している。
一方ドイツでは、「蜜蜂の群れの崩壊の要因が、携帯電話の電波に在るのではないか。」という説が出ている。同国の大学の分析では、900~1,800メガヘルツの携帯電話の電波が、蜂達の記憶やコミュニケーション能力に多大な影響を与えているという研究結果が在るからだ。
これ等とは異なった見解を出しているのは、玉川大学ミツバチ科学研究施設の吉田忠晴教授。「日本と違って、アメリカの蜜蜂はかなり酷使されている。日本では巣箱に蜜が充分集まった時だけ採取するが、アメリカの養蜂家は直ぐに巣箱を取り出して工場に送ってしまう。溜めても溜めても蜜が無くなると、蜜蜂はストレスを感じて逃げてしまう。其処に病気の発生も加わったのではないだろうか。又、椎葉村の現象に付いては、昨年の春から夏にかけて降雨量の多かった九州故、花の蜜が減ったからではないだろうか。」としている。ニホンミツバチはセイヨウミツバチと異なり、花の蜜が少ないと直ぐに何処かに行ってしまう傾向が在るのだとか。それにしても「働き蜂」だ何だと他国から揶揄された我が国に在って、其処に生きている蜜蜂達よりもアメリカの蜜蜂の方が酷使されているというのは何とも皮肉な話だ。
そして記事では、別の事象も紹介している。我が国では地方でニホンミツバチの失踪が目立っている一方で、都心では逆に増えているという報告が為されているというのだ。京都市の市街地で信号機に蜜蜂が群がり、交通麻痺を引き起こしたという騒動も在ったとか。上記した吉田教授は「公園や街路樹が増えた一方で、外敵のスズメバチが駆除される様になり、都心ではニホンミツバチが増えている。大きくなった群れは春に巣分かれするが、移動する途中で、たまたま一匹が信号機に止まると、あっという間に他の蜂が集合する。恐らくその信号機の近辺に、大きな群れが在る筈。」と述べている。
話は最初に戻るが、2年前に九州全域のニホンミツバチの調査を行った「関西ミツバチ研究会」の菅原道夫代表は、蜜蜂の異常行動の原因は農薬なのではないかと疑っている。「当時から九州では同様の事は知られていた。幼虫を巣から放り出すという異常行動が起きているのが春なら、御茶の新芽の為の農薬、秋なら稲の害虫のカメムシを駆除する農薬の影響が考えられる。」と。そしてアメリカの蜜蜂の異常行動も視野に入れた上で、次の様な警告をされている。
「一般に農薬は効かなくなると、どんどん強い物が使われる。蜜蜂は蜜を吸うから花にさえ農薬がかからなければ良いと思われがちだが、かなりの量の水を飲むので、植物の葉の上の水滴に農薬が含まれていると、口移しで巣全体に広がってしまう。蜜蜂の社会に何か特別な事が起きているのでは無く、人間が何等かの影響を与えていると考えるべきだ。」
生態系が崩れて来ているのだとすれば、それは早晩我々人間にも多大な影響を与える事になる。何が原因なのかは不明なれど、「ハチのムサシは死んだのさ♪」と口ずさんでいられる様な事態では無さそうだ。
10日付の東京新聞(朝刊)の特報面に、「世界でミツバチが消える?」という記事が載っていた。九州のほぼ中央に位置する宮崎県椎葉村で70年近く養蜂業を営んでいる那須久喜氏(73歳)は現在、頭の痛い問題を抱えている。昨秋から蜜蜂達が”行方不明”になっているからだ。
異変を最初に感じたのは昨春の事。例年ならば、卵から幼虫が孵り、新たな女王蜂が巣を離れて新たな群れを作るという「分蜂(ぶんぽう)」の兆候が出て来る時期なのだが、結局、分蜂は起きないままで終わってしまった。親蜂は幼虫をくわえ巣の外へ出、周辺に幼虫を捨ててしまい、更にその親蜂も巣から出掛けたまま戻って来なかったそうで、「親蜂の死骸は一匹も見た事が無い。だが、段々数が減って行き、昨秋には殆ど居なくなってしまった。」と那須氏は語っている。自宅周辺の山々に約120個の巣箱を置いて、例年は一升瓶にして60~70本の蜂蜜を採っていたが、昨年は売り物になる蜂蜜はゼロだったとの事。この様な蜜蜂の失踪は、椎葉村に在る50軒以上在る他の養蜂家でも起こっているばかりか、県内の他の地域や福岡県、佐賀県、熊本県、長崎県でも起こっている。
那須氏は今年初めに長崎市に蜂の巣を送って調べて貰ったが、「病気が原因では無い。」という結果だった。ハッキリした原因は判っていないが、「温暖化でこの冬は雪が全く降らなかった。ところが、四月には大雪が降った。異常気象が原因ではなかろうか。」と彼は推測している。
興味深いのは、この蜜蜂の異常行動が世界各国で報告されている事。アメリカでは今年の三月末、下院の農業委員会で、蜜蜂の群れが消滅してしまうという「蜂群崩壊症候群(CCD)」現象に付いての公聴会が開かれた。彼の国では蜂蜜の採取だけでは無く、果物やナッツ類の受粉も蜜蜂に依存しており、その経済効果は150億ドル(約1兆8千億円)近いと言われており、全米各地に広がっている蜜蜂の群れの消滅に強い危機感を募らせているという。アメリカ農務省の科学者ジェフェリー・ぺティス氏は「人間の食料の3分の1は昆虫の受粉で出来た植物に頼っており、その内の80%は蜜蜂による受粉。」と指摘。「未知の病原体により蜜蜂産業は存亡の危機に在り、科学的な原因究明が急務。」と警告している。
一方ドイツでは、「蜜蜂の群れの崩壊の要因が、携帯電話の電波に在るのではないか。」という説が出ている。同国の大学の分析では、900~1,800メガヘルツの携帯電話の電波が、蜂達の記憶やコミュニケーション能力に多大な影響を与えているという研究結果が在るからだ。
これ等とは異なった見解を出しているのは、玉川大学ミツバチ科学研究施設の吉田忠晴教授。「日本と違って、アメリカの蜜蜂はかなり酷使されている。日本では巣箱に蜜が充分集まった時だけ採取するが、アメリカの養蜂家は直ぐに巣箱を取り出して工場に送ってしまう。溜めても溜めても蜜が無くなると、蜜蜂はストレスを感じて逃げてしまう。其処に病気の発生も加わったのではないだろうか。又、椎葉村の現象に付いては、昨年の春から夏にかけて降雨量の多かった九州故、花の蜜が減ったからではないだろうか。」としている。ニホンミツバチはセイヨウミツバチと異なり、花の蜜が少ないと直ぐに何処かに行ってしまう傾向が在るのだとか。それにしても「働き蜂」だ何だと他国から揶揄された我が国に在って、其処に生きている蜜蜂達よりもアメリカの蜜蜂の方が酷使されているというのは何とも皮肉な話だ。
そして記事では、別の事象も紹介している。我が国では地方でニホンミツバチの失踪が目立っている一方で、都心では逆に増えているという報告が為されているというのだ。京都市の市街地で信号機に蜜蜂が群がり、交通麻痺を引き起こしたという騒動も在ったとか。上記した吉田教授は「公園や街路樹が増えた一方で、外敵のスズメバチが駆除される様になり、都心ではニホンミツバチが増えている。大きくなった群れは春に巣分かれするが、移動する途中で、たまたま一匹が信号機に止まると、あっという間に他の蜂が集合する。恐らくその信号機の近辺に、大きな群れが在る筈。」と述べている。
話は最初に戻るが、2年前に九州全域のニホンミツバチの調査を行った「関西ミツバチ研究会」の菅原道夫代表は、蜜蜂の異常行動の原因は農薬なのではないかと疑っている。「当時から九州では同様の事は知られていた。幼虫を巣から放り出すという異常行動が起きているのが春なら、御茶の新芽の為の農薬、秋なら稲の害虫のカメムシを駆除する農薬の影響が考えられる。」と。そしてアメリカの蜜蜂の異常行動も視野に入れた上で、次の様な警告をされている。
「一般に農薬は効かなくなると、どんどん強い物が使われる。蜜蜂は蜜を吸うから花にさえ農薬がかからなければ良いと思われがちだが、かなりの量の水を飲むので、植物の葉の上の水滴に農薬が含まれていると、口移しで巣全体に広がってしまう。蜜蜂の社会に何か特別な事が起きているのでは無く、人間が何等かの影響を与えていると考えるべきだ。」
生態系が崩れて来ているのだとすれば、それは早晩我々人間にも多大な影響を与える事になる。何が原因なのかは不明なれど、「ハチのムサシは死んだのさ♪」と口ずさんでいられる様な事態では無さそうだ。
刺されたらえらいこっちゃですから。
「今年はハチが多いねぇ・・」という年もあれば、じぇんじぇん来ない年もありました。
多い年は大抵保育所の周辺に巣があるので、理事長と事務長が夜中に闇討ちに行きました。「かわいそうだけど、仕方ないよ」と俯く事務長でした・・・。
蜂さんだって必死で生きてるわけで・・。
記事の内容はとてもこわい状況を示している思います。
アライグマといい、ハチといい・・
ニンゲンのやってることで他の種は大迷惑なのですよね・・。
この歌の意味がわかりません。
何だったんでしょうか??
私も歌詞の意味の分けも分からずに聴いていましたが、
調べてみるとあれは1972年の頃だったんですね。
http://hachinomusashi.com/
1974年春に里見浩太朗版「大江戸捜査網」が始まった時、主題歌「流れ橋」(若子内悦郎)の
もどーり橋だよ渡れないー
の節回しが、
ハチーのムサシは死んだのさー
の節回しにそっくりだなあと感じた記憶があります。
あれが当時流行のサウンドだったんでしょうね。
それから当時、長髪・ジーパンあるいは革パン?の男女、あるいは派手な縁柄の丸眼鏡をした若い女性?、を街で見かけると「あっ、ハチのムサシだ!」と言いながら指差したりして、親から「やめなさい!」なんて叱られた記憶がかすかにありますw。
ほかに当時好きだった歌は
フィンガー5の「恋のダイヤル6700」(1973年)
ですかね。
蜜蜂の生態については分からないことが多いですね。しかしアメリカの蜜蜂の方が酷使されているというのは、それは自然は人間の幸福のために利用されるものという、彼等の思想に由来するものだと思います。科学的な原因究明も大事ですが、それ以上に人間中心主義への反省も促したいと思いました。
>1960年代に盛んだった学園闘争が、1970年代に入って革マル派等による内ゲバ続発へと移行していた時期
>そういった暗い時代背景が「ハチのムサシ~」にも影響
なるほどね。歌詞をよく読むと、たしかにそうですね。
権力に対し闘いを挑んで負けた空しさを歌ってるんですね。
70年代。所謂「シラケ」の時代の始まりですね。
>「ゲバゲバ」も内ゲバの「ゲバ」という事ですし
ゲバゲバといえば「ゲバゲバ90分」を思い出しますw。
「あっと驚くタメゴロウ」って何だったんだろうって今思うんですが、幼稚園当時の自分は街で「タメゴロウ」みたいな人を見て「あっ、タメゴロウだ!」と叫んだそうで、「止めなさい!」と親から叱られたのは言うまでもありませんw。
>そのいつかが自分が生きている間ではないだろうからみんなのんびりして、気にしないのが現状だと思います。
マヌケ様は現代の文明国の人間の姿を的確に描いていると思います。そして自分をよく見ておられると思いました。
私も人間中心主義への反省と言っておきながら、今日も自分中心で生きていました。
本当のところ、それが確かに自分の生活に響いてくるという認識を持つまでは、「環境なんてどうだっていいや」というのが人の本音ではないでしょうか。
「世界中の人達が等しく安全で快適な生活の送れる社会」これは理想では在りますが、現実的には極めて可能性の低い話と言わざるを得ないでしょう。と言いますのも、仮に日本人が現在享受している環境をベースとして考えた場合、これと同じ環境を人口が12億を超える中国が同様に享受する様になっただけでも電力面や食料面で世界は傾いてしまいかねないのですから。自分も当然その内の一人に入る訳ですが^^;、事程然様に人間と言うのは頭で考えている事と、実際の行動が異なる面は多々在るものですね。
以前書いたとは思うのですが、我が家のワンコは不治の病に罹患して何度も死線を彷徨いました。獣医が様々手を尽くしてくれたのですが、薬等は一切利かずに御手上げ状態。其処で駄目元で、ネット等を駆使して独自に食事療法を調べ上げ、それを実践した所病気自体は治った訳では無いのですが、元気さをスッカリ取り戻して今に到っています。食事療法なんて書きましたが、内容は極めてシンプル。犬が本来食していた物を、自然のままの形で与えるというもの。その事で「食の重要さ」というものを痛感させられた次第です。
そんな経緯も在り、「減農薬」や「無農薬」の野菜&果物を積極的に家族も摂取する様になりました。しかし、世の中の流れは真っ二つに分かれるでしょうね。「安価志向」と「安全志向」。どっちが正しいとか、どっちが間違っているとかという問題では無く、これは個々の判断に委ねられる可きもの。「無農薬の商品を買いたいけど高いから・・・。」という事で、家計を考えて安価な商品を買わざるを得ない人達も当然居ると思います。
唯、自分が思うのは「或る程度高くても後に健康被害が生じた”ならば”、それによって発生する医療費等を考えると、安全志向の商品を買った方が結局は得なのではなかろうか。」と。勿論、これは私見で在りますが。