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石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ
(浜に在る無数の砂が仮に全て無くなる事が在ったとしても、世の中から泥棒が全て消え去る事は無い。)
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“天下の大泥棒”と称される石川五右衛門。安土桃山時代に出没した彼は、豊臣秀吉の命を受けた前田玄以によって捕縛され、1594年に京都・三条河原に於いて油で釜煎りの刑に処されたと言われている。彼には「秀吉の暗殺に失敗した。」とか、「釜煎りされた際、共に同刑に処される事となった我が子を、自身が息絶える迄頭上に持ち上げていた。(「気がふれてしまい、我が子を釜底に沈めて、その上に乗った。」とか、「我が子が長く苦しまずに済む様にと、一思いに釜底に沈めた。」等、諸説在り。)等、様々な逸話が残されているが、冒頭で紹介したのは彼が辞世の句として詠んだ物と言われている。本当に彼が詠んだ物なのかどうか、その真偽の程は定かで無いものの、世の中の実態を上手く言い当てた句だとは思う。
映画「GOEMON」を観て来た。以前にも書いたが、自分は所謂「B級映画」が結構好き。作り手には申し訳無いけれど、「こんなどうしようもない作品を、良くも作る気になったもんだ。」と毒突き乍らも、その一方で「これ程迄の駄作を見られて良かった!」という妙な喜びを感じたりもするのだ。我乍ら妙な“癖”だとは判っているのだが、世の中には自分と同じ様な人間が結構居るらしい。これ迄に多くのB級映画を観て来たが、邦画に関してその上位に推したいのは「宇宙からのメッセージ」に「北京原人 Who are you?」、「シベリア超特急シリーズ」、そして「CASSHERN」だ。
宇多田ヒカルさんの元夫・紀里谷和明氏が映画監督としてデビューした作品の「CASSHERN」は、嘗て人気を博したアニメ「新造人間キャシャーン」を実写化した物。このアニメが大好きだった自分はかなり期待をして「CASSHERN」を見たが、余りの酷さに愕然とさせられた。「CASSHERN」というタイトルを冠しているが、「新造人間キャシャーン」とは全く別物としか思えず、映像面では確かに美麗さを感じるものの、全体的には「紀里谷氏の、紀里谷氏による、紀里谷氏の為のマスターベーション作品」という感じがしたのだ。観客の存在を無視した、独り善がりな作風と言っても良い。この作品に関するネット上のレビューを幾つか目にしたが、同様に感じた人は少なくなかった様だ。そんな彼が、石川五右衛門を主役に据えた映画「GOEMON」を制作。「どれだけ駄作か楽しみ。」というB級映画好きの血が騒ぐ一方で、「結構面白い作品だった。」という好評価がネット上で散見され、「これは是が非でも自分の目で観ないと。」と映画館に足を運んだのだった。
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織田信長(中村橋之助氏)を本能寺で暗殺した明智光秀(紀里谷和明氏)が討伐され、豊臣秀吉(奥田瑛二氏)が天下を取った時代。超人的な身体能力を武器に金持ちから金品を盗み、貧しき者に分け与える盗賊・石川五右衛門(江口洋介氏)が彗星の如く現れ、庶民を熱狂させる。そんな中、五右衛門は盗み出した財宝の中に重大な秘密が隠されている南蛮製の箱を見付けるが・・・。
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「歴史物を映像化する際には、史実等に忠実たれ!」と思われる方がこの作品を見たら、怒り狂われるかもしれない。「歴史を大胆に新解釈!-この物語、史実よりも面白い。」と惹句に在る様に、ハッキリ言って歴史的&文化的考証は一切無視したエンターテイメント作品と割り切って観るべし。ネタバレになってしまうが、歴史上では徳川家康(伊武雅刀氏)と相対する側に居た筈の猿飛佐助(ゴリ氏)が徳川方に就いていたり、ダース・ベイダーみたいな甲冑を纏った兵士達が登場する等、あくまでも歴史的に著名な人物や事柄の名前だけを借りた作品とも言えるが、これがこれで結構面白い。「信長の野望シリーズ」等、自身で展開を組み立て行くシミュレーション・ゲーム的な面白さと言えば良いだろうか。
配役も一風変わってっている様に感じた。秀吉役が最も顕著に思うが、一般的な秀吉像で言えば奥田瑛二氏の起用は意外とも言える。そういった意外な配役が良い具合に決まっていたし、全体的に演技のしっかりした役者で固めていたので、安心して観てはいられる。(某女優は、相変わらずの演技だったが。)信長と比べると穏やかなイメージが強いで在ろう秀吉だが、時には極めて冷酷な一面を見せてもいた。茶人・千利休を死に追い遣り、その首を一条戻橋に晒したという話は有名だが、この作品では映画「西太后」の1シーンを思わせる、ゾッとするシーンも。
「CASSHERN」は余りにも酷過ぎた。しかし今回の作品は、エンターテイメント作品として純粋に面白い。観客の存在を一切無視していたかの様な前作とは異なり、あくまでも観客の目を第一義に考えた作りの様に感じ、紀里谷氏なりに大失敗を糧にしたのだろう。もう少し内容をコンパクトに纏めても良い気はしたが、総合評価としては星3.5個としたい。
石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ
(浜に在る無数の砂が仮に全て無くなる事が在ったとしても、世の中から泥棒が全て消え去る事は無い。)
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“天下の大泥棒”と称される石川五右衛門。安土桃山時代に出没した彼は、豊臣秀吉の命を受けた前田玄以によって捕縛され、1594年に京都・三条河原に於いて油で釜煎りの刑に処されたと言われている。彼には「秀吉の暗殺に失敗した。」とか、「釜煎りされた際、共に同刑に処される事となった我が子を、自身が息絶える迄頭上に持ち上げていた。(「気がふれてしまい、我が子を釜底に沈めて、その上に乗った。」とか、「我が子が長く苦しまずに済む様にと、一思いに釜底に沈めた。」等、諸説在り。)等、様々な逸話が残されているが、冒頭で紹介したのは彼が辞世の句として詠んだ物と言われている。本当に彼が詠んだ物なのかどうか、その真偽の程は定かで無いものの、世の中の実態を上手く言い当てた句だとは思う。
映画「GOEMON」を観て来た。以前にも書いたが、自分は所謂「B級映画」が結構好き。作り手には申し訳無いけれど、「こんなどうしようもない作品を、良くも作る気になったもんだ。」と毒突き乍らも、その一方で「これ程迄の駄作を見られて良かった!」という妙な喜びを感じたりもするのだ。我乍ら妙な“癖”だとは判っているのだが、世の中には自分と同じ様な人間が結構居るらしい。これ迄に多くのB級映画を観て来たが、邦画に関してその上位に推したいのは「宇宙からのメッセージ」に「北京原人 Who are you?」、「シベリア超特急シリーズ」、そして「CASSHERN」だ。
宇多田ヒカルさんの元夫・紀里谷和明氏が映画監督としてデビューした作品の「CASSHERN」は、嘗て人気を博したアニメ「新造人間キャシャーン」を実写化した物。このアニメが大好きだった自分はかなり期待をして「CASSHERN」を見たが、余りの酷さに愕然とさせられた。「CASSHERN」というタイトルを冠しているが、「新造人間キャシャーン」とは全く別物としか思えず、映像面では確かに美麗さを感じるものの、全体的には「紀里谷氏の、紀里谷氏による、紀里谷氏の為のマスターベーション作品」という感じがしたのだ。観客の存在を無視した、独り善がりな作風と言っても良い。この作品に関するネット上のレビューを幾つか目にしたが、同様に感じた人は少なくなかった様だ。そんな彼が、石川五右衛門を主役に据えた映画「GOEMON」を制作。「どれだけ駄作か楽しみ。」というB級映画好きの血が騒ぐ一方で、「結構面白い作品だった。」という好評価がネット上で散見され、「これは是が非でも自分の目で観ないと。」と映画館に足を運んだのだった。
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織田信長(中村橋之助氏)を本能寺で暗殺した明智光秀(紀里谷和明氏)が討伐され、豊臣秀吉(奥田瑛二氏)が天下を取った時代。超人的な身体能力を武器に金持ちから金品を盗み、貧しき者に分け与える盗賊・石川五右衛門(江口洋介氏)が彗星の如く現れ、庶民を熱狂させる。そんな中、五右衛門は盗み出した財宝の中に重大な秘密が隠されている南蛮製の箱を見付けるが・・・。
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「歴史物を映像化する際には、史実等に忠実たれ!」と思われる方がこの作品を見たら、怒り狂われるかもしれない。「歴史を大胆に新解釈!-この物語、史実よりも面白い。」と惹句に在る様に、ハッキリ言って歴史的&文化的考証は一切無視したエンターテイメント作品と割り切って観るべし。ネタバレになってしまうが、歴史上では徳川家康(伊武雅刀氏)と相対する側に居た筈の猿飛佐助(ゴリ氏)が徳川方に就いていたり、ダース・ベイダーみたいな甲冑を纏った兵士達が登場する等、あくまでも歴史的に著名な人物や事柄の名前だけを借りた作品とも言えるが、これがこれで結構面白い。「信長の野望シリーズ」等、自身で展開を組み立て行くシミュレーション・ゲーム的な面白さと言えば良いだろうか。
配役も一風変わってっている様に感じた。秀吉役が最も顕著に思うが、一般的な秀吉像で言えば奥田瑛二氏の起用は意外とも言える。そういった意外な配役が良い具合に決まっていたし、全体的に演技のしっかりした役者で固めていたので、安心して観てはいられる。(某女優は、相変わらずの演技だったが。)信長と比べると穏やかなイメージが強いで在ろう秀吉だが、時には極めて冷酷な一面を見せてもいた。茶人・千利休を死に追い遣り、その首を一条戻橋に晒したという話は有名だが、この作品では映画「西太后」の1シーンを思わせる、ゾッとするシーンも。
「CASSHERN」は余りにも酷過ぎた。しかし今回の作品は、エンターテイメント作品として純粋に面白い。観客の存在を一切無視していたかの様な前作とは異なり、あくまでも観客の目を第一義に考えた作りの様に感じ、紀里谷氏なりに大失敗を糧にしたのだろう。もう少し内容をコンパクトに纏めても良い気はしたが、総合評価としては星3.5個としたい。
キャストもよくぞまあこれだけの人を集められた、
これでペイすんのか、と変に気をまわしてしまいました。
展開もよかったですが、最後が少し冗長でした。
合戦のシーンで終わってもよかったと思います。
g-55さまのご意見、まったく同感であります。紀里谷監督ってのは映像のスケールはでかいが、元の世界観や発想はちゃっちいといった印象。そのアンバランスさがゲーム好き世代等には受けるのでしょう。自分の世界観やアイデンティティをでかく見せたい世代の代表と言い換える事もできるかも。
結論、あまり深く考えずに何かしら仰々しいものを見せてくれる。。かくいう私も結構楽しませてもらいました。
ある意味監督の次回作も楽しみにしている今日この頃です
今日(あ、昨日か)、江口さんが「ぷっすま」に出てましたよ。
ところどころ宣伝してました。^±^
ついでに草薙さんも出ましたよ。
この作品に出演していた役者(大沢たかお氏だったか?)が特番で語っていましたが、何も無い所での演技は難しかったみたいですね。「ウルトラQ」に出演していた方々も同じ事を口にされていたのを思い出します。
「グラントリノ」は観たい作品の一つ。好評を耳にしておりましたが、やはり良い作品の様ですね。「真夏のオリオン」も気になっている作品です。
この映画を褒める人って麻生内閣支持者しかいないんじゃないですかね。
「桃太郎」の話を読んで「異物を排除する話でとんでもない!」と本気で怒る人が先ず居ない様に、この映画でそんな思いを抱く人は先ず居ないと思いますよ。自分は単純に娯楽映画として楽しんだし、何等かの意図を持って洗脳されたとも思っていませんし。
時代考証や既成概念を取り除いた建築様式や
衣装に目が奪われるほど綺麗なシーンも多々ありましたが
戦闘シーンではゲームのCG映像?と思えるほどの
ギャップもありました。
ただ、邦画では珍しい映像手法なのでぜひ、次回作も
果敢にチャレンジしてほしいですね。
前作よりは脚本がよくなった思いますが…
今度、訪れた際には、
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