「木下大サーカス」、「キグレサーカス」、そして「矢野サーカス」。我が幼少期、国内で活躍していたサーカス3団体だ。江戸川乱歩氏の著した「少年探偵団シリーズ」では、人気の無い洋館と並んで怪しげな人間が潜んでいる場所がサーカスだったし、当時の子供達が悪さをすると親からは「そんな悪い事するとサーカスに売り飛ばしちゃうよ!」と叱責されたものだった。全く謂われ無いサーカスへの偏見が、世間には少なからず在った時代。団員達のアクロバチックな演技に興奮する一方で、サーカス小屋から流れて来る「天然の美」の何とも物哀しい曲調に「売り飛ばされて来た団員達は可哀相。」と、今考えると全く理屈に合わない同情をしたりしていた。
これ迄サーカスを見に行ったのは2度。最初は木下大サーカスで、2度目はキグレサーカス。特に印象深かったのは「直径5~6m程の網目の鉄球の中を、2台のバイクが水平方向に、はたまた垂直方向に何回転もする演目」で、確かこれはキグレサーカスだったと記憶している。もう30数年前の話だ。それ以降はサーカスを見に行く機会は無かった。(こちらのサイトによると木下大サーカスは「木下サーカス」に、キグレサーカスは「キグレニューサーカス」という名前に変わったものの現在も活動を続けているが、残念乍ら矢野サーカスは解散してしまった様だ。時代の移り変わりを感じてしまう。
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興行の為、”ソ連”からボリショイサーカスが初来日してから今年で50周年という事で、30数年ぶりにサーカスを観に行ってみた。興行が行なわれていたのは横浜文化体育館。1964年に開催された東京オリンピックで金メダルに輝いたバレーボール女子日本代表、即ち”東洋の魔女”達が予選を闘い抜いた場所だそうで、館内には当時の写真が。広い原っぱに巨大なテントを張るという「サーカス小屋」が当たり前だった昔を考えると、古いとはいえ既存の建物でサーカスが行なわれるというのは何か不思議な気がした。
一番興奮したのは定番の空中ブランコ。空中三回転をした上で対面するブランコに乗った団員の腕に掴まるなんていうのは、神技と言わずして何と言う。又、合間に繰り広げられるクラウンのショーも、大好きだったコンビ「コント・ラッキー7」を思わせるユーモラスさが笑えたし、懐かしくも在った。
そしてサーカスといえば動物の演目は欠かせないが、犬や小熊、ホワイトタイガーが観客を魅了。昔は象やチンパンジー、ライオンといった動物が定番だった様に思うが、これは日本とロシアの御国柄の違いなのだろうか?それともワシントン条約の様な法規制によって、そういった動物達を使う事が出来なくなったのだろうか?
休憩時間15分を挟み、公演時間は2時間。「あっと言う間に終わってしまった。」と感じる程、中身の濃い充実した内容。真に身体を張った演技で観客を魅了し、又、声を発さずに身振り手振りだけで場内を沸かせる団員達を眼前にすると、身内ネタだけをグダグダ話していたり、芸と呼べない様な一発芸を見せるだけの御笑いタレントが溢れ返る昨今のTV番組で”麻痺”してしまった脳味噌が活性化される感が在った。
サーカス、ハラショー!

これ迄サーカスを見に行ったのは2度。最初は木下大サーカスで、2度目はキグレサーカス。特に印象深かったのは「直径5~6m程の網目の鉄球の中を、2台のバイクが水平方向に、はたまた垂直方向に何回転もする演目」で、確かこれはキグレサーカスだったと記憶している。もう30数年前の話だ。それ以降はサーカスを見に行く機会は無かった。(こちらのサイトによると木下大サーカスは「木下サーカス」に、キグレサーカスは「キグレニューサーカス」という名前に変わったものの現在も活動を続けているが、残念乍ら矢野サーカスは解散してしまった様だ。時代の移り変わりを感じてしまう。

興行の為、”ソ連”からボリショイサーカスが初来日してから今年で50周年という事で、30数年ぶりにサーカスを観に行ってみた。興行が行なわれていたのは横浜文化体育館。1964年に開催された東京オリンピックで金メダルに輝いたバレーボール女子日本代表、即ち”東洋の魔女”達が予選を闘い抜いた場所だそうで、館内には当時の写真が。広い原っぱに巨大なテントを張るという「サーカス小屋」が当たり前だった昔を考えると、古いとはいえ既存の建物でサーカスが行なわれるというのは何か不思議な気がした。

一番興奮したのは定番の空中ブランコ。空中三回転をした上で対面するブランコに乗った団員の腕に掴まるなんていうのは、神技と言わずして何と言う。又、合間に繰り広げられるクラウンのショーも、大好きだったコンビ「コント・ラッキー7」を思わせるユーモラスさが笑えたし、懐かしくも在った。
そしてサーカスといえば動物の演目は欠かせないが、犬や小熊、ホワイトタイガーが観客を魅了。昔は象やチンパンジー、ライオンといった動物が定番だった様に思うが、これは日本とロシアの御国柄の違いなのだろうか?それともワシントン条約の様な法規制によって、そういった動物達を使う事が出来なくなったのだろうか?
休憩時間15分を挟み、公演時間は2時間。「あっと言う間に終わってしまった。」と感じる程、中身の濃い充実した内容。真に身体を張った演技で観客を魅了し、又、声を発さずに身振り手振りだけで場内を沸かせる団員達を眼前にすると、身内ネタだけをグダグダ話していたり、芸と呼べない様な一発芸を見せるだけの御笑いタレントが溢れ返る昨今のTV番組で”麻痺”してしまった脳味噌が活性化される感が在った。
サーカス、ハラショー!

毛皮のロングコートを着込んだ美女がしゃなりしゃなりと登場したと思ったら、いきなりそのコートが四散! 実はコートと見えたものは、本物の生きたミンクが十何匹も、頭と足を上手に隠して体にしがみついていたのでした。
「一見笑顔に見えるのだけれども、その絵を引っ繰り返すと怒った顔に見える。」、そんな騙し絵が在りましたが、ピエロの表情も「泣いている様にも、笑っている様にも見える複雑な表情」をしていますよね。”素の顔”が想像出来ないという事からか、少年探偵団シリーズでは悪役がピエロに扮していたケースが良く在り、その挿絵が何とも言えない不気味さと共に、何故か哀愁を漂わせている様に感じたものです。
矢野サーカスは実際に観に行った事が無いので、恐らく自分がバイクのアクロバット走行を観たのはキグレサーカスに間違い無いと思うのですが、他のサーカスでも同じ様な事をやっていたんですね。
ハイテクとは無縁の、肉体勝負のアナログな世界がサーカスと言えますが、そのアナログさが却って新鮮に感じたりします。マヌケ様の御子様が熊の演技に驚かれたもの、ハイテクな物に慣れ切ってしまっているが故の驚きなのでしょう。