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毅志(たけし)は、横浜の馬車道近くで、母親と共に喫茶店「ペガサス」を営んでいる。
或る日、空室だった「ペガサス」の2階に、皆藤晋(かいどう しん)と山南涼平(やまなみ りょうへい)という2人の男が探偵事務所を開いた。スマートで快活な彼等に憧れを抱いた毅志は、探偵仕事を手伝わせて貰う事に。
しかし、付き合いを重ねる内に、毅志は皆藤と山南に対して或る疑問を抱き始める・・・。
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貫井徳郎氏の小説「北天の馬たち」を読んでいて、既視感めいた物が在った。「男性2人が生活を共にして、事件を解決して行く。」という設定が理由で、「小説『まほろ駅前多田便利軒』っぽい感じもするし、(自分は見ていなかったが)ドラマ『傷だらけの天使』【曲】も、そんな感じじゃなかったのかなあ?」なんぞと思い巡らせていた所、ネット上の書き込みで「33年前に放送されていた『プロハンター』【動画】なるドラマにインスパイアーされた物らしい。」事が判明。此方を見ると、確かにそう思えるが、兎にも角にも「何か覚えの在る設定だなあ・・・。」と感じさせる作品で在る。
ストーリは其れなりに面白いし、「そういう人間関係だったんだ。」等の意外性が盛り込まれているので、サクサク読み進めてしまう。でも、「収まりが良過ぎる結末」には、鼻白む所が在った。「悪い結末では無いけれど、人によって好き嫌いがハッキリするだろうなあ。」という感じ。
昔から“貫井作品”が好きな人達にとっては、余り良い評価が得られない作品かもしれない。自分の場合、総合評価は星3つ。
似た様なテーストの作品許りを著す作家が居る一方で、様々な“引き出し”を持つ作家も居る。内容の優劣は別にして、後者のタイプは東野圭吾氏や伊坂幸太郎氏、百田尚樹氏、そして貫井徳郎氏も当該するでしょうね。
貫井作品をざっくり分けると、「只管暗い内容」と「ユーモラスな内容」の2つになると思いますが、確かに好き嫌いがハッキリすると自分も思います。個人的には「只管暗い内容」の方が、貫井作品に関しては「好き。」で、其れ故に今回の作品は余り肌合いが良くなかったとも言えます。