「国会の爆弾男」の愛称で知られた元政治家・楢崎弥之助氏が亡くなっていた事が、昨日明らかとなった。享年91歳。綿密な調査を元に「ロッキード事件」や「リクルート事件」等、様々な疑惑を追及していた姿が印象に残っている。余りにも存在感が軽過ぎる政治家が多い昨今、良くも悪くも存在感が在った楢崎氏の死は、時代の変化を痛切に感じる。合掌。
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ロンドンから出帆し、波高き北海を3日も進んだ辺りに浮かぶソロン諸島。其の領主を父に持つアミーナは或る日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、其の従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、「御身は恐るべき魔術の使い手で在る“暗殺騎士”に命を狙われている。」と告げた。
自然の要塞で在った筈の島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、「走狗(ミニオン)」候補の8人の容疑者、何れ劣らぬ怪し気な傭兵達、沈められた封印の鐘、鍵の掛かった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年・・・そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来は何時? 魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着く事が出来るのか?
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近年、(其の年の)ミステリー・ベスト10の常連となっている米澤穂信氏。過去に同氏の作品を読んだのは「追想五断章」のみで、其の総合評価は「星3.5個」と「まあまあな出来。」といった感じだった。今回読了した同氏の作品は「折れた竜骨」というタイトルで、魔術や呪いが跋扈する世界を描いた「ハイ・ファンタジー・ミステリー」。「2011週刊文春ミステリーベスト10(国内編)」では2位、「2012本格ミステリ・ベスト10(国内編)」では1位、そして「2012年版このミステリーがすごい!」では2位と、昨年のミステリー・ベスト10で非常に高い評価を得た作品だ。
元来、人名を覚えるのが苦手な自分。登場人物の名前が横文字許りだと、余計に覚えるのが難儀。冒頭に記された「登場人物一覧」を何度も見返しては、読み進めるという状況。容疑者とされる人々の名前が、特にごっちゃ混ぜになってしまう。
「非現実的な設定下、如何に推理を筋道立たせるか?(如何に、読者を納得させるか?)」というのがハイ・ファンタジー・ミステリーの難しさと言えようが、其の点は上手く処理されていると感じた。
真犯人は意外な人物。唯、「此の意外性、在りや無しや?」という点は、読み手によって判断が分かれる事だろう。ハイ・ファンタジーには在り勝ちな「予定調和的な結末」というのも同様。