ＴＶに続いて

ウルトラシリーズの中でも、名作揃いと言われている「ウルトラセブン」（動画）。印象深いシーンは幾つも在るが、第８話「狙われた街」の或るシーンもその一つと思っている。「狙われた街」と言えば「モロボシ・ダン隊員とメトロン星人が、卓袱台を挟んで対話するシーン。」が余りにも有名だが、このシーンも良いけれど、自分はその前のシーンが好き。モロボシ・ダン隊員とアンヌ隊員が怪しい男を追跡し、その男が入っていった古びたアパートにダン一人が潜入するシーン。外でダンを待つアンヌの不安げな表情が映し出され、そして近くの家から聞こえて来るのがラジオの野球中継。「ウルトラセブン」の時代設定は１９８７年とも言われているが、放送当時、即ち１９６７～１９６８年の日常風景が「未来世界」の中に然りげ無く描かれているのが何とも良い。自身の記憶を手繰り寄せて行くと、幼少時は町中で家から流れるラジオ放送を耳にする機会が結構在ったし、その多くが野球中継だった様に思う。

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「ＴＢＳラジオ“イチ抜け”た！　ナイター中継『ニーズ無い。』」（１２月１８日、ｚａｋｚａｋ）

ＴＢＳラジオが土・日曜のプロ野球のナイター中継から撤退する事になった。関東地区の民放ラジオ４局の中で、“イチ抜け”の格好だ。

テレビの地上波ナイター中継の減少が進む中、遂にラジオに迄波及。主に巨人戦を中心に中継して来たＴＢＳの関係者は「巨人戦のデー・ゲームが増えて、中継出来る試合が少なくなった。代わりにナイターの阪神戦等を中継して来たが、其処迄ニーズが無い。それなら止めてしまおうとなった。」と理由を説明する。

今季の土・日の巨人戦はビジターも含めて、ナイターが２７試合でデー・ゲームが２６試合。その内、ＴＢＳラジオは中継権の無い神宮球場でのヤクルト戦等を除いて、計２３試合中継した。

ＴＢＳ関係者は「うちは巨人戦の中継権料が１試合３００万円で、他局に比べると一番高い。その辺もネックになっていた。」と明かす。ラジオは固定ファンが多く、テレビに比べればナイター聴取率の下降は少ないとはいえ、費用対効果を考えると、ナイター中継以外の番組を編成した方が安上がりで済む。

当然、中継が減れば放送権料を得ていた巨人の収益も下がる。ＴＢＳラジオ撤退は、人気下降に歯止めの掛らない巨人にとって痛い所だ。１０年前の長嶋監督時代は、宮崎でのオープン戦初戦から各局が競って中継したものだが・・・。

今後、巨人サイドが放送権料を下げる等対策を練らなければ、ＴＢＳラジオに追従する局も出て来そうだ。テレビだけで無く、ラジオからも巨人戦が消えて行く。
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「ジャイアンツ戦を毎試合、ＴＶ中継で見るのは普通の事。」と考えていたので、数年前よりジャイアンツ戦のＴＶ中継が減り始めたのは非常にショックだった。しかし他チームのファンからすれば「ＴＶで毎試合中継が見られるなんて、恵まれ過ぎていたのだ。」という気持ちが在ろう事に思い到り、又、「衛星放送やラジオで中継が在るのだから、それで我慢しないと。」という思考になった。それでも衛星放送やラジオで中継されない日が在るのは、正直寂しい思いが。

今回のＴＢＳラジオの決断、不景気風が吹き荒れる状況下では致し方無いものだったのだろう。それはそれで理解出来るのだが、自分が危機感を覚えるのは、土・日に限った事とはいえ、１つのラジオ局が“プロ野球中継自体”を取り止めるという事に在る。ジャイアンツ戦が云々なんて小さな話では無く、「他のチームの試合中継のニーズも無い。」と判断した訳だから。

上記した様に、嘗てはプロ野球中継に多くの人が容易く触れる事が出来た。ＴＶが高価だった時代には安価なラジオで聴取し、ＴＶの普及と共にＴＶで中継を見る人が増えて来た。ＴＶ中継が減り始めてからは、衛星放送が視聴出来る環境の人はそれを見て、そうで無くてもラジオで中継を聴取出来た。もしラジオ中継がどんどん減って行ったとしたら、衛星放送を視聴出来る環境の人は良いけれど、そうで無い人はネット上で試合経過を確認するか、球場に足を運んで観戦する等しか選択肢は無くなる。生活にそれなりの余裕が在る人はリアル・タイムで試合に触れられるけれど、そうで無い人達は困難な状況になるとも言えるのではないか。高がプロ野球、然れどプロ野球。庶民の最も身近なプロ・スポーツと言って良いプロ野球が、これからはどんどん身近で無くなって行くと想像したら・・・。