6年前、「台風の思い出」という記事を書いた。名古屋に住んでいた幼少期、強烈な台風を経験し、非常に恐ろしい思いをしたのだが、父が工場長を務めていた工場が堤防沿いに在り、堤防が決壊した事で工場内が水浸しになったと言う。父から聞いた話では、水浸しの程度が余りに酷かったので、今でも其の話を忘れられない。
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「鬼怒川決壊で大規模水害 100世帯、200人救助 9人不明か」(9月10日、スポニチ)
台風18号の影響で関東や東北で記録的な豪雨が降り続いた10日午後、茨城県常総市三坂町の鬼怒川の堤防が決壊し、大規模な水害に見舞われた。常総市は「9人が行方不明になっている。」と明らかにした。他にも、人が流されたとの情報が複数在り、安否の確認を進めている。警察庁によると、約100棟が浸水。警察、消防、自衛隊、海上保安庁は同日夜迄に、取り残された周辺の住民等約200人をヘリコプター等で救助し、更に救援活動を続けている。
国土交通省によると、堤防は高さ約4m。決壊は午後0時50分頃で、幅は約140mに亘った。決壊地点は8月28日の点検で異常は無かったが、10年に1度起きると想定される洪水に対応出来ないとして、改修を計画していた。
茨城県によると、浸水地域は約32ヘクタール。国交省は15台のポンプ車を投入して、排水作業に当たる。
政府は10日午後、茨城、栃木両県の大雨に関する関係閣僚会議を開催。安倍晋三首相は「此れ迄経験した事の無い異常な状況だ。事態は重大な局面に在る。」と述べ、全力で対策に取り組む様指示した。茨城県は常総、古河、結城、下妻、筑西の5市と八千代、境の2町に災害救助法を適用した。
常総市では地域交流センターで約550人、ショッピング施設の屋上で約100人が取り残された。複数の避難所も浸水し、常総市は隣接するつくば市等に避難者の受け入れを要請した。
気象庁は10日午前迄に、栃木、茨城両県に特別警報を発表。11日も関東から北日本の広い範囲で激しい雨が降る恐れが在る。政府は大雨被害で救助されたのは265人以上になったと発表。警察庁によると、栃木県の土砂崩れで1人が行方不明になった他、9県で21人が怪我を負った。21人の内、同県日光市で一時心肺停止となった男性は意識不明の重体。
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今回の台風18号により、各地で大雨の被害が続出した。昨日、ニュース番組では、堤防が決壊し、濁流に呑み込まれた常総市の街並みを映し出していたが、其の光景は東日本大震災での津波を思い出させた。屋根等に取り残された住民達を必死で救助する自衛隊員の姿には頭が下がる思いしか無く、其れは救助に奔走する他の人々に対しても同様だ。
大自然を前にして、人間が出来る事には限界が在る。何れだけ自然災害に“備え”様とも、100%防げる物では無い。今回の様な濁流を前にして、原発が100%安全と誰が言え様か。福島第一原子力発電所事故を未だに終息させる事が出来ていないというのに、新たな原発事故が発生したら、日本は終ってしまう事だろう。
無根拠且つ無闇矢鱈に、「絶対」という言葉を多用する安倍首相。「絶対に安全だから。」として、原発の再稼働を次々に進め様としているが、今回の光景を目にしても、同じ事を平然と言えるのだろうか?
与野党を問わず、原発推進の議員は少なく無い。「絶対に安全だから。」と心から信じ、原発を推進しているならば話は別だが、(原発による)利権や票欲しさから“だけ”で、原発を推進している様な輩が目立つ。
「原発を、即時零にしろ。」なんて言う気は無いが、福島第一原子力発電所事故の被害の甚大さを考えれば、“零に向けての取り組み”は確実に行って行くべきだと思っている。「新エネルギーの費用対効果を上げる研究を、より真剣に行う。」や「電力を少しでも減らせる様、国民の節電意識向上を進める。」等が、先ずは大事だ。兎にも角にも、軽々に「絶対安全!」と言う勿れ。