ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「獣たちのコロシアム 池袋ウエストゲートパークXVI」

2020年10月24日 | 書籍関連

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ダーク・ウェブ深奥に在る「逆隊コロシアム」。通常の手段ではアクセス出来ないサイトでは、競う様に児童虐待動画がアップされている。

「『逆隊コロシアム』を潰して、其の一部始終ドキュメンタリーにしたい。」というTVディレクターの梅原(うめはら)から依頼を受け、3人の虐待サヴァイヴァーの若者と共に調査に乗り出した“マコト”は、或る日、TVで見た子供の虐待死のニュースが、「逆隊コロシアム」の動画に映っていた少女の事だと気付く。

小さな命を救えなかった悔しさと怒りを胸に、
マコトは“タカシ”や仲間達と、巨大なウェブ巣くう獣達に戦いを挑む。
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東京都池袋西口公園近くの果物屋の息子・真島誠(まじま まこと)は、“池袋トラブルシューター”とも呼ばれ、依頼された難事件を次々と解決し、住民の幸福と秩序の維持を目指す。」というのが、「池袋ウエストゲートパーク・シリーズ」のストーリー。もう22年も前になるけれど、原作を基にしたTVドラマを見て、個性豊かな登場人物達とストーリーの面白さに引き込まれ、そして原作を読む事になった。以降、シリーズの大ファンだ。

「池袋ウエストゲートパーク・シリーズ」の著者石田衣良氏は、数多くの小説を手掛けているが、近年は“セックス描写が余りにも執拗な作品”が増え、辟易としている。でも、「池袋ウエストゲートパーク・シリーズ」に関して言えば、そういう所は無いし、何よりも日本の社会の闇、又、其の闇の中で藻掻き続けている弱者に光を当て、エッジの利いた表現力で描写している。」のが実に心地好い

今回読んだ「獣たちのコロシアム 池袋ウエストゲートパークXVI」は、4つの短編小説で構成されており、扱っているテーマは“パワハラ”、“ラヴホ強盗”、“ロマンス詐欺”、そして“児童虐待”。テーマの選び方が、相変わらず良い。

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あれこれ探して、クララ・シューマンが夫のロベルト・シューマンの誕生日に贈ったピアノ曲を見つけた。ダンナが書いた曲のテーマを元にした『シューマンの主題による変奏曲』だ。この曲を贈られて一年もしないうちにロベルトの精神は変調来し、家族はばらばらになってしまう。よろこばしい誕生日の先にはなにが待つか、誰にもわからないのだ。もの悲しいバリエーション
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一番心に突き刺さった作品は、児童虐待を扱った「獣たちのコロシアム」だった。「子供を大人が虐待し、其の結果として死なせてしまう。」というニュースは珍しく無くなったけれど、そういうニュースに触れると激しい怒り、そして助ける事が出来なかった無力感に襲われる。殺害された子供とは全く無関係な身だけれど、同様の思いをする方は少なく無いだろう。だからこそ、マコトやタカシ達の行動に強く心が揺さぶられ、ストーリーの中にどっぷり引き込まれてしまう。又、「マコト達が、“大人への階段”を更に上った様な終わり方。」が、実に印象的。

総合評価は、星4つとする。


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