ホラー小説「リアル鬼ごっこ」で衝撃的な文壇デビューを果たした山田悠介氏。ホラー物は苦手という事も在り、彼の小説をこれ迄読む機会が無かったのだが、書店で目にしたその装本に興味を惹かれ、彼の近刊本「モニタールーム」を購入した。
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両親を若くして亡くした徳井正也は、妹の一美を養う為、高校卒業後に社会人として必死で働き始める。力を合わせて生活して来た2人だったが、高校に入って以降の一美は非行に走ってしまう。そして或る日、盗んだバイクに乗って事故に遭った彼女は、頭を強打して植物状態に。「一美を更生させられなかった自分の責任。」と自分を責めた正也は、多額の入院費が掛る病院に彼女を入院させるが、これ迄以上の稼ぎが求められる様になる。22歳の彼が目にしたのは、月収百万円という破格の求人。その仕事内容は「高尾刑務所の地下に在るモニター・ルームで、無数のモニター画面を見ているだけ。」という簡単な仕事だと言う。
不審に思いつつも初出勤した正也がモニター・ルームの画面で見た物は、広大な寂しい土地に在る熱帯地方の小さな村「ミン村」で暮らす5人の姿だった。15歳になろうとする日本人の男女4人と、60歳に近い男の5人だけが平和に暮らす村。但し、彼等の安全は半径3km迄で、其処から外には100万個の地雷が埋まっており、一歩踏み出すだけで死が訪れるという恐ろしい世界。そして別の画面には、地下牢に一人だけ閉じ込められた白髪の女性の姿が・・・。
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或る理由から、5人だけの生活を余儀無くされされた者達。特に15歳になる男女4人は生まれて直ぐにミン村に送られ、自分達以外の物(社会や人間を含めて。)の存在を知らないままに育てられた。そして15歳になった夜、彼等は“真実”を知らされる事になるのだが、其処には様々な人間の悪意が渦巻いている。
ハッキリ言って、最初から最後迄全く救いの無いストーリー。少年達が余りにも可哀想でならないし、読破した後に残るのは重苦しい思いだけ。「バトル・ロワイヤル」等でも感じた「人間の持つ残酷さ」を、この作品でも強烈に感じた。
唯、次の展開が気になって、ついつい読み進んでしまうのも確かで、1日で読み終えてしまった程。かなり気が早いが、今年のミステリー・ランキングでは、かなりの評価を受ける作品になる予感も。
総合評価はギリギリで星4つ。
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両親を若くして亡くした徳井正也は、妹の一美を養う為、高校卒業後に社会人として必死で働き始める。力を合わせて生活して来た2人だったが、高校に入って以降の一美は非行に走ってしまう。そして或る日、盗んだバイクに乗って事故に遭った彼女は、頭を強打して植物状態に。「一美を更生させられなかった自分の責任。」と自分を責めた正也は、多額の入院費が掛る病院に彼女を入院させるが、これ迄以上の稼ぎが求められる様になる。22歳の彼が目にしたのは、月収百万円という破格の求人。その仕事内容は「高尾刑務所の地下に在るモニター・ルームで、無数のモニター画面を見ているだけ。」という簡単な仕事だと言う。
不審に思いつつも初出勤した正也がモニター・ルームの画面で見た物は、広大な寂しい土地に在る熱帯地方の小さな村「ミン村」で暮らす5人の姿だった。15歳になろうとする日本人の男女4人と、60歳に近い男の5人だけが平和に暮らす村。但し、彼等の安全は半径3km迄で、其処から外には100万個の地雷が埋まっており、一歩踏み出すだけで死が訪れるという恐ろしい世界。そして別の画面には、地下牢に一人だけ閉じ込められた白髪の女性の姿が・・・。
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或る理由から、5人だけの生活を余儀無くされされた者達。特に15歳になる男女4人は生まれて直ぐにミン村に送られ、自分達以外の物(社会や人間を含めて。)の存在を知らないままに育てられた。そして15歳になった夜、彼等は“真実”を知らされる事になるのだが、其処には様々な人間の悪意が渦巻いている。
ハッキリ言って、最初から最後迄全く救いの無いストーリー。少年達が余りにも可哀想でならないし、読破した後に残るのは重苦しい思いだけ。「バトル・ロワイヤル」等でも感じた「人間の持つ残酷さ」を、この作品でも強烈に感じた。
唯、次の展開が気になって、ついつい読み進んでしまうのも確かで、1日で読み終えてしまった程。かなり気が早いが、今年のミステリー・ランキングでは、かなりの評価を受ける作品になる予感も。
総合評価はギリギリで星4つ。

山田悠介氏の作品を読むのはこれが初めてだったのですが、こちら(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E7%94%B0%E6%82%A0%E4%BB%8B#.E4.BD.9C.E9.A2.A8)に紹介されている様な文章的な疑問点がこの作品にも在ったものの、貴志祐介氏の作風にやや似た匂いも在り、個人的には高い評価を付けました。
中盤迄の“引っ張り”が強かっただけに、結末に物足りなさを感じ、「もう少し別の持って行き方も在ったんじゃないかなあ?」という思いは在りましたが。