銀幕大帝α

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コインロッカーの女

2017年01月06日 21時04分17秒 | 韓国ドラマ
COIN LOCKER GIRL
2015年
韓国
111分
ドラマ/犯罪
劇場公開(2016/02/16)



監督:
ハン・ジュニ
脚本:
ハン・ジュニ
出演:
キム・ゴウンイリョン
キム・ヘス“母さん”
オム・テグウ・ゴン
パク・ボゴムパク・ソッキョン
コ・ギョンピョチド



<ストーリー>
地下鉄のコインロッカーに、へその緒が付いたまま捨てられていた赤ん坊。イリョンと名付けられたその子は、仁川のチャイナタウンを支配する“母さん”と呼ばれる女に育てられ…。

-感想-

育った環境があんなんだからね。
ヤクザに囲まれ、屑を相手にして、と荒れた人生を送っている中で出会った心優しき青年。
今まで接触した事も無いタイプの人間だから、そりゃあ心も揺れ動くでしょう。
粋がってはいるけれど、心は乙女なんスよ。
又、同じく親に見捨てられたという接点もあり、恋にも似た同情もあってか同胞の取立て屋から逃がそうとする。
しかし彼に待っていたのは無情な死だった。。。

これを基点に、主人公は「家族」に反旗を翻す事となる。

血で血を洗い、自分が味わった無念と屈辱をきっちりと晴らす為に静かに行動を移していく。
韓国映画らしく暴力的な描写に一切の迷いがない。
相手が例え共に過ごして来た「家族」であろうとも、決意を邪魔する者には武器を手に持ち立ち向かっていく。
そしてこれらの行為は怒りの果ての組織壊滅へと繋がり、慕っていた“母さん”すらにも衝動を抑えられないまま心の叫びを爆発させて刃を突いてしまうであった。

捨てられていたコインロッカー。
養子縁組の書類を残していたコインロッカー。
初めと最後では全く意味が異なる小さな空間。
最低な場所に入れられた主人公が、今度は驚きの形で“母さん”の愛情を受け取り、これまでの人生を見詰め直すも、決断に至るのは“母さん”がやってきた仕事の引継ぎ。
これはもうきっぱりと裏社会から足を洗うよりも、敢えて“母さん”から貰った想いに彼女が態度で答えたという事になるだろう。
ただ一連の事件を経験した事で主人公の仕事に対する考え方は変わったと思う。
最後の最後に受け取った“母さん”からの優しさを彼女自身が生き方へと活かし、以前よりも平和的な道を歩んで行く、そんな気持ちの固め方を表情からも汲み取れるラストシーンだった。

主役を務めたのは新進女優のキム・ゴウンさんだが、前からルックスが剛力に似ているなあとあくまでも私個人の印象ではありますが、例え顔が似ていようとも女優としての器が丸っきり異なる。
剛力よ、エヴァンゲリオンのコスプレなんてしている場合じゃねぇぞ。
少しはキム・ゴウンさんの爪の垢でも煎じて飲め!
これが魂の篭った演技だ!
剛力だけじゃない、日本の若手女優皆にも言えること。
並みの演技でイケメン俳優と程度の低いラブロマンスなんてやっている場合か。
ちょっとは海外の女優さんの演技力をその目で観て意識を高めて貰いたいものだ。
こういう見事なまでのリアクションが取れる女優さんを観ると、改めて日本の若手と比べるとレベルが月とすっぽんだなと映画に挑む姿勢・役に入り込む準備が韓国では相当高いてのがはっきりと見えてくる。
“母さん”役のキム・ヘスが全身から放っていた危険極まりないオーラも日本女優じゃあそう簡単には真似出来ないだろうな。
韓国映画界って全てにおいて本当に徹底的だから凄いよ。

あー!この作品が昨年の「未体験ゾーン」の本命だったのか!?
他にも面白い作品はあったけれど、本作が頭一つ以上飛び抜けて完成度が高かった。
期間限定での公開ってのが勿体無いやね。
韓国映画だからって事でこんなにも素晴らしい作品がひっそりと公開されてひっそりと殆どの映画好きの目に止まらないまま姿を消してしまう日本の映画市場の今の現実に寂しさを感じちゃうよ。

評価:★★★★
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