「5万円パソコン」と呼ばれるネットブックがよく売れている。いまや、ノートパソコンの売上の2割を占めると言われるほどだ。
ネットブックは、名前を見てもわかるように、インターネットの利用がコンセプトのミニノートだ。一般的なパソコンとの最大の違いは、Atomというネットブック専用のCPUを搭載していること。格安モデル用に設計された専用の心臓部を持っているわけだ。
OSが一世代前の「Windows XP」となっているのも特徴。最新のOSである「Windows Vista」が登場して2年近く経つが、巷では乗り換えのスピードが遅々として進んでいない。いまだに使い慣れたWindows XPを愛用する個人・企業も多い。ネットブック人気には、Windows XPが新品で買える点も寄与しているのだろう。
ネットブックはパフォーマンス的にはほめられたものではない。だが、安価で気軽に持ち歩けることが受けているのだ。課題だったバッテリー駆動時間の短さを改善したモデルも増えてきており、さらに人気が高まりそうだ。
さて、ネットブックと似たジャンルの製品が登場しているのをご存じだろうか。同じく、ATOMを搭載した小さなデスクトップで、「ネットトップ」と呼ばれることもある。
ネットブックで大成功したASUS社からも、「Eee BOX」というネットトップが登場した。まだ、ネットブックほどの成功を収めたとは言えないが、今後はある程度の売れ行きを期待できる可能性はあるのではないだろうか? 今回は、ネットトップ登場によるパソコンの先行きを占ってみたい。
今やデスクトップは、パソコン全体の3割程度しか売れていない。ノートパソコンの人気に押されているのだ。一昔前まで、ノートパソコンのほうが高価だったが、最近では量産効果もあって、デスクトップの方が高くなってしまった。その結果、さらにノートパソコンの人気が加速しているのが現状だ。
現在売れているデスクトップは、高性能なモデルとボードPCと呼ばれる液晶一体型のモデルである。高性能なモデルは要らないと考えているユーザーが多いためか、ハイパフォーマンスモデルの売れ行きは芳しくない。
ただでさえデスクトップ人気が下火のなかで、ネットトップは、インターネットにつなぐためのデスクトップとして、機能を絞り込んでいる。価格は安いが性能が低く、サイズが小さい。せっかくデスクトップを買うのに、こんなに性能の低いモデルをユーザーは選ぶものだろうか?
しかも、ネットブックと違って液晶モニターが付いていない。結果としてモニターを買い足すとやや高く付くのである。僕は「売れるわけがない」と考えていた。
だが、最近になって、「もしかすると売れるかもしれない」と思い始めた。
その理由は、ニーズの多さだ。ネットトップは確かに性能が低い。ところが、企業で使われているやや古めのデスクトップを見てみれば、ネットトップ並みの性能でしかないデスクトップがゴロゴロしているのが現状だ。
Windows Vistaが登場しててそれなりの時期が経つので、そろそろ乗り換えを考えている企業も出てきているだろう。だが、好況下ならいざ知らず、前代未聞の不景気の現状では、なかなかコストもかけられない。
実際、中古パソコンショップでは、「Windows XP搭載の中古パソコンを探している中小企業ユーザーが多いです」という声も聞かれる。これまで、新品のデスクトップでWindows XPモデルは買いづらかったのだ。
中古パソコンが多いオフィスなら
ネットトップブームの可能性も
ところが、そんな折にネットトップが登場した。性能といい、OSといい、企業内に残る3~4年前のパソコンと似通った性能の新商品が、4万円台半ばで購入できるのだ。
それに、中古パソコンと違って「保証面」などにおける安心感がある。本来は、インターネット専用マシンとして企画されたネットトップだが、こういった状況を考えると、今後は実用機として選ぶ企業ユーザーが出てきそうな気がしてならないのだ。
これまで、性能向上一辺倒の道を歩んできたパソコンの世界は、ネットブックの登場で大きな変化に直面している。進化を止めて価格を抑えた「枯れた」製品が売れている状況なのだ。
すでに、ネットブックの影響でモバイルノートの売れ行きが鈍っているようにも見受けられる。
来年登場する最新バージョンの「Windows 7」が成功を収めないと、パソコンの進化が歩みを止める可能性も出てきそうだ。また、Windows 7が爆発的に売れるカギの1つに「価格」があることも、言うまでもなさそうだ
ネットブックは、名前を見てもわかるように、インターネットの利用がコンセプトのミニノートだ。一般的なパソコンとの最大の違いは、Atomというネットブック専用のCPUを搭載していること。格安モデル用に設計された専用の心臓部を持っているわけだ。
OSが一世代前の「Windows XP」となっているのも特徴。最新のOSである「Windows Vista」が登場して2年近く経つが、巷では乗り換えのスピードが遅々として進んでいない。いまだに使い慣れたWindows XPを愛用する個人・企業も多い。ネットブック人気には、Windows XPが新品で買える点も寄与しているのだろう。
ネットブックはパフォーマンス的にはほめられたものではない。だが、安価で気軽に持ち歩けることが受けているのだ。課題だったバッテリー駆動時間の短さを改善したモデルも増えてきており、さらに人気が高まりそうだ。
さて、ネットブックと似たジャンルの製品が登場しているのをご存じだろうか。同じく、ATOMを搭載した小さなデスクトップで、「ネットトップ」と呼ばれることもある。
ネットブックで大成功したASUS社からも、「Eee BOX」というネットトップが登場した。まだ、ネットブックほどの成功を収めたとは言えないが、今後はある程度の売れ行きを期待できる可能性はあるのではないだろうか? 今回は、ネットトップ登場によるパソコンの先行きを占ってみたい。
今やデスクトップは、パソコン全体の3割程度しか売れていない。ノートパソコンの人気に押されているのだ。一昔前まで、ノートパソコンのほうが高価だったが、最近では量産効果もあって、デスクトップの方が高くなってしまった。その結果、さらにノートパソコンの人気が加速しているのが現状だ。
現在売れているデスクトップは、高性能なモデルとボードPCと呼ばれる液晶一体型のモデルである。高性能なモデルは要らないと考えているユーザーが多いためか、ハイパフォーマンスモデルの売れ行きは芳しくない。
ただでさえデスクトップ人気が下火のなかで、ネットトップは、インターネットにつなぐためのデスクトップとして、機能を絞り込んでいる。価格は安いが性能が低く、サイズが小さい。せっかくデスクトップを買うのに、こんなに性能の低いモデルをユーザーは選ぶものだろうか?
しかも、ネットブックと違って液晶モニターが付いていない。結果としてモニターを買い足すとやや高く付くのである。僕は「売れるわけがない」と考えていた。
だが、最近になって、「もしかすると売れるかもしれない」と思い始めた。
その理由は、ニーズの多さだ。ネットトップは確かに性能が低い。ところが、企業で使われているやや古めのデスクトップを見てみれば、ネットトップ並みの性能でしかないデスクトップがゴロゴロしているのが現状だ。
Windows Vistaが登場しててそれなりの時期が経つので、そろそろ乗り換えを考えている企業も出てきているだろう。だが、好況下ならいざ知らず、前代未聞の不景気の現状では、なかなかコストもかけられない。
実際、中古パソコンショップでは、「Windows XP搭載の中古パソコンを探している中小企業ユーザーが多いです」という声も聞かれる。これまで、新品のデスクトップでWindows XPモデルは買いづらかったのだ。
中古パソコンが多いオフィスなら
ネットトップブームの可能性も
ところが、そんな折にネットトップが登場した。性能といい、OSといい、企業内に残る3~4年前のパソコンと似通った性能の新商品が、4万円台半ばで購入できるのだ。
それに、中古パソコンと違って「保証面」などにおける安心感がある。本来は、インターネット専用マシンとして企画されたネットトップだが、こういった状況を考えると、今後は実用機として選ぶ企業ユーザーが出てきそうな気がしてならないのだ。
これまで、性能向上一辺倒の道を歩んできたパソコンの世界は、ネットブックの登場で大きな変化に直面している。進化を止めて価格を抑えた「枯れた」製品が売れている状況なのだ。
すでに、ネットブックの影響でモバイルノートの売れ行きが鈍っているようにも見受けられる。
来年登場する最新バージョンの「Windows 7」が成功を収めないと、パソコンの進化が歩みを止める可能性も出てきそうだ。また、Windows 7が爆発的に売れるカギの1つに「価格」があることも、言うまでもなさそうだ