京都の懐に抱かれる本である。おのずと癒しの道は癒しの空間に続く。丁寧な道案内を受けて山道をわけいったような感覚になる。6章に分かれての訪ねる先は、狸谷山不動院、釘抜地蔵、千本えんま堂、赤山禅院、御蔭神社、六道の辻、伏見稲荷大社。地理を良く知る人なら、どれも山道というわけではない。幾処かを知るつもりでいたが、あらためて知るようなことが多く、稲荷大社の府では精緻を極める。著者がそれぞれ、心理学と宗教哲学を専門としていて、読み応えのあるやり取りとなっている。京都の緑陰深き謎に迫る好著である。
京都「癒しの道」案内 (朝日新書) 2008年11月30日発行 河合俊雄 鎌田東二 . . . 本文を読む
お雛様を飾って節句もひとだんらく、俗説に従って、また、地域によっては、おひな様は春の飾りもの、季節の節できちんと片付ける、などのけじめを持たずにだらしなくしていると嫁の貰い手も現れない、という、躾の意味からもいわれている、とある説明で、こうすればよいそうな… . . . 本文を読む
現代日本語「誤」百科 761 は 記憶を忘れる を、例題にしている。記憶 と、忘れる の、同語反復と解説して誤用とする。その説明では、記憶 が、覚えていた内容 として、それを忘れることもあるとすると、誤りではないとしても、記憶 と、忘れる とが、言葉の意味として結びつかないと言う。この例文がどうであるかが、この用例の解釈を決めるので、記憶をしていることを忘れるのも、記憶をすることを忘れるのも、いずれも、表現することは可能だろう。また、記憶を失う とすれば、それは消去されることだろうけれど、記憶を忘れたい、記憶を忘れようとする行為が人間にはあるので、記憶を失うことと、記憶を忘れることとは、おのずと異なる。 . . . 本文を読む